宮城県名取市に住む香苗は、夫と一緒に街で小さな食堂を営む傍ら、保護司として心ならずも罪を犯してしまった子どもたちの、社会での立ち直りを支援する活動をしていた。
子どもたちの健やかな未来を願う香苗であったが、子どもたちの更生への不理解や、子どもたちを守るべき家庭の崩壊の現実にも出会い、たくさんの悩みを抱えながらの活動だった。そんな折、香苗に保護観察所から一人の保護観察中の少年の担当が依頼された。
啓太・・・5年前の津波で命を失った香苗の息子が、子どもの頃親友として交わっていた少年だった。
事業に失敗した彼の父親は、啓太を連れて夜逃げ同然にこの街を去ってしまい、それ以降は音信も途絶えていたのだ。
一見すっかり荒れた姿で香苗の前に現れた啓太だったが、その瞳の中に救いを求める光を見た香苗は、家族同然の対応で啓太を迎え入れるのだった。
日一日と、香苗とその家族の支えでかつての自分を取り戻しつつある啓太だったが…。
子どもたちの健やかな未来を巡って、かつてなかった程の危機が語られています。
親による虐待や子殺し、子どもたちの貧困といじめ・・・まるで子どもたちの未来に赤信号がともってしまった様な現代社会。
こんな時代の子どもたちと真正面から向き合いながら、心ならずも罪を犯した子どもたちの立ち直りを支援する女性保護司を主人公にこの物語は語られていきます。
又、この映画の舞台は宮城県名取市。
2011年の大惨禍はこの町の沿岸部閖上(ゆりあげ)地区を壊滅に追い込みました。あの日から時間は経過しながらも、いまだに癒えることのない被災地の心の傷も、この映画は見る側に語りかけます。