<ストーリー>
バブル崩壊直後の1994年。梅澤梨花は、子どもには恵まれなかったものの夫と穏やかな日々を送り、契約社員として働く「わかば銀行」でも、丁寧な仕事ぶりで上司の井上から高い評価を得ていた。
裕福な独居老人の平林も、梨花の丁寧な仕事に信頼を寄せている顧客のひとりだ。
厳格なベテラン事務員の隅、まだ若くちゃっかり者の窓口係・相川ら、支店では様々な女性たちが働いている。
一見、何不自由のない生活を送っている梨花だが、自分への関心が薄く、鈍感なところのある夫との間には空虚感が漂い始めていた。
ある夜、平林の家で一度顔を合わせた大学生の光太と再会し、梨花の人生は狂い始める・・・。
<解説>
2011年に映画化された「八日目の蝉」をはじめ、女性を中心に抜群の信頼性と人気を誇る直木賞作家、角田光代の長編小説「紙の月」。第25回柴田錬三郎賞を受賞して各メディアから絶賛を浴びたベストセラー小説が、ついに映画化された
メガホンをとるのは、第36回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した傑作『桐島、部活やめるってよ』を送り出し、次回作が熱望されていた鬼才、吉田大八。これまで『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』、『パーマネント野ばら』で女たちの業の深さとたくましさを見つめ、『クヒオ大佐』で詐欺師の物語を描いた吉田監督が、角田光代の原作の映画化に挑んだ。原作にある梨花の旧友たちの描写を削り、銀行内部の描写をふくらませて大胆に脚色。一人の女性が、聖と悪の両面を抱えながら能動的に堕ちていく様を、スピード感のあるサスペンス大作として完成させた。
主人公・梅澤梨花を演じるのは、今や日本を代表するトップ女優として舞台・映画・テレビと八面六臂の活躍を見せる宮沢りえ。『オリヲン座からの招待状』以来、久々の映画主演となる彼女が、破滅へと突き進んでいく梨花の心の動きを繊細かつ大胆に表現した。
相手役となる光太には、吉田監督とは舞台「ぬるい毒」でもタッグを組み、近年活躍が目覚ましい若手実力派の池松壮亮。そして映画オリジナルのキャラクターとなる2人――器用に立ち回る銀行の窓口係を、AKB48卒業後初の映画出演となる大島優子、厳格に梨花を追い込んでいくベテラン事務員を小林聡美が演じ、銀行内で繰り広げられるサスペンスに奥行きを与えている。そのほか田辺誠一、近藤芳正、石橋蓮司と、重厚で豪華な共演陣が集結した。
角田光代×吉田大八×宮沢りえ。日本映画界最高峰のコラボレーションにより、感情をゆさぶる衝撃のヒューマンサスペンスがついに誕生した。