Rock'n Roll Car Jack - vol.2(April)
6回シリーズの2回目は、4月〜5月、「春の行楽シーズンにピッタリな音楽」をテーマに考えた選曲です。しつこいようですが、 シチュエーションはフィクションです。(^_-) |
登場人物紹介
圭介
音楽は「表現」だといつも思っている、ベーシスト兼作曲家兼アレンジャー。
小学6年生で最初のロックバンド結成以来、無数のバンド活動を経て現在に至る。
仲間から生き字引とまで言われる70年代〜80年代のロックについての知識は、彼の作曲に多大なる影響を与えている。
えり
音楽は「はあと」だといつも思っている、コマーシャルの音楽プロデューサー。
幼少の頃からピアノや作曲を学び、ヤマハ音楽教室の講師を経て現在に至る。
聴く音楽のジャンルは幅広く、その事が彼女の仕事に大いに役立っている。
電話のベルが鳴っている。眠い目をこすって時計を見ると午前3時だった。
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M- 1 MAGIC / PILOT (1974) マジック / パイロット 行楽日和って、多分こういう日の事をいうんだろうな。天気もクルマも快調快調! 「えりはB.C.R.(ベイ・シティ・ローラーズ)好きなんだよね。」 「そうだけど。何か関係あんの?」 「実はこのパイロットのデビッド・ペイトンはB.C.R.出身。つまり、初期のメンバーなんだよ。」 「・・・にしてはちょっと見かけが地味じゃない?」 「そう。だから、音楽性が評価された 。地味なルックスも役に立つのさ。」 「それって、なんか深い意味でもあんの?」 |
M- 2 NOW AND ALWAYS / ROCKPILE (1980) ナウ・アンド・オールウェイズ / ロックパイル 渋滞している反対車線を横目で見ながらアクセルを踏む。 「この前のテープにも入れたデイヴ・エドモンズと、ニック・ロウがいたバンド。 結局1枚しかリリースしなかったんだけど、2人のソロアルバムにはこのバンドのメンバーも参加てるんだよ。」 「ジョン&ポールみたいな感じ?」 「いや、裏ジョン&ポールだな。結局ケンカ別れしたみたいだよ。」 「女の取り合いでもしたのかしらん。」 (なんですぐ話がそっち方面に行っちゃうのかなー・・・・) |
M- 3 PHOTOGRAPH / RINGO STARR (1973) 想い出のフォトグラフ / リンゴ・スター 自動販売機が目に入り、クルマを停めてちょっと休憩。 「元、ビートルズ。」 「あはは。しかも私、ちょうどりんごジュース買っちゃってるし。」 「この曲はジョージの曲。いや、一応、共同制作か。」 「ホンワカしてて良い曲だね。」 「参加メンバーのラインアップにしても、ジョン、ポール、ジョージの協力にしても、 人に盛り上げてもらうのがうまいんだよね。リンゴの人徳ってヤツかな。」 「あ?!圭介ったら羨ましがってるぅ〜。」 「どーせ俺は正反対だよ!」 「ジュース半分あげよぉか?」 |
M- 4 REBECCA / FLO & EDDIE (1975)
レベッカ / フロ&エディ だんだん太陽の色がやわらかくなってきた。車内のムードがイイ感じに・・・ 「えりはこの曲を聞いて、どんな人が歌ってると思う?」 「ヒッチコックの"レベッカ"っていう映画に、大富豪の美男子のマクシムって人がいるのね。 だから、もし私がこの曲のレベッカさんだったら、そういう素敵な人に恋われてみたいなぁ〜、 なんて思うんだけど・・・どうなの?」 「アルバムのタイトルが、"ワルイ、キタナイ、その上デブ"っていうんだ。」 「・・・・・。」 「この曲以外は殆どシモネタロックばっかりでね。」 「・・・・・。」 「ルックスは、アルバムタイトルそのものズバリ!。」 「もうそれ以上言わないでっ!!」 (せっかくの良いムードを、自らブチ壊したらしい。) |
M- 5 DAYS / KIRSTY MacCALL (1989) デイズ / カースティ・マッコール なんとか持ち直す努力をしないとマズイ。 「この人は、スティーヴ・リリー・ホワイトっていう名プロデューサーの奥さん。 この曲は、キンクスのカバー曲なんだよ。」 「良い声だねぇ。」 「奥さんの仕事を最優先するんで、他のミュージシャンの仕事がストップしてしまうらしいよ。」 「いいなーいいなー。」 「え?何がいいの?」 「結婚した後ても、凄く愛されているのねぇ。」 「・・・・。」 |
M- 6 VENUS AND MARSーREPRISE / WINGS
(1975) ヴィーナス・アンド・マース(リプリーズ) / ウイングス 辺りの景色がオレンジ色に染まった。こんなに夕焼けって綺麗なものだったんだ。 「この風変わりなヴァケイションにきみもおいで。休日もちょうど今、始まったばかり。」 「・・・・・。どうしちゃったの?」 「歌詞の対訳だよ。」 |
M- 7 FLYING START / KEVIN AYERS (1988) フライング・スタート / ケヴィン・エアーズ 太陽の輪郭がゆらゆらとゆれている。振り返って見ると雲が風にのって流れている。 「俺、この人の事ホントに大好きで、来日した時は追っかけもやった。」 「そんなに好きなの?」 「ケヴィンと同じベースギターを来日に合わせてわざわざ買って、それにサインしてもらった事もあるぐらいなんだよ。」 「圭介って、そんな情熱も持ってたんだね。」 「ケヴィンの事を語り出したら一晩かかると思うよ。」 「・・・さぁて、次の曲は何かな?」 |
M- 8 MOONLIGHT SHADOW / MIKE OLDFIELD
(1983) ムーンライト・シャドウ / マイク・オールドフィールド 窓の外に、いつのまにか月が姿を現わして、草原を柔らかな光で照らしている。 「7曲目のケヴィンの曲は、実はこのマイクが作曲したんだよ。 ケヴィンのバックバンドを17才の時にやったのが、 マイクのデビューなんだ。」 「この曲を歌ってるのは誰なの?」 「マギー・ライリーというオバさん。そしてこの曲がヨーロッパで大ヒット! ヴァージンレコードが出来て第1弾目のヒット作、"チュブラー・ベルズ"を作ったマイクが、 またヴァージンの懐を肥やしたってとこかな。」 「じゃ、彼がきっかけで今のヴァージングループがあるって事?」 「そういう事だね。天才だしね。」 「ヴァージンにとって、神様だね♪」 「性格が悪い神様。しかも既にヴァージンから移籍してる。」 |
M- 9 IF I HAD YOU / THE KORGIS (1979) とどかぬ想い / コーギス 対向車を全然見かけなくなった。この先の道は俺のクルマのヘッドライトだけが照らしている。 「日本のミュージシャンの間でも人気が高いグループ。 この曲を聞いて"良くない"って言う人なんて、いないんじゃないの?」 「どんなミュージシャンに人気があるの?」 「タカハシユキヒロとか、鈴木慶一とか・・・。」 「何だかわかる気がする。」 「手作り感のある、あったかい音がするでしょ。」 |
M-10 HOLIDAYS / MICHEL POLNAREFF (1972) 愛の休日 / ミッシェル・ポルナレフ 「うわぁ!星がいっぱい見えるよ!」 誰もいないキャンプ場に到達。俺達だけの貸切だ。 「この人はサングラスを絶対とらなかったし、取材も殆ど受けなかった人。」 「サングラスを取ったらキムタクに似てる気がする。」 「日本でもオリコンチャート6位にまで入った程人気があったんだけど、 ギンギンのルックスのわりにはナイーヴで、ロマンチックな曲が多かったね。」 「私の所にCMの問い合わせがあった時にも、本人が行方不明とかで連絡がつかなかった事があったよ。」 「俺、サングラスかけると似てるってよく言われたんだよ。」 「・・・じゃぁ、ミッシェルって、キムタクに似てないんじゃん?」 |
ミュージシャンの俺には連休なんて全く関係ないし、あまり興味もないんだけど、 この連休はえりが楽しみにしてた様子だったからつい、ロマンチック・モードに入ってしまって、 良いムードを作るような音楽を選んでいた気がするなぁ。 助手席でクゥクゥ眠ってしまったえりを咎めるつもりじゃないんだけど、 俺としては、この10曲を色々なシチュエーションも考えつつ、選びに選んで録音したつもりだったんだけど・・・・・。 ま、地道に少しずつえりを洗脳していくしかないって事か。だんだん素直に反応するようになってきた気がするし。 でも、音楽って不思議なもんで、聞き始めた音楽が全く違う2人でも、良いと思う曲が重なってたりすると、 何だか仲間意識が芽生えてくるんだよなぁ。ま、そうじゃないとえりは俺のライブになんか顔出さないと思うけどね。 やっぱ、音楽って、奥が深いっス!とにかく今日は帰ったらゆっくりと風呂にでも入って・・・。 明日のスタジオワークの練習でもすっか! |
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