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「読み聞かせ(怖い話)」に【遊び心】を入れる

   読み聞かせの技術をあげるためのページです
             千葉昌之 HIP


1.読み聞かせでの「遊び心」とは
 
「遊び心」って、何でしょうか。辞書には、次のように書いてあります。

あそびごころ【遊心】
1 音楽を好む心。
2 遊びたい気持。また、遊び半分の気持。

Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)小学館 1988

 つまり、読み聞かせをしている本人が「遊ぶ」ということです。遊ぶと、楽しくなるます。うきうきします。本人が楽しまないと、長続きしないですよ。
 つきつめると、読み聞かせをして「楽しい」というのは、「子どもが読み聞かせにひきこまれてしまう」状態になっているのを見ることだと思います。「ああ、楽しかった」「また、読んでね」「面白かった」。子どものこの一言が、次への読み聞かせの原動力となるのです。 

 読み聞かせの中に、「遊び心」を入れると、また一風違った面白い感じになります。

 怖い話を読んでいる時に、「ワッ」と驚かす。

 これは、私がよく使う手ですが、これこそ、「遊び心」だと思います。終わった後に、子ども達から、「あの時はびっくりした」「飛び上がって驚いたよ」などの言葉を聞くと、「しめしめ」と思います。
 作品にちょいと、工夫を加えるのです。あまりやりすぎると、作風が変わってしまいますので、やりすぎはいけません。しかし、「面白い話」「怖い話」はちょっとぐらい変えて読んでもいいのかなと思っています。

 このページでは、作品(笑い話や怖い話)をちょいと作り変えて(ほんの少しだけ)、子どもがより喜ぶようなものにする工夫点をいくつか紹介していきます。
 工夫する話の、ほぼ9割は怖い話です。怖い話って、「ほんとに怖いよう」と思いながら、聞いている子もいます。「夜、思い出して寝れなかった」と言われたり、「怖い話、いやです」という手紙をもらったことがあります。一時期、ホントに怖くなるように読んでいたのです。
 そこで、少し「遊び心」を入れて面白くするようにしたのです。遊び心を入れた部分は、怖がる子ども達もおおいに笑っています。リラックスした雰囲気になります。

 私がもう7〜8クラス(別なクラスでも)は読み聞かせたと思う「墓場の友だち」(偕成社〜「世界のゆうれい話」より)を例にとって、その方法について語ります。この話は、イワンという若者が死んだ友達を結婚式に呼ぼうとして墓場に行く話です。死んだ友から酒をつがれ、3杯飲んでしまいます。実は、1杯ごとに100年がたっていて、イワンは300年後の世界に行ってしまうという、浦島太郎のようなお話です。

2.作り変え@

アイデア1           急に、「大きな声」を出して、びっくりさせる。

 断っておきますが、毎回驚かしたり、1話に3回も4回も驚かしたらダメですよ。子どもが警戒して聞くようになってしまいますから。10話に1回ぐらいがいいかなあと思っています。
 【アレクセイのゆうれいは、お酒をコップにつぐと、「さあ、のめ。」といって、わたしました。イワンは、コップを高くあげると、のみほしました。】
 この記述の部分で「アイデア1」を使うのです。
 私の読み聞かせは、動作を伴いますから、まずは、コップに酒をつぐまねをします。そして、コップをもつのです。中を見て、ゆっくりとコップを口元に持っていきます。子どもの目が私の口元に集中します。ゆっくりと、飲んでいきます。ここで3〜4秒の「間」があくのです。そこで、「うわあー」という声を出します。子どもはびくっと、飛び上がります。
 ●静かになる場面。●ゆっくりとした動作の場面。●「どうなるのかな」と息を飲む場面。
 こういう場面だと、驚かせることができます。
 断っておきますが、10話に1話、1年に2〜3回でよいと思います。あまりやると、子どもに嫌われますよ。

3.作り変えA

アイデア2       「間」のある部分の動作を面白く作り変える。   

 先ほどの場面です。また、書きますね。
【アレクセイのゆうれいは、お酒をコップにつぐと、「さあ、のめ。」といって、わたしました。イワンは、コップを高くあげると、のみほしました。】
 
この部分で私は、またしても少し変えてしまいます。アイデア2です。
 コップでお酒を飲んだ後、「う、う、う‥‥」と言って、口を押さえます。子どもは「何だ、毒だったのか」「えっ、大変なものを飲んだの」と食い入るように私に集中します。私は「う、う‥‥」としばらくうなった後、次のように言います。
 「うまい。」(さらりと、平然として言います。)かくして、教室は大爆笑になります。怖い話でこんなに笑わせていいのかなと少し罪悪感を感じます。
 2杯目の酒の時は次のように言います。「おう、おう、お、お‥‥」と、「お」を言いながら苦しそうにうなった後、
 「おいしい。」これも大爆笑です。
 3杯目の酒は「い」です。「い、い、い、‥‥」の後、「いい味だ」と言います。3回目になると、「どんな面白いことを言うのか」と期待してまっているようです。
 ちなみに「あ」では「あまい」と「ああ、おいしい」。「え」では「ええ味だ」というように考えられます。

 もちろん、こんなことは本には、一言も書いてありませんよ。

4.作り変えB

アイデア3       書いてあることと逆のことをやる(言う)。

 前述の本の中の「ゆうれいをだました男」という話の最後に次のような表現があります。
「ハンスや。おまえは、このわしをだましたな。でも、わしはけっして、おまえをしかりはしない。−ーしかるどころか、よろこんでいるんだよ。‥‥(後略)」

 この表現を次のように言うのです。
「ハンスや。おまえは、このわしをだましたな。わたしは、おまえを墓場にひきずりこみにきたんだ。覚悟しろよ‥‥

 子どもは「えっ」という怪訝そうな顔をしています。「なんで」と言う子も。そこで、ひとこと。
「うそだよ。その逆です。」といって、続きを読みます。
 さらりと、嫌味のないようにやるのがコツです。

 間違えないでいただきたいのは、「いつも、作品を作り変える」ということではありません。ごく、たまにです。その中でも、9割は「怖い話」の場合です。
 怖い話が、「あまり怖くならないようにする」というねらいがあることをお忘れなく。

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