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こんな「読み聞かせ」の
本あります

   読み聞かせの技術をあげるためのページです
             千葉昌之 HIP


1.読み聞かせ関連図書
 読み聞かせに関わる本を集めてみました。千葉の感想も入っています。

@ 「先生、本を読んで。心を育てる読み聞かせ実践論」 村上淳子 ポプラ社 1999年 \1200

 「読み聞かせで子どもを変える・教室を変える」。小中学校の教師として38年間にわたり、読み聞かせの実践を続けてきた教師の実践記録です。中学校の読み聞かせの実践が数多く書かれています。特に、校長として行った、保護者や教師による全学級の児童生徒への読み聞かせの実践には勇気付けられました。142頁の次の文章には納得。

 読書は本来自分一人でするもので、読み聞かせなど必要ない、ましてや中学生に読んで聞かせるなどしなくてもよい、という考え方がある。その意見も確かに正しい。しかし、自分で読書をしなさいといっても、それは無理なことである。

A 「読み聞かせ この素晴らしい世界」 ジム・トレリース 高文研 1987年 \1300

 「読み聞かせを始めました。」と私が言ったところ、「この本がいいよ。」とある方がすすめてくれたのがこの本です。扉ページの後ろに、次の言葉が書いてあります。1981年のシカゴ市教育長ルース・ラブの言葉です。【もしも世の親たちが、学齢前のわが子に1日15分、本の読み聞かせをするようになれば、学校に革命を起こすことが出来るでしょう。】私は、子どもが生まれる前に「何で、1日15分ぐらい、読み聞かせが出来ないのか。」と思っていました。しかしいざ生まれてみると、これが難しい。子どもが「パパ,本読んで。」と本を持ってきても、「ママに読んでもらいなさい」と言ってしまう始末。この本の中で、「1歳になったら、毎日子どもに読み聞かせを行う。」と自信に満ちた表情でしゃべっている人に、作者はこう言ったそうです。『それは素晴らしいじゃないか、ビル。けど、今から読み聞かせをしてはどうだい。』後からやると言ってもダメです。「いいな」と思ったらすぐに実行しなさいということです。


B 「子どもへの絵本の読みかたり 読み聞かせから読み語りへ」古橋和夫 萌文書林 1999年 \1600

 「読み聞かせ」と「読み語り」は、どう違うのだろうか。こんな疑問が湧いてきます。この本では、「『読み語り』という言葉は、お話の世界への聞き手(読者)の主体的な参加を強調することです。」と言っています。つまり、「読み手」が一方的に話すのではなく、「聞き手」と対話するように一体化して語りなさい、ということなのでしょう。 この本では、読んでいく時の「間」の効果について詳しく述べています。こんな文も載っていました。

 「間」を活かすことによって聞き手に魔法をかけることも出来ます。
 人間的感動の大部分は人間の内部にあるのではなく、人と人との間にある。

 私も10年間,読み聞かせていて「間」が1番大切だと感じています。「間抜け」にならないように・・・。


C 「いのちをみつめるブックトーク」 山花郁子 かど創房 1997年 \1800

 「ブックトーク」というのは、ある本を相手にその本を読みたいという気持ちを起こさせるように、上手にかいつまんで紹介することをいいます。「いのちを見つめる〜」なんて、おおげさなタイトルだろうと思いましたが、タイトル通りの実践例が載っています。「天災で命を奪われた子」「自殺した子」「病死した子」「事故死した子」の親達との語らいを何度も行っています。そんな中で、文字通り「いのちを見つめるブックトーク」を行っています。「誕生から死にいたる命の問題について、子どもに考える機会を与えよう(本を与えよう)」という主張です。私の頭の中にいくつか浮かんだ本は『わすれられないおくりもの』『いつでもあえる』『ずっとずっといっしょだよ』です。後者2点は保護者から紹介されました。『いつでもあえる』は転校生にプレゼントしています。しかし、他の本も知りました。この本を読んで、私は次の4冊が欲しいと思いました。

『パパとのぼった木』(C.Sアドラー文研出版)、『さよなら、ルーネ』(マーリット・カルホール福武書店)、『パパにはともだちがたくさんいた』(すえもりちえこ すえもりブックス)、『アニーとおばあちゃん』(ミスカ・マイルズ あすなろ書店)

D 「子どもを本好きにするには」 深澤五郎 明治図書 1989年 \980 

 私が読み聞かせの「座右の銘」としている本です。読み聞かせはもちろん、学級文庫の作り方までも触れています。読み聞かせると良い本もこの本を見て何冊かそろえました。この本に載っている灰谷健次郎氏の「いえでぼうや」、山中恒氏の「まけないあきら」などの読み聞かせは本当に面白かったです。深澤氏の本は教室で読み聞かせを行う方は、ぜひそろえていただきたい本です。深澤氏は、こういいます。

 読み聞かせる。ただ,読み聞かせ続ける。毎日休まず、読み聞かせる。

 私も、この1点が「子どもを本好きにする」最大のポイントと考えます。


E 「子どもを本好きにするブックリスト」 深澤五郎 明治図書 1991年 \1030

 「子どもを本好きにするには」の続編ともいえるべき本です。この本の中で「おはなしのろうそく」の紹介をしています。深澤氏の推薦図書は、向山氏の「家庭学習法」の中にも紹介されています。さすが、子どもが興味をひく本を選ぶなあと感心させられます。推薦図書の他にも、「教科別ブックリスト」、「学級名のブックリスト」など、豊富なブックリストが出てきます。この本で1番に素晴らしい実践だと思ったことは次のことです。

  読み終えた本を子ども達に学級文庫として貸し与える。

 これだけのことなのですが、子どもの反応がすごい。誰もが「借りたい、借りたい」とコールが起こります。かくして、大規模なじゃんけん大会が始まります。勝った子のうれしそうなこと。ゲームで勝つ笑顔とはまた違ったものを感じます。


F 「子供を本好きにする33のコツ」 柏木英樹 明治図書 1993年 \1550

 この本も教師が書いたものです。この教師のクラスの素晴らしさは数字に表れています。次のことです。

 全員読書100冊読破。

 これはものすごい数字です。クラスの27名全員が1年間にそれぞれ100冊以上の本を読んだのです。私のクラスは1学期現在7名が100冊以上です。しかし、まだ10冊に満たない子も結構います。この本は、本が嫌いな子、読まない子に対して、あの手この手で本を読ませるようにしてきたという実践が書いてあります。タイトル通り「33のコツ」が書いてあります。このコツを全てやったら大変だと思いますが、「あっ、これなら出来る。」とか「これなら、やってるぞ。」というコツもあり、安心します。


G 「子どもを読書好きにする読書指導50のコツ」 上條晴夫 学事出版 1996年 \1600

 この本ではAの『読み聞かせーこの素晴らしい世界』を参考にして、読み聞かせ10か条を紹介しています。それによると、@人の話を聞く技術は後天的であると知ること。A時間が許す限り頻繁に行うこと。B絵本から始め、お話の本、小説へと進むこと。C聞き手の興味を宙ぶらりんにするためによい場面で区切ること。D読み聞かせのあとは話し合いの時間を持つこと。E読み聞かせには練習が必要であること。F表情を豊かに読むこと。Gゆっくりした速さで読むこと。H読む本にはあらかじめ目を通しておくこと。Iいったん読み始めた本は最後まで読み聞かせを続けること。この中で最も大切なのは、Cだと言っています。これは、大切です。簡単に言うと、「いいところで終る。」のです。子どもの口から「もう少し読んで。」とか「いつも、いいところで終る。」なんて声が出ればしめたものです。また、「紙芝居でトレーニングするといい」と書いています。これは私も同感です。その他、この本には様々な読書指導のコツが書いてあります。


H 「絵本 ひと 心の旅ー読み聞かせガイドブック2」 渡辺順子 エイデル出版 1995年 \1500

 渡辺さんは、「私の『超早期教育』2つ」として、次のことを挙げています。@基本的生活習慣。A絵本の読み聞かせ。この2点です。読み聞かせに関しては、こう言っています。

 絵本の読み聞かせは、1日24時間の内の、ほんの5分か10分で出来ることです。公立図書館や文庫を利用して無料で、すべての家庭でできる「知性教育」です。それは、人格形成に欠かせない心の栄養であり、人生の財産です。

 この「ほんの5分か10分」が難しいんですよねえ。この本はガイドブックですが、読み聞かせのための次の絵本の紹介をしています。1環境絵本、2平和絵本、3老いを考える絵本、4章害のある人々を理解する絵本、5クリスマス・サンタ絵本、6民話絵本。この中の「障害のある人々を理解する絵本」は10のジャンルに分けて本を紹介しています。これだけで、実に84冊の本を紹介しています。総合的な学習の時間が始まっています。福祉の学習の中で使えそうな本ばかりです。


I 「お話とは」 松岡享子 東京子ども図書館 1974年 \357

 この本では、「お話」を「ブックトーク」や「読み聞かせ」と混同しないようにといっています。ブックトークは簡単にいうと、本の紹介です。「読み聞かせ」と「お話」は違うようです。違う点は、次のことです。【子どもに語る話を覚えているかどうか。】つまり、本を見て読むのが、「読み聞かせ」、本を見ないで子どもだけ見て語るのが「お話」ということになります。「お話」は別名「ストーリーテリング」と言います。この本は、ストーリテリングをすすめています。また、次のような技術(方法)も大切であるといっています。

 本にのっている作品を語ったときは、図書館では」とくに、「今の話は、この本に入っています」と、子どもに知らせることが大事です。このことは、子どもに、本に対する興味を起こさせるのが、児童図書館員の役目であることからいって当然のことですが、実際、それは子どもに読む気を起こさせる手段として非常に有効です。

 つまり、「読んだ本は紹介せよ。(学級文庫に入れよ)」ということなのでしょう。


J 「お話を語る」 松岡享子 日本エディタースクール出版部 1994年 \1500

  この本では「間」の働きを2点挙げています。一つは、「語り手がそれまでに語ったことを、聞き手に受け入れさせる働き」。もう一つは、「場面転換に使われる間とか、聞き手の気持ちをひとつにまとめる間」です。「間」の大切さについて記述されている部分が非常にためになります。みなさんもこころがけると良いのは、次のことではないでしょうか。

 わたしはいろいろな人の話を聞いていますが、だいたいにおいて、間を足らない人は多いけれど,、間をとりすぎる人はめったにいません。ですから、たいていの人は、自分の思うより、もう少しよけいに間をとるように心がければよいでしょう。とくに、場面の転換、時間の経過など、聞き手が頭の中をいちど整理する必要のあるところでは、たっぷり間を取りましょう。子ども達に話をするとき、間をとりすぎていけないのは、反語的質問のときぐらいです。

 反語的質問とは、「○○でしょうか。いいえ、○○でした。」という文です。この時は、間は要らないようです。今後は、「間」を意識して読み聞かせを行っていきたいです。


K 「ストーリーテリングの世界‐スペンサー・G・ショウの考え方」 竹内メ@日本図書館協会 1999年 \1800

 松岡享子さんは、(『お話とは』東京子ども図書館)の中で、次のように述べています。

ストーリーテリングにあたる日本語としては、「お話」ということばが、一番普通で、一番適当だと思います。

 「本も何も見ずに、子どもにお話を語る。」ということでしょう。本書と3部作をなすものとして、『ストーリーテリングと図書館』『ストーリーテリングの実践』がありますが、どれも話が難しく感じました。しかし、ためになる部分は多々ありました。「お話で心の教育を」という旨のような部分がかかれていましたので引用します。 

 お話の語り手の目標は、切実な同情と思いやり、つまり他者の不幸によって心がかき乱されたり、幸福を喜んだり、他者の運命を自分自身のものと感じるというこの不思議な人間の能力を、何としてでも子どもたちの中に育てることである。

とし、「語り手は、感情豊かに読むように」といっています。


L 「語り‐豊饒の世界へ‐語りの入門講座<理論編>」 片岡輝/櫻井美紀 萌文社 1998年 \2381

 「豊饒」は、「ほうじょう」と読みます。「豊かに多いこと。」という意味です。つまり、言葉を通して心の世界を豊かにするという意味のタイトルなのです。この話では、「学校では語りが行われていない。先生方は大切だと思っているが実行はしていない。」といっています。それでも、発達段階別に、児童期の子どもに届ける昔話と物語を載せています。

低学年-明るく、幸せな話  小学1,2年生はまだまだ幼いところがあり、精神の未発達なところが多いものです。聞く楽しみを一人ひとりが見出せる昔話や物語を選びましょう。
中学年-怖いものに出合う話  やまんばや魔女が出てくるものを、この時期の子どもたちは喜びます。
高学年-自分らしさを見つける話  この年齢の子どもは昔話や物語を聞きながら主人公に自分を重ね合わせ,自分の人生の予行練習をします。昔話うあ物語の主人公は自分に欠けているものを求めて旅に出て、さまざまな試練を課せられます。子どもが試練に打ち克つ話を喜んで聞くのは、自分が今、困難に立ち向かい前進したいと考えているからで、主人公とともに道を切り開いて進む経験をするためです。困難な立場に立った主人公を助ける超自然の援助者が現れる物語は、とくにこの時期の子どもに大切です。

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