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声の大きさや速さの工夫

   読み聞かせの技術をあげるためのページです
             千葉昌之 HIP


1.聴衆反応を意識した話し方を

 また、引用になってしまいますが、野口芳宏氏の言葉をおかりします。教師としての話しての心得ということで非常に参考になると考えます。(『豊かな言葉の教育』明治図書236頁)

聴衆反応に応じて話し方を変えよ。

という事です。引用いたします。

 教師は、立場としては「話す側」であり「話し手」である。自分が話していることに対して、子どもがどういう反応を示しているかを常に注意深く診断しつつ、子どもに頷かれ、喜ばれ、歓迎される話題、話法、話術を提供できなければならない。「聴衆反応」に常に敏感でありつつ、その反応を活き活きとしたものにすべく、自らの話し方を望ましく変えてゆかなければならない。
 「静かにせよ」「脇見をするな」「私語をするな」ということも、大切な聞き方のしつけであるが、一方「静かにできない話し方」「脇見をしたくなるような話し方」「私語をしたくなるような話し方」をしている己の未熟さと厚顔をも謙虚に反省できる心がけも大切である。そのような反省こそが、教師の話ことばの技を向上させていくのである。

 「子どもが聞かないのは教師(大人)の責任である」この姿勢から、読み聞かせを行っていくことが大切だと感じています。

2.声の大きさや速さのアイデア

アイデア1    教室の隅の子が聞こえる声で語る。(大きな声が良いとは限らない)

 国語教育の大家、野口芳宏先生の話をもう10回近く伺っています。先生は「読み聞かせ」について語った時に次のようにおっしゃっていました。

 大きい声が良いというわけじゃないんだよ。例えば、「花火が上がりました。ドカン」と大きな声で読むよりも、「花火があがりました(間)ドカン・・・」と読むほうが余韻を残して聞き手がその場面を想像できるんだよ。

 確かに、読み聞かせの声の大きさを実物の音の大きさに近づけようとすると、無理があります。(子どもは驚くかも知れませんが) 『番ねずみのヤカちゃん』という話があります。ヤカちゃんの声が家が震えるほど、大きいのです。私はもう5クラスで読み聞かせましたが、はじめの頃は大きな声を出していました。子どもは喜びましたが、「何か、ピンと来ないなあ」と思いながら、読み聞かせていました。このことだったのです。騒がしい読み聞かせになってしまいますよね。
 声の大きさですが教室の一番すみの子(一番遠い子)が聞こえる声であればよいと思います。

アイデア2    口を少し大きく開け、はっきり発音し、ゆっくりと読む。

これは、基本的なことなので、詳しくは説明しませんよ。私自身は、口の開け方が小さくなります。昔、「口をはっきり開けないから、何を言っているのかよくわからないよ」と言われたことがあります。なお「ゆっくり」というのは、適度な速さという事です。聞き手がイメージできるぐらいゆったりと読むといいですね。

アイデア3    会話文は少し大きめの声で、地の文は少し小さめの声で読む。

 声の大きさの強弱についてです。本来ならば、会話文にも様々なアクセントや強弱がありますが、大抵は上記の様でよいかと考えます。会話文と、その他の文という押さえです。まずは、これだけ気をつけているとよいかと思います。

 ただ、次のようなアイデアもあります。これは中級・上級編という感じです。なお、この読み方は、野口芳宏先生の提唱する『教室音読』を参考にしています。 

アイデア4    会話文は、そこにこめられた心情を考えて読む。

 こめられた心情を考えることで読む声の大きさや速さも変わってきますよね。

アイデア5    重要な文の前は、だんだん声を大きくしていく。(盛り上げていくように)

 だんだん大きくしていくことにより、聞き手の意識がひきつけられます。

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