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読み聞かせのQ&A@〜B

   読み聞かせのちょっとしたアイデアのページです
           千葉昌之 HIP


 「掲示板」やメールより、みなさんの悩みや疑問などをピックアップさせていただきました。その悩みに千葉なりの答えをいたします。独断と偏見に満ちた答えですが、よろしくお願いいたします。
 「だれでも読み聞かせはできる」ということを念頭において書いています。読み聞かせのセオリーからずれてしまう回答も多々あるかと思いますが、ご了承下さい。




Q1 読み聞かせで「声色」は変えた方がいいの?

 読み聞かせでは、できるだけ声色を変えないで読むことが大切だといわれました。確かに、声色を変えるということは読み手の解釈が入ってしまうことになり、子どもの自由な想像を奪ってしまうように思います。
 でも、いざ読んでみると、声色を変えないで読むのは難しいし、子どもものってくれそうにないのです。「声色」をどのように考えたらよいのでしょうか

ちばちゃんのA
 「声色」は変えてもいいと思います。確かに、声色を変えるということは、解釈の押し付けになってしまうかもしれません。紙芝居や狂言・落語ならいいのでしょうね。一般的な読み聞かせで声色を変えることは、読み手が、このキャラクターはこんな感じの声でこんな風に間をとりながら‥‥など、読み手のペースで読んでしまうことになりますものね。
 読み手が解釈を誤ったら、聞き手も解釈を誤ったことになってしまいますし、聞き手全てが同じ解釈をもつことになってしまう‥‥‥、こんなことを考えて、悩みながら、読んだ方がいいのでしょうか。
 違うと思います。大切なのは、子ども達が楽しんだかどうかです。子どもたちが楽しんだかどうかということは、読み手が楽しんだかどうかにつながっていきます。読み手が楽しく読めることなしに、聞き手もたのしくなるはずはありません。
 「声色を変えるのは、何となく窮屈だ」と感じるようでしたら、やめるべきです。窮屈だと感じて読んでいても楽しくありませんし、長続きしないと思います。
 低い声の人、高い声の人、ハスキーな人、小さな声の人‥‥、どんな声だって「親」からもらったものです。自分の声を生かして、楽しく読んでいけばいいのだと思います。

 私は、簡単に次のように声色を変えています。
 ●地の文(会話文以外
)⇒説明調に淡々とどちらかというと小さな声で読む。
 ●会話文⇒地の文よりは大きな声で感情をこめて。
    (一般的に男性は低い声で、女性や子どもは高い声で読んでいるようです。)
 細かいことをいうと、悪人は悪人らしく「吐き捨てるようなしゃべり方」をしますし、ポケーッとしているようなキャラクターは「間の抜けた感じ」で顔までポカンとさせるように読んでいます。
 これらは好みもあります。私は「声色を変えるほうが楽しい」と感じるから、やっているのです。間違えないで欲しいのは、「声色を変えなさい」ということではなく、「自分の好きなように読みましょう」ということですよ。




 

Q2 高学年でも読み聞かせは、喜んで聞くものなの?

 読み聞かせの学校でのボランティアをしているものです。今まで低学年で読み聞かせを行っていたのですが、今度5学年で読み聞かせを行うことになりました。高学年の子は、「読み聞かせなんて」というように感じる子どももいると思います。ちょっと不安です。高学年の子どもでも、読み聞かせは喜んで聞くものなのでしょうか

ちばちゃんのA
 私は、読み聞かせには高学年も低学年もないと思っています。高学年になったから、読み聞かせを聞かなくなるということはないと思います。私は、1年から6年までを全て2回ずつ受け持っていて、読み聞かせも同様に行ってきました。
 また、私のお世話になっている石川先生という方は、中学生でも、ちゃんと読み聞かせています。喜んで聞くようですよ。

 高学年に読み聞かせる前に、次の思いを必ず持ってください。
     ●高学年も低学年と同じだという考えを持つこと。
 「高学年は聞いてくれないんじゃないか」と思いながら読まないで下さい。こんな風に思いながら読むと、いつもと違って、面白味の無い読み方になってしまいます。読み手も子どもも、のらない読み聞かせになってしまいます。これは高学年だからということではなくて、疑って読んでしまったあなたが
悪いのです。
 また、高学年はそういう雰囲気には敏感ですから、「あっ、照れて読んでいるのかな?」とか「このクラスで読むの嫌なのかな?」
とかを感じ取ってしまいます。いつも通りに読めばいいのです。

 また、本の内容を少し吟味することも大切です。
     ●「怖い話」「くだらないしゃれ」の話もたまには、入れるとよい。
 私のHPのしゃれの話をしてみて下さい。「さむーい」と言われると思いますが、「面白いぞ、この人」と思われることは受けあいです。「面白い人だ」こういう土壌ができてしまうと、読み聞かせもすんなりと入ることができます。そうそう、「おはなしのろうそく」は全て高学年でもOKです。どれを読んでも高学年も喜びます。

     ●初めての読み聞かせが大切である。
 これは、どの学年でもそうですが、特に高学年では大切です。私は、高学年を持った初めての読み聞かせは怖い話と決めています。初回は、自分の1番の読み聞かせの本を持ってくると思いますから、怖い話でなくてもいいですよ。
 「読み聞かせをする」⇒「面白かった」⇒「また、これからも読むよ」⇒「やったあ」
このような図式が成り立てばもう安心です。


 3点について述べましたが、1番大切なのは、1点目の「学年に差はない」と思うことです。
 「高学年だけど、聞いてくれますか」とか、「今日の読み聞かせ、おもしろかった?」「また、読んでもいいかな?」などと、あまり聞かない方がいいと思います。高学年は、こういう雰囲気には敏感なので、子どもはいらぬことまで感じ取ってしまうかも知れません。
 また、「面白くなかった。」と声に出して言う子もいるかも知れません。そこは、低学年と若干違うかも知れません。これも悩まないで「当たり
前」だと思ってください。40名いて、全てが「面白い」と思ったら奇跡です。
 もっとも、全ての子どもが面白いと思うようにやることは、私たちの姿勢として必要ですが、ある面では「面白くないという子がいてもしょうがない」と割り切って読まないと、苦になってしまいますから。
 楽しく、らくに、力を抜いて読みましょうよ。




Q3 読み聞かせには、どのような本を選ぶの?

 読み聞かせで、どのような本を読んだらいいのか、悩んでいます。とりあえず、「ハリ−ポッタ」の本があるので読み聞かせましたが、2年生には少し難しそうでした。途中で飽きてしまったらしく、私も止めてしまいました。今度こそはと、新しい本の読み聞かせに挑戦しようと思っています。何か、読み聞かせ用にいい本がありましたら、教えて下さい。

ちばちゃんのA

 読み聞かせが慣れてくれば、どんな本を読んでも構わないと思うのですが、私は次のように押さえています。
                
●読み聞かせの学年−2学年程度の本

 例えば、5学年でしたら、2を引いて3学年が読む程度の本。3学年でしたら、3−2で、1学年程度の本ということになります。
 この「学年程度」というのも適当なところです。つまり、その学年より易しそうな本を選ぶということです。もし、難しい本を読み始めてしまった場合は、すぐに止めたらいいと思います。私も2〜3回読んでやめてしまった本が何冊かあります。3学年に柏葉幸子さんの「地下室からのふしぎな旅」を読んだ時、5学年に「シャーロックホームズの冒険」を読んだ時は、2回ぐらいで「難しいからやめるよ」と言って、読み聞かせをやめてしまいました。読み聞かせを途中でやめる、いさぎよさも大切かなと思います。

私が10年間読み聞かせてきて、「これはよかった」と思える本をいくつかあげておきます。たくさんあるので、ベスト3にしぼります。いつか、HPできちんと書きます。(予定)

【全学年対応】
●「おはなしのろうそく1〜23巻」東京子ども図書館この本についての説明は、私のHPをご覧になって下さい。ぜひ、1家(教室)に1セットをという本です。

【低学年 1〜3年生】
@「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」ガネット 福音館書店文句なしに楽しめる冒険物です。3部作にあっているので、やはり「エルマーのぼうけん」から詠みはじめるのがセオリーです。子ども達はワクワクしながら聞くでしょう。低学年を受け持ったら、ぜひ読み聞かせたい本です。3か月程度はこの本3冊で持ちますよ。この本を買う子、「宝物」にする子も出てきました。私のHPには、子ども向けのクイズが出ていますよ。

A「いえでぼうや」灰谷健次郎 理論社これは、高学年にもいいですが、1年生の話なので、低学年が1番喜ぶでしょうね。初めての参観日での失敗を描いています。子ども達は、共感を覚えますよ、きっと。私は、これを読むと、金子みすヾさんの「みんなちがってみんないい」を思い出します。自分らしさを見失わないように、そんなメッセージがこめられているような気がします。それでいて、面白いんですね、これが。灰谷さんのユーモアが感じられます。「マコチン」も灰谷さんの作品ですが、低学年にはいいですよね。

B「まけないアキラ」 山中恒 理論社いつもおもちゃを粗末に扱うアキラ。そんなアキラがおもちゃに復讐されてしまうという話です。道徳的なテーマなのですが、お説教じみていないし、話がリアルで面白いです。「次は、どうなるのかな?」と、子ども達はワクワクしながら聞いていると思います。この本も私のHPでは、クイズいしていますので、ご覧になって下さい。

【高学年 4〜6年生】
@「チョコレート戦争」 大石真 理論社これは2クラスで読みました。約1か月かかりました。昭和40年代の話だと思うのですが、今の子ども達の心理と変わりません。いたずらという「裏文化」の話が描かれています。その「いたずら」の原因は、そもそも大人のカン違いから、子どもが犯人として疑われてしまうというものです。「冤罪」というには意味が大きすぎるかもしれませんが、子どもは「いいぞ」「がんばれ」と、罪をきせられた子ども達を応援しながら聞く事でしょう。「初めての長編」として、オススメの作品です。

A「新ちゃんが泣いた」 佐藤州男 文研出版
剛くんのおさななじみの新ちゃんという「四肢性マヒ」を持つ子どもが、5年生の教室へ編入することになりました。車椅子のスロープの問題、手すりの問題、トイレの問題、運動会の問題‥‥。問題は、数えればきりがないくらい出て来ます。クラスは、初め無関心をよそおう子どももいましたが、新ちゃんのことを考えながら、団結していきます。どんな時にも、泣かずに嫌な顔一つせず、がんばってきた新ちゃん。でも、最後には、こらえきれずに泣いてしまいます。福祉ボランティア特にノーマライゼーションという問題を考えさせるには、うってつけの本です。ひそかに私は、この本が高学年の読み聞かせbPだと思っています。この作者の佐藤さんは、学校の教師でしたが、自ら筋ジストロフィーという病気と闘った方です。学校の先生なら分かると思いますが、酒井式描画指導法の酒井先生の実兄にあたる方です。亡くなってしまいましたが、素晴らしい本を書き残しました。

B「ハリーポッターと賢者の石」 JK・ローリング〜詳しくは、ハリポタのサイトをご覧になって下さい。第1章をどう読むのかがポイントです。第1章にハリーは登場しません。最後の方で、校長先生に抱かれたハリーが登場するぐらいです。しゃべったり、考えたりする場面はありません。説明調の文章が続いています。どちらかというと、子どもが飽きる場面です。私も最初、「何だ、思ったより面白くないな」と思いました。私の学校のある先生も第1章で少し飽きて本をほっぽりだしてしまったそうです。1週間ぐらいたってからまた読み始め、2章に入ったところから、もう目が離せなくなったと言っていました。
 第2章からは、ハリーの10歳からスタートします。ここから様々な事件が起こるからです。ここからは、一気に読んでしまいます。つまり、「第2章までたどり着けば何とかなる」のです。何とかなると考え直し、読み聞かせることにしました。購入してから実に半年、12年11月のことでした。
 読み聞かせ次第でハリポタブームが起こること、間違いなしです。
 

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