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「1人ぐらい‥」という考えはいけない

   教室で子ども達に語る「心の話」のページです
           千葉昌之 HIP


1.どんな時に話すのか

■全員で何かをやりとげるときに  ■学級開きの話として  この話は次の本を参考にしています。( 笠巻 勝利 『眼からウロコが落ちる本』 74頁 PHP研究所 ) 

2.教師の話

 ある村で酒盛りをすることになりました。
 村の人たちは、それぞれ、徳利にお酒を入れて集まることになりました。

 嘉助という男がいました。嘉助は大のお酒好きでした。家のお酒を持っていくのが少し惜しくなりました。そして、次のように考えたのです。

 「酒を持っていくのは、もったいないな。おれ1人ぐらい、酒のかわりに水を持っていっても、わからないんじゃないのだろうか?」
ということで、お酒のかわりに水を入れた徳利をもっていきました。
 
 そして、何食わぬ顔で、大きな釜の中に自分の徳利の水をあけました。


 全員が集まったところで、酒盛りが始まりました。そして、嘉助は一口飲んだところで、顔が真っ赤になってしまいました。
 さて、ここで問題です。

嘉助は、なぜ、顔が赤くなったのでしょうか?

次の3つの中から選んで下さいね。

 @お酒に酔ってしまったから

 A自分だけが水を持ってきたことが恥ずかしくなった

 Bみんなも水を持ってきて入れたことを知ったから

 答えはBです。実は、嘉助だけではなく、みんなの顔も真っ赤になっていました。友達の権兵衛も与助も同じ事を考えていたのです。みんな、水をもってきたのでした。

 いまさらお互いに「誰だ、酒のかわりに水を入れてきたのは?」とは言えず、しらけた雰囲気の中で酒盛りが終わりました。

 こういうことってたくさんあるでしょう。
●みんなが意見を出すだろうから、おれ1人ぐらい言わなくてもいい。
●みんなのうちのだれかが手伝うだろうから、私1人ぐらい手伝わなくてもいい。
 1人欠けるということは、全員が欠けることにつながります。「1人ぐらい‥‥」という考えは、全員がだめになることにつながるんだよ。

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