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家庭で手軽に紙芝居

   家庭で紙芝居を行う方のページです
             千葉昌之 HIP


 ※紙芝居を家庭で行うなんて、おっくうに考えていませんか?たしかに、持ち運びは不便です。しかし、子どもが喜び、語り手も「語り」が上手になるという一石二鳥の紙芝居を、みなさんもやってみませんか?。

1.紙芝居の基本的なやり方
 童心社の紙芝居の表紙の裏に「紙芝居のやり方」が書いてあります。「演ずる前に必ずお読みください」とあります。「使用上の注意」と同じで、これを読まずにすぐはじめる人がいますが、こういうのはしっかりと読んでおくのが懸命です。ちょっと、抜き書きしてみます。
 
 @必ず舞台をお使いください。紙芝居は、動かない画と、文と、朗読とぬき方をともなう実演とが、混然一体となって、幼児を楽しいドラマの世界に誘う視聴覚教材です。舞台へいれて演じないと、ぬき方の効果が全然期待できませんので、紙芝居の楽しさは半減してしまいます

 A必ず下読みをして下さい。作品のテーマ、語り口、登場人物の性格などをつかんではじめないと失敗します。

 Bはじめる前に、画が順番どおり揃っているか、必ず確かめましょう。順番が狂っていて、中途でやり直しをすると、もりあげてきたドラマが中断されて、せっかく集中してきたこどもたちは、とまどってしまいます。

 C紙芝居では、ぬき方が大変重要です。単純なーぬくーという動きが、ドラマの進行、展開の上で重要な役割をしますので、水平に、静かに、心をこめてぬいてください。−ぬきながらー、−はやくぬくー、−線までぬいてーなど、その部分の文章と画面の総合する効果をよくのみこんで、指定どおり演じてください。

 D紙芝居は、演じ手のもちまえの声、調子で、せりふも、老人らしく、子どもらしく演じわける程度がよく、オーバーな声色は、かえって、動かない画面との調和を破って、ドラマを破綻させます。

 Eその作品にふさわしい語り口、緩急のリズムがありますので、それにのるように演じて下さい。子どもたちの理解や喜びをいっそう大きくすることでしょう。

 @の「必ず舞台をお使いください」で挫折してしまう人がきっといるでしょう。「ああ、うちには舞台がない。」しかも、最後に舞台がないと「紙芝居の楽しさは半減してしまいます」とまで書いています。
 確かに、「舞台」があると子どもはのります。学校にも舞台があります。舞台があると、子どもの期待も高まり、面白さもアップするでしょう。しかし、家庭で行うには舞台は無理があります。もちろん、お手製の舞台があるといいのですが‥‥。
 「すぐできる」「手軽に」というのが私のHPのキーワードなので、ここでは、舞台を使わず、特別な下読みもしないで家庭で紙芝居が行えるという方法を紹介します。以下の2点に気をつけましょう。                             

2.舞台は、ひざの上
 家庭で行う紙芝居は、1対1か、1対2〜3人が基本でしょう。紙芝居の画面と子どもの視線が近いのが特徴です。

紙芝居の画面をひざの上に置いて,子どもの目線に合わせる。

 子どもは正座して聞く場合もあるでしょうが、家庭ですのでリラックスしてぐらをかいてすわったり、時には寝転がって聞いたりすることもあるでしょう。目線が変わるわけです。いつも同じ高さでやっていると、見ている子どもの首が疲れてしまいますから、目線だけは気をつけた方がよさそうです。
 私は、目線は「自分のひざ」で調節します。息子があぐらをかいたり正座している時には、私のひざを立てて、その上に画面をのせます。息子が寝転がっている時には、私は足を伸ばしてその上に画面を置きます。こうすると、目線が低い場合に対応できます。

3.声色は高い声と低い声 

 まず、これだけは気をつけてください。大切な基本ですので。

「会話文」と「地の文」を使い分ける。(声の大きさで)

 その時は、太郎が言いました。 B「兄ちゃんのバカヤロウ!」
 ここではAが「地の文」、Bが「会話文」です。 同じ調子で読むと、聞いていてわかりずらいのです。
    地の文は小さな声で、会話文は大きな声で。
 これだけでいいです。地の文は感情を殺し淡々と読むのが常ですし、会話文は感情で声の大きさも変わりますが、大体は大きな声で読んでいれば間違いなしです。ただ、「ささやきました」という部分を大きく読んではいけませんけど。

登場人物は、高い声と低い声で使い分ける。

 紙芝居では100%、登場人物がいます。同じ声の調子では、やはりわかりずらくなるので、声の調子を変えましょう。ただ単に「変える」といっても難しいので、高い声と低い声を使い分けましょう。
 「そんなのできない」という人は、ドレミファソラシドの高い「ド」と低い「ド」の音で「こんにちは」と、しゃべってみて下さい。絶対に声が変わりますよ。
   一般的に男の登場人物は低い声で、女の登場人物は高い声でしゃべる。
 もちろん、魔女なんかは低い声になる場合もありますし、男子ばかりの時は年齢や性格で声を使い分けなければなりません。基本的には、性別で使い分けましょう。

4.紙芝居のト書きから学ぼう
 
上記の2と3を念頭におくだけで、舞台も下読みもしないで、紙芝居が行えると思いますよ。でも、時間があれば、もちろん下読みをしましょう。
 読み聞かせを行う上で、これ以上のテキストは無いと思うくらい、「ト書き」が素晴らしいです。「ト書き」とは、紙芝居の裏、つまり読む部分の下(上や横の場合もある)に書いてある「このように読みなさい」という注意書きのことです。「演出ノート」と書かれている場合もあります。
 次のように書かれています。
●対話では、声の調子を変えて、お互いがよくわかるようにして下さい。
●やる人がおもしろい気分をもってやって下さい。
●「きた」というのを「きました」と変えることもさしつかえありません。
●見ている子どもたちの顔を見て、期待させるのもよい。
 その他、簡単に、
●「間」を必ずとること  ●大声で  ●うれしくてたまらない  ●切り口上でいいます
と簡単に書いている場合もあります。
 まとめるわけではありませんが、素晴らしいことが書いてありました。

やる人がおもしろい気分をもってやって下さい。

 全ては、ここなんですよね。無理にでも「おもしろい」「子どもが喜ぶ」と思ってやってみることです。読み聞かせのように失敗はまずないのが、紙芝居の特徴ですから。

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