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「ハリー・ポッター」ブームを作る(ハリー·ポッターと賢者の石)

   「ハリー·ポッターと賢者の石」の読み聞かせをする人のためのページです
             千葉昌之 HIP


1.読み聞かせにおける「ブーム」とは

 「ブームを作る」とは、簡単に言いますと、「流行らせる」という事です。まずは、読み聞かせにおいての「ブーム」とは、どのようなことをいうのか、考えてみます。
 ●子ども達の日常の会話の中に「ハリー・ポッター」の話が出てくる。
 ●読み聞かせの時を、子ども達が異常なほど、楽しみにしている。(変な言い方ですね。)
 ●「ハリー・ポッター」の本をたくさんの子どもが購入する。

 この「ブーム」についてですが、今まで一度だけ体験があります。
 1990年のことですが、「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」という話が、「ブーム」になりました。3年生でした。次のような様子が見られました。
 ★図工の「物語の絵」でクラスの約1/3が「エルマー」関係の絵を描いた。
 ★「私の宝物はエルマーの本」という子が数名いた。
 ★毎日、「エルマー」関係の本を持ってくる子どもが数名いた。
 ★読み聞かせの手ごたえがあった。(具体的に言えませんが、子ども達はとても楽しみにしていたのです。)
 ★学級旗が「エルマーとりゅう」になった。
 ★「エルマー」の本を10名近くの子どもが購入した。

 ブームになって良いことをいくつか、あげてみます。
@「読み聞かせ」に集中するようになる。
A他の本も購入したり、本をさらに読むようになる。
B保護者が、子どもの読書に興味を持つようになる。

 @ですが、普通は逆のことを考えそうです。「読んだ本なのだから、逆に聞かなくなるのでは」ということです。しかし、子どもは「気に入った本は何度でも読む」「知っている内容こそ、興味を持つ」という傾向がありますから、逆によく聞くようになります。

2.「ハリー・ポッター」ブーム

 平成12年の11月6日に「ハリー・ポッターと賢者の石」の読み聞かせを始めました。「この本を持っている人は」と聞きますと、3名の子どもが手を挙げました。うち、2名は「まだ、読みきっていない」「途中で読むのをやめている」という状態でした。
 平成12年12月25日に終業式を迎えました。第1巻のまだ半分、200ページあまりを読み終えたところでした。この日に「ハリポタを持っている人は」と聞いてみますと、実に18名の子が手をあげました。39名中、18名です。約半数の子がハリポタを持っているのです。まだ、増えるでしょう。私が読み聞かせを始めて10年間では1番のブームになっています。このブームについて考えてみましょう。

 @読み聞かせをしているから
 これが全てといってしまえば、それだけですが、「読み聞かせ」なしにはブームは無いと思います。先ほど述べた、本を持っていた2名ですが、「先生の読み聞かせに追いつかれないように」ということで、急いで読んでいたそうです。また、自分のハリポタの本を見ながら読み聞かせを聞いている子もいました。「先生、今日は何ページkらだっけ」と毎日聞いてきました。この行為も、他の子の心をくすぐったのかも知れません。

 A本が面白く、話題性がある
 この本の紹介は、「第1章をクリアするために」の中で述べていますので、ここではしません。イギリスでは、「児童書としては長すぎる」という理由で大手出版社では相手にされなかったそうです。私も「400ページ以上あるから読まないかな」と思っていました。そんな意味では、「子どもは長編を好まない」という固定観念を壊されました。「2日で読んだ」「朝まで読んだ」「こんなに長時間読んだのは初めて」‥‥、という声を聞きました。私たち大人にも経験があるはずです。「読んでいて、途中で止められなくなった」ということが。そんな体験を子どもに与えてくれる本です。

 B保護者に本の良さを訴える
 「親にすすめられると、読んでみる」という子もいます。それに、1900円もする本です。子どもには結構な出費になります。親の協力も必要になってきます。
 親に「本の良さ」を訴える方法としては、次の2点が考えられます。
            ●学級通信に書く。         ●参観日の懇談の中で話す。
 クリスマスプレゼントで買ってもらったという子が4〜5名いました。親としても、「子どもがもらって喜ぶ」「読書をする」と、一石二鳥のプレゼントになるかと考えます。
 また、「古本屋に1000円で売っていたんで、買ったよ。」という声も聞きました。古本屋には最近、児童書がたくさん置かれています。私も、購入しています。新品同様の本もたくさんあります。保護者にも、「古本屋もいいものですよ」とすすめています。

  C持ってきた本を紹介する
 今年度、「チョコレート戦争」「五体不満足」が、ちょっとしたブームになりました。特に「五体不満足」の方は青い鳥文庫の「五体不満足」、五体不満足の絵本版の「プレゼント」の3冊を購入する子が続出しました。

 良いことは必ず取りあげ、紹介する。

 これは、読書指導でも基本となることです。「本を持ってきたら」「感想を持ってきたら」‥、読書指導をすすめる上で有効になると思われる良い点は、例え時間がなくてもとりあげるべきです。
 ハリポタを持っている子を見つけたら、こう言うのです。

 あっ、ハリポタ買ったんだ。みんな、これ。○○さんもハリポタを買ったんだって。よかったね。

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