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 花王さんはえらかった‐点字の学習の導入に‐
   福祉ボランティアの実践をする人のためのページです
             千葉昌之 HIP


1.準備・文献等
 準備するものは、資料2点です。『障害のある子との交流教育導入のQA−子どもから出る疑問100』明治図書 『朝日新聞 97年5月15日朝刊』  また、実践内容は『ジュニアボランテフィア教育』東京教育技術研究所を参考にしています。
 「点字ペン」(東京教育技術研究所‐販売)「綿棒」も用意しました。
 この実践は、活動は少ないです。資料が重要だと考えます。読み聞かせる練習をしておくといいかもしれません。

2.実践

@シャンプーの容器を見せる

 おもむろに、シャンプーとリンスの容器を教卓の上に取り出しました。「これは、何ですか」と聞くと、すぐに「シャンプー」「リンス」と出てきました。これは当たり前です。

 「シャンプー」と「ボランティア」。実は、この2つは、結びつくのです。どのように結びつくのか、わかりますか。

 2人の子が手を挙げました。次のような意見を言いました。
   ●シャンプーの横には、ギザギザがある。
   ●ポンプの所に、3つの点がついている。
 2人をほめ、この意見を取り上げました。

「ギザギザ」や「点」は、何のためについているのでしょうか。

 すぐに、「目の不自由な人のため」という答えが出てきました。そこで、【資料1】を提示しました。花王石鹸の情報です。子ども達にはプリントして配りました。

A印が欲しい(シャンプーの印のわけ)

【資料1】 「髪を洗う時に、シャンプーとリンスの区別ができるようにできませんか。妹がいつも困っているのです。」花王株式会社にこんな手紙が届きました。弱視の妹をもつお姉さんからでした。
 そこで花王はさっそく開発を始めました。1989年のことでした。目を閉じたままでもシャンプーとリンスが区別できるようにするには、どうしたらよいのか。それが大きなテーマでした。試行錯誤のすえにたどりついたアイデア。それがシャンプーボトルぼ両側に、さわって分かる印を付けるというものでした。
 ですが、問題なのがこの印。どんな形、どんな大きさ、どんな問題にすればよいのかが、なかなか決まりません。そこで、花王の開発チームは、いくつかのサンプルを作りました。そして、その試作品を実際に目の不自由な方々に使ってもらうことにしました。障害のある方々からの生の意見こそが、1番の情報だと花王の開発チームは考えたのです。その協力を引き受けてくれたのは、千葉県の盲学校の方々でした。
 得られた様々な意見をもとに、今の「きざみ」のデザインが、ついに決定したのです。「きざみ」の数は、11から13。間隔も最適な幅が選ばれました。そして、1991年秋から、花王が販売する全てのシャンプーボトルに、その「きざみ」の印が入れられたのでした。

 花王は、開発したこの「きざみ」の印で実用新案をとりました。ですが、花王は、やがてこの実用新案の権利を放棄すること二しました。それは、「多くの人々の役立つためには、シャンプーをつくる業界全体が統一したサービスをすることが必要だ」という思いからでした。「そのためには、このきざみの印をどの会社でも自由に付けることができるようにすることが大事なんだ。」そう花王は考えたのです。
 そして花王は、化粧品工業界の各員各社に、この「きざみ」の印をシャンプーに付けてもらえるように、協力を願い出たのです。鐘紡(株)、牛乳石鹸共進社(株)、資生堂(株)、日本リーバ(株)、ライオン(株)などの各社が、さっそく、賛同をしてくれました。そして、「きざみ」の付いたシャンプーが次々と発売されるようになったのです。
 (けれども全ての会社というわけではありません。「きざみ」の金型を作るにはかなりの費用がかかります。ですから、中小の会社だと、難しい場合がでてくるのだそうです。)

 花王は、さらに開発を進めていました。1993年の秋からは、ポンプタイプのシャンプーには、ボトル両側の「きざみ」の他に、手が触れるポンプ頭部にも同様の「きざみ」が付けられるようになりました。−ほんとうに花王さんは、えらかった。−
     (『障害のある子との交流教育導入のQA−子どもから出る疑問100』明治図書28〜29頁)

 子ども達は口々に「花王さんは、えらい」と言っていました。
※花王さんへのリンクは次の通りです。(花王さんから許可を得ています)『シャンプーのきざみができるまで』(「社会・文化活動を  クリックして下さい)
  また、花王さんでは「バリアフリービデオ」の貸し出しを行っています。各地の総合的な学習の時間で活用されているようです。  以下は、ビデオのタイトルです。
  ●見えない目で歩いた街  ●バリアフリー社会をめざして  ●みんな一緒 雅士くんの1学期  ●みんなで跳んだ

B印だけでは不自由だ(点字が必要だ)

 さて、印さえあれば、全てが大丈夫というわけではありません。新聞にはこんな例が出ています。

 ここで、朝日新聞に載っていた記事を読みました。記事は、子どもに配布しました。

【資料2】 「自販機の前で悩む私」 飲み物の自動販売機には温かい飲み物と冷たいものが一緒に入っている。全盲の私には、それがとても悩ましい。
 先日、冷たいジュースを飲みたくなった。ところが、自販機にあるそれがジュースなのか、コーヒーなのか、私には知るすべが無い。しかたがないので、冷たいものなら何でもよいことにした。小銭を入れて適当なボタンを押した。しかし、出てきたのは熱い缶だった。また違うボタンを押した。やっぱり熱い。
 もう一度、挑戦しようと思ったが、背後に人の視線を感じて、なんだかとても恥ずかしくなってやめた。別の自販機でさらに2回試したが、どうしても熱い缶しか出てきてくれない。
 私は研修のため、3月までアメリカで生活していた。アメリカの自販機にも、点字の表示はほとんどなかった。でも、みんな気軽に声をかけてくれた。私はなんのためらいもなく「どれが冷たいコーヒーなの」とだれにでも聞いていた。
 もちろん日本でだって、尋ねれば親切に教えてくれると思う。けれど、なぜか、私にはどうしてもそうすることができないのだ。これは日本の社会のバリア(障害)なのか。それとも私自身がバリアーを張っているだけなのだろうか。
 ポケットの4つの缶はとても重かった。             『朝日新聞 97年5月15日朝刊』

C点字ペンの登場

 点字ペンを子どもに見せました。

 これは点字ペンといいます。このペンを紙にちょこんとつけると、インクが出てきます。このインクは乾くと、デコボコのある点字になります。

 子ども達に1人1本配布しました。配布した後で、中身(4点)の確認を行いました。
    ●点字ペン   ●点字ひらがな一覧表   ●練習用紙(3枚)   ●点字シール
 袋に名前を書かせました。ボールペンなどを用いると、ビニールにもうまく書けます。その後、入れ物に書いてある「点字ペンの使い方」「注意」を読みました。特に使い方の確認をしっかりと行う必要があります。
 次に、点字ペンを使って、点字を書いていきました。
    1「うし」⇒2「さる」⇒3「トイレ」⇒4「にわとり」

 「うし」という字を書きます。鉛筆で胡麻ぐらいの印をつけなさい。

 隣同士で、合っているかのどうかの確認を行わせました。

点字ペンの印の所をうっていきなさい。

 書いてある使い方をしているかどうかの確認を行いました。特に、「インクの出し方」「ペンの放し方」を見ていきました。
 失敗する子どもいるので、綿棒を用意しておきます。打ったばかりだったら、綿棒でこすればうまくとることができます。実際、綿棒はたくさん使いました。10本以上、使いました。いがいと子どもは間違います。鉛筆で書いたときに、よく点検するとよいでしょう。

3.子どもの感想

★点字で、いろんなのが書けたから、よかった。書いた点字を早く触ってみたい。今度もいろんなのを書きたい。

★今日、点字ペンを使って、とても楽しかったです。今度も点字ペンをやりたいなと思います。

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