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読書感想文の書かせ方A
読み聞かせのちょっとしたアイデアのページです
千葉昌之 HIP
※この実践は、読書感想文の指導法の1つの「山田式指導法」を千葉なりに行ってみた実践です。
5.自分の体験を考える
次は、水色の紙を配りました。
ピンクの紙を見て、頭に浮かんだ「自分の似た体験」を書きます。少しでも似ていたらいいです。 |
これは、子どもが1番困る部分です。「先生、似た体験なんて、ないよお。」と子ども達は言います。ハリーパッターの本の感想を書いた子が3人ぐらいいました。みんな、ハリーポッターのように冒険をしたり、魔法使いになった体験を考えているのです。そんな体験、だれだってあるわけがありません。ここでいう体験とは、「行動の似た体験」ばかりではなく、「気持ちの似た体験」を思い浮かべさすことです。
「ハリーポッターは、努力・友情・勝利という3つのことがちりばめられた物語だよ。それから考えてごらん」と言いました。「この話は家族がテーマじゃないの?」「これは自然の大切さかな」などと体験についてのアドバイスをすることです。
その子にあったテーマを考えてあげる。 |
ここは結構、重要ですね。どれだけ適切なアドバイスをしてあげるかです。
どうしても、「似た体験が無い」という子は、感動を中心にして書くようにいいましょう。本によっては、どうしても似た体験が無い子がいて、仕方ありません。ただ、文章を書くのが少し難しくなるかも知れませんが。
先程の2人の子どもたちは、「似た体験」について、次のように書いています.
「ぼくはここにいるよ」似た体験
★旭光園で障害者の方々と交流したこと。
★車イスにのったこと。
★シャッターチャンスがなかなかこないこと。
「さっちゃんのまほうの手」似た体験
☆4年生の時、指の骨にゆびがはいったこと。
☆6年生になって、オタさんの勉強や白血病の人の勉強をした。
6.本を読んで得たことを考える
ここは、黄色の紙を配りました。
この紙には、ピンクの紙と水色の紙を比べて、自分が考えたことや思ったことを書きます。登場人物と比べて、自分はどうなのか。または、自分はこれから、どのように行動していきたいか、本を読んでこんな気持ちに変わってきた、ということを書きます。 |
先程の子ども達は、次のように書いています。
「ぼくはここにいるよ」今後の自分
★これからも、ボランティアをがんばる。
★良い写真がとれるように努力する。
「さっちゃんのまほうの手」今後の自分
☆さっちゃんは、生まれた時から指が無いけど,私は何の不自由なものはありませんでした。さっちゃんのことを普通の人が見れば、指が無いと思う人もいるし、あの人変だという人もいると思うけど、さっちゃんは、「さっちゃんの手はまほうの手だもん」と言って、指がなくてもいっしょうけんめいがんばっているので、私もさっちゃんのように強い人間になりたいです。
7.読書感想文を書く
さて、いよいよ、読書感想文に入ります。原稿用紙と3種類の紙を配った後に3枚の色の紙も配ります。
3種類の紙を参考にしながら、感想文を書いていきます。3つの紙の内容をうまくミックスさせて書いてください。3種類文をすべて書かなくてもいいですよ。また、紙に書いていないことを書いてもいいですよ。 |
この実践をやっていて、子どもから多い質問は次のことです。
●紙に書いていないことを感想文に書いてもいいのですか。
●紙に書いてあることを、全て書かなくてはいけないのですか。
3種類の紙は、あくまでも「メモ」です。文章は,書いているうちに変わったりするのが当たり前です。だから「参考にする」程度の押さえをしておきます。文がきちんと書ければ,まるっきり使わなくてもよいのです。
「ぼくはここにいるよ」を読んだ子は、次のような感想文を書きました。(※手紙形式で書かせています。)
「ぼくはここにいるよ」 田島隆宏さんへ
オタさん、こんにちは。わたしは、今、ボランティアの勉強をしています。学年文庫にあった「ぼくはここにいるよ」をよみました。とてもいい話ですね。わたしが感動したところは、オタさんが療育園のときのベッドの位置替えです。ヒロシくんが「田島くんの横じゃないといやだ!」と言ったところです。いばりちらしていたオタさんを友だちとして認めてくれるなんて、いい話ですね。オタさんの命令に素直にしたがっていたのは、やっぱり「友だち」だからだと思います。友だちっていいですね。
私は事故で入院した時に車イスにのっていました。看護婦さんにおしてもらってラクチンでした。でも、最初はやっぱりこわかったです。ところで、オタさんの写真はすごいですね。なんといったらいいかわからないけど、とにかく感動しました。わたしもあんな写真がとりたいです。わたしは、動物の写真が大好きです。最近は、動物園や牧場に行ってデジタルカメラなどを使って、写真をとっています。動物園でとったライオンの赤ちゃんの写真がとても気に入っています。動物園でとった写真はパソコンで編集して動物図鑑を作りたいです。表紙はなぜか動物園にはえていた「かんぴょう」にするつもりです。
私はボランティアクラブで、旭光園という体の不自由な方の老人ホームを2回訪問しました。いろいろな話をして、とても楽しかったです。これからもボランティアを勉強していきたいです。そして、良い写真をとれるようにがんばります。オタさんも、お体に気をつけて、これからもがんばって下さい。お元気で。
「さっちゃんのまほうの手」を読んだ子は、次のような感想文を書きました。(※手紙形式で書かせています。)
「さっちゃんのまほうの手」 のべあきこさん・しざわさよこさんへ
のべあきこさん・しざわさよこさん、こんにちは。私の学校では、読書祭りという行事を行っていて、私は「さっちゃんのまほうの手」の感想を書くことにしました。
さっちゃんは生まれつき指がありません。私は、生まれて来て、何も不自由なものはありませんでした。でも、さっちゃんの気持ちは、わかるような気がします。
さっちゃんは、今日、とってもお母さんになりたかったのです。おかあさんといっても、おままごとのお母さんです。私も7年前はようちえんへ行っていました。そして、私も毎日、友だちとおままごとをし、お母さん役の子もいました。もし、私のようちえんにさっちゃんが来たら、いっしょにおままごとをして遊びたかったと思います。
もしかしたら、本のように「指のない人は変だよ」という人もいるかもしれません。でも、私は指がないからなんで変なのだろうと思います。おし、自分がそうだったら、どういう気持ちになるんだろう?それを考えると、さっちゃんは何も悲しむことはないんじゃないのかなと思います。
さっちゃんは「さっちゃんの手はまほうの手だもん」といって、いっしょうけんめいがんばっています。私はさっちゃんの手から勇気をもらって、強い強い人間になろうと思いました。
8.文章の書き方を教える
この他、大切なポイントは次のことです。これは文章を書かせる時には鉄則なのですが‥‥。
書いている時には、必ず「ほめる」こと。ほめる材料を何でもいいから見つけること。 |
作文指導になってしまいますが、子どもが何かを表現する時には、叱ってはだめです。書かないで遊んでいたり、ふざけた内容を書いていたら叱ることもありますが、真面目に取り組んでいる時に叱ってはだめです。
「字が汚い」とか「漢字をもっと使いなさい」「もう少し、詳しく書きなさい」などと、大人は言ってしまいます。文を書くことに集中しなければならないのに、字はきれいに書かなければならない、漢字を多く使わなければならないと、1度に3つのことに気をまわさなければならないとなると、子どもは気がめいってしまいます。
「清書をする」ということを約束させ,下書きは自分の思うままに書かせることです。私は、「清書の時は、きれいに、漢字を使って書きなさい」と言います。時間はかかりますが、下書きは「どう書くのか」ということだけに集中させるべきです。
あと、私が作文指導の時にいうのは次の2点です。まず1点目。これが1番大切なことです。
1文を短くする。 |
子どもの文の特徴としては、だらだらと冗長な文になりがちだということがあげられます。
「ぼくは、今日朝起きてから、トイレにいって、それからごはんをたべて、食べ終わってからくつしたをまずはいて、‥‥」というように、句点(、)を多く使うのです。読んでいて疲れる文になってしまいます。
「ぼくは、今日朝起きてから、トイレに行きました。それから、ごはんを食べました。次にくつしたをはいて‥‥」というように読点(。)を多く使うようにさせます。すると、読みやすい文に変わります。
「、はあまり使うんじゃないよ。。を多く使うんだよ。」というと、低学年でも理解します。「1文を短く」「1文1義」ということは、私も普段からつけていることです。
2点目は次のことです。
書き出しを工夫する。 |
読み手をひきつける書き方をすることです。要するに、テレビドラマの始まりのように、核心から書き出すということです。●動作から書き出す ●会話文から書き出す ●引用から書き出す ●擬音語・擬声語から書き出す
などが挙げられます。感想文でいいなあと思うのは、「引用から書き出す」ということです。
ある子は、「引用」から、次のように書き出しています。
「なぐさめられるよりはなぐさめることを、理解されるよりは理解することを、愛されることよりは愛することを私が求めますように」。私が最も考えさせられ、そして、心に残った大切なことばです。‥‥
この「引用から」の書き出しは、感想文では、とても有効です。テーマがはっきりするからです。
さあ、読書感想文でお子さんが困っていたら、このページを参考にして楽しく書かせてあげて下さい。