クスの木と境内
天然記念物 『法巌寺の大クス』
兵庫県及び
当山境内に聳えるクスノ木は、古くより近畿の三大クスの一つと言われ
ています。
「有岡古続語」(梶曲阜著・元治2年刊)に「法巌寺の樟はいつの頃植
えにしや稀有の大木なり。城州八幡厄神堂より登ると、道の方に一樹の
樟あり。また浪華住吉本社の傍らに一樹あり。予が見る所この三株のう
ちその大木なる事住吉を第一と思えり」とあり、このクスノ木は古くか
ら知られ、近畿の三大クスとして親しまれています。
昭和39年11月、
指定を受け、翌40年3月兵庫県の指定文化財(天然記念物)となり
ました。指定当初、幹周り6.4m、高さ28m、枝張りは東に17m
西に12m、北側15m、南側16mで、主幹は地上12mのところで
5本の支幹に分かれていました。
しかし、市街地という環境のためか近年大気汚染による影響か、ま
た台風などにより、枯れ枝が目立ち、往時の雄姿を留めがたくなり、
市の助言のもとに整枝による保存事業を度々行っています。
平成7年の阪神淡路大震災後、本堂庫裏改築事業の関係上、土中根
の調査や枝振りの調整、施肥など大がかりな再生事業を行いました。
をながく残したいものです。
幹まわりを踏みかためれると木のため、良くないことから近くでの
見学はご遠慮願っています。なにとぞご理解下さいますようお願いい
たします。
境 内 紹 介(6)
『伊勢皇太神宮』
本堂脇に小さな祠(ほこら)があります。平成大改築
事業で再建されたものです。古い祠に安置されていた木
札によると、
従勢州降誕之大神宮
宝永二乙酉歳五月朔日巳之上刻
此所降臨給 法巌寺九代英譽
とあり、約三百年前伊勢神宮より勧請されたものと思わ
れます。又、別の木札に
後亦寛保三、四月七日巳之刻
再此地降臨給 法巌寺十一代随譽
とあり、260年前ということです。
お寺に神様が同居とは奇異な感じでありますが、伊勢
神宮は皇室の祖神であり、日本民族宗教として古来信仰
されているものです。
本地垂迹といって、日本の神々はインドの本地の佛が
仮の姿となって出現したものだという考えがひろまりま
した。佛教が日本に定着して以後の思想でありますが、
一般家庭に仏壇と神棚が並んでいても、私たちは別段不
思議でもありません。私たちの民族神である「お伊勢さ
んですから、清浄にしておまつりしたいものです。