思いつくまま印象記 旅体験あれこれ その11《前編》 |
意外な発見、見直した「先進国」
成熟の国 イギリス(ブリテン)・3人旅・2週間 |
月・日 | 行 動 | 宿泊B&B、ホテル |
7月21日 | 関空9:40⇒11:30仁川空港13:00⇒16:55(時差8時間)ロンドン/ヒースロー空港 | ライムグローブ |
7月22日 | バッキンガム宮殿・トラファルガー広場・ナショナルギャラリー・劇場博物館・コベントガーデン | ライムグローブ |
7月23日 | セントポール大聖堂・ギルドホール・イングランド銀行博物館・タワーブリッジ・ロンドン塔 | ライムグローブ |
7月24日 | 国会議事堂・ウェストミンスター寺院・大英博物館・大英図書館 | ライムグローブ |
7月25日 | ロンドン8:55→14:00エディンバラ エディンバラ城・ロイヤルマイル | レアーグ |
7月26日 | カールトンヒル・ピープルズストーリー・聖ジャイルズ教会・スコットランド博物館/ロイヤル博物館 | レアーグ |
7月27日 | エディンバラ7:37→9:56オクセンホルム10:30→10:54ウィンダミア オレストヘッド・蒸気船博物館 | ブレンダンチェイス |
7月28日 | ボウネス→〔クルーズ〕→レイクサイド→〔SL〕→ハバースウエイト(往復)・ベアトリクスポターの世界 | ブレンダンチェイス |
7月29日 | ウィンダミア7:57→8:17オクセンホルム8:24→9:19プレストン9:27→10:25リバプール アルバートドック・リバプール大聖堂・マシューストリート | アイビスH |
7月30日 | リバプール8:49→10:24バーミンガム11:28→12:20ストラットフォード・アポン・エイボン シェイクスピア生家・ロイヤルシェイクスピアシアター・エイボン川 | グロブナーヴィラ |
7月31日 | アン・ハザウェイ・コティッジ ・コッツウォルズツアー | ウッドストック |
8月1日 | ストラットフォード・アポン・エイボン9:30→12:00オックスフォード オックスフォードストーリー・聖メアリー教会・クライストチャーチ聖歌隊 | リヴァーH |
8月2日 | トリニティカレッジ・ニューカレッジ・マートンカレッジ・クライストチャーチカレッジ ヒースロー空港21:30⇒ | 機中泊 |
8月3日 | ⇒16:20仁川空港19:05⇒20:50関西空港 | ほぼ予定通り |
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先に行くか、後から行くかは別にして、町を一望できる所があればできるだけ行くようにしていますが、今回それに当るのはセントポール大聖堂。2日目のトップはここで、ドームの上に登ることでした。母は膝が痛くなるので、ローマのヴァチカン・サンピエトロに登った時も相当しんどかったようです。でも登り切った時の眺めと爽快感は今も語り草になっています。今回も全くその通りになりました。530段の階段だったのですが、三種類くらいの階段で、途中に休憩スペースもあり比較的楽に登れたようです。
もちろん、360度の展望でロンドンの町を見渡すことができますし、南にテムズ川が流れている光景はなかなかのものでした。風も爽やかで陽射しも気にならないくらいでした。こんなにいい眺望を得た今となっては、ロンドン・アイ(単なる大型の観覧車です)なんて無粋なものを造る気持ちが理解できません。しかも、11.5£もする!
ここには、地下納骨堂があり、とても全部を見ることはできませんでしたが、大きなものが有名な人のものなのでしょうが、ウェリントンやネルソンのものには学校の先生みたいな人が若者に解説をしていました。【写真右】
この地下納骨堂の彼等にしても、先のトラファルガー広場にしても、近代の歴史に関しては、殆どが対ナポレオン戦争で活躍した人物やイギリスが勝った戦いなんですね。ナポレオンが遠征したということは、周辺地域からすれば「侵略」なわけで、その侵略を跳ね返した指揮官が今も銅像等として残っており、英仏関係というのは一筋縄ではいかないものなのでしょう。
CITYに向い、ギルドホールを見学。中世の同業者組合で封建領主と闘う際には
先進性を発揮したということで、何となくドイツがイメージされるのですが、もちろんイギリスにも存在したわけで、その名残がここに見られます。それが経済の中心であるシティに在ってもおかしくはないわけです。クラフトギルド(手工業者組合)の紋章などが壁にあり、個性的な模様が面白かったです。【写真左】
そこからそう遠くないイングランド銀行の一廓に、博物館があり、目立たない入口を入ると趣向を凝らした博物館がありました。イングランド銀行の前が王立証券取引所で、よくガイドブックなんかに書かれているパリっとしたビジネスマンが闊歩している等ということはなく、むしろ二つの建物の間の小さなスクエアはのどかな印象でした。尤も一旅行者が世界経済の中枢に入って行ったらご迷惑でしょうから外からの印象に過ぎませんが。【写真右】
先に書いた美味しくない昼食の後、タワーブリッジを経て、ロンドン塔へ。タワーブリッジは跳ね橋は滅多に上がらないし、他の史跡がそれなりの色柄で保存されているのに、その一部が青のペンキで塗られていて、興醒めし、しかも、今素晴らしい眺望を体験した直後ですからタワーに上がる気にはなれず見ながら通過。
ロンドン塔は、世界の観光地という感じで人も多かったです。3000円近い入場料をとってもこれだけ入るんですから、そのドラマティックな歴史が遺産なんでしょう。多くの国王関係者、政治家がここに幽閉され、処刑されたので、幽閉されていた部屋には落書が彫り込まれ【写真下右】、それが遺産として残っています。紙と木の文化と石の文化の違いでしょうね。でも、とことん歴史に詳しいわけでもないのでその落書を吟味する時間はありませんでした。ただ、処刑の行われた跡地は別に今何があるわけでもないのですが、人が集まっていました。【写真下中】
行列ができていた建物は、クラウン・ジュエルズ、直訳したら王冠の宝石?の陳列のある所。国王が戴冠する時、同じ冠を引き継いでいくのかと思っていたのですが、一人ひとり違うものが作られるようで、その歴代の王冠が展示されているのです。これはヴィクトリア女王、あちらはエリザベス1世の…というわけです。そんなものに興味はないのですが、なかなか列を抜けられませんでした。
ロンドン塔の前からリバーボートに乗り込んだのですが、これがまた人気で結構な客がありました。僕達が乗ったのは船長がガイドも兼ねる小さな船だったのですが、冗談を言ってるようで乗客は笑っているのですが、理解できず淋しい思いでした。この日は地下鉄の1日乗車券を買っていたのでそれを見せると料金は1/3ディスカウント。
ボートはテムズ川を行き、見所を両岸に眺めながらウェストミンスター寺院・ビッグベンへ。大阪市のアクアライナーでも結構いけるんですから、川から眺める光景はなかなかのもので、あっという間の30分間でした。【写真右】
いよいよロンドン最終日。何を諦めるか結論を出さねばなりません。この日から国会議事堂の見学解禁。大英博物館未見。この二つがメインになります。先に触れたバスの1日乗車券の日になります。ヴィクトリア駅でチケット購入、バスマップを入手して、先ずはウェストミンスター寺院へ。王室の教会だから、戴冠式もここ、ダイアナさんの葬儀もここだったそうですが、次の予定があるのでゆっくりできず。
国会議事堂は通年見学可ではなく、国会の夏休みに当る時期のみのようであることに気付く。10月から昨日7/23まではだめ。だからラッキーな巡り合せになった次第。しかし、ここは完全ガイド付き。25名をグループにしてガイドさんに付き従わなければなりません。写真撮影なんてもっての他という雰囲気。そして、日本で言えば東本願寺に国会があるようなもので、広い建物に一つひとつ歴史がある訳ですからガイドさんの話も長い!チョッと辟易。マア、国会議員はそういう荘重な雰囲気の中で何を感じながら出勤しているんでしょうか?
ようやくお目当ての上院・下院の議場へ。上院の方は回りの装飾も深紅を基調にゴテゴテしているのですが、下院はテレビとかでお馴染みの緑のシートを基調にした簡素な作り。ほんとに狭い所でビックリしました。ここであの党首討論とかやってるんだ、と感慨深かったです。
議事堂の横の銅像は何かと見れば、さすがにネルソンとかでなく、ピューリタン革命の指導者・オリバークロムウェルでしたが【写真右】、アイルランドとかを虐めていますから、サア、彼等の受け止め方はどうなんでしょう?
国会前にパーラメントスクエア、国会広場?があり、そこに歴代の有名首相の銅像とか建っています。そこと議事堂との間の道路に相当長い「イラク攻撃反対」の展示がされており【写真左】、日本でもお馴染みになった虹色の旗なども立っていました。少し声をかけようと思ったんですが、スタッフは二人だけで、誰かと話し始められたし、次の目的地大英博物館へ急ぐことにしました。
バスで移動し、大英博物館前の庭【写真@】でサンドイッチなどで昼食。入口前ではいい匂いをさせたホットドッグ屋さんもありましたが、僕達はここへ来る前にコンビニで購入済みで残念!?。いよいよイギリス訪問のメインイベント開始ですが、残された時間は2、3時間のみ。日本語の鑑賞ガイドもあるのですが、どこをどう回るのが効率的なのか、イマイチよく判りませんでした。
ただ、エラそうに言うようですが、今まで見てきた博物館の寄せ集めみたいなところがあり、パスしてもいいところが結構ありました。エジプトはカイロの考古学博物館、アッシリアはベルリンのペルガモン博物館、ギリシャは僕達の初めての海外旅行で訪れた所、ペルーで見た遺跡、ベトナムの博物館、洛陽の博物館、…という訳で、どうも目玉がないように思えました。尤も、ロゼッタストーン【写真B】は入口付近にあり、これはここでしか見られないものでした。それと、入った所のグレイトコートは建築としてユニークでした。【写真A】
日本コーナーの展示【写真G】もあまり充実しておらず、後のエディンバラのロイヤル博物館の方が数段上、という印象でした。南米の双頭の大蛇【写真E】とか、アフリカのとぐろを巻いた蛇【写真F】とか幾つか印象深いものがありました。ミイラもカイロにはなかった迫力のあるものもありました【写真H】。
ところで、ここにあるものは帝国主義的侵略を重ねた結果として奪ってきたものだから元へ返すべき、というような意見には賛成ですが、この程度のものなら返さなくてもいいのでは、と思いました。それだったらドイツのペルガモンの方が凄い。と言うのは、ペルガモンは元の所に殆ど残っていないんですから。ギリシャにしてもカイロにしても今はこれより豊富な内容で展示されています。
それよりネイミングで気が付いたのですが、大英博物館なんて相変わらず大仰な名称だなと思っていたのですが、実はそれは訳語の問題だと気付きました。Great Britain(British)なんて名乗っていないのです。単なる「British Museum」なんですね。イギリスという国名を日本が勝手に付けているので、イギリス博物館というわけにも行かず、ブリティシュ博物館でいいものをGreat Britainの名残みたいな変な訳語になっているんでしょうね。
続いて、この博物館が手狭になって図書類を移動開館したこれまた大層な大英図書館(もちろん「British Library」)にバスで移動しました。閉館の5時ギリギリで慌てましたが、ここには大憲章(マグナ・カルタ)の現物【写真下中】、グーテンベルク印刷の聖書【写真下右】とかがありますから、それだけを見た後、直ぐ追い出されました。ここも無料なのですが、外観もスッキリした建物になっていて、この金の使われ方は凄いと関心。
大英図書館の直ぐ東に明日乗り込むキングスクロス駅がありますから、下見して、少し長いロンドンバスの乗車でヴィクトリア駅方面へ戻りました。結局、テムズ川の南岸には行けないままになってしまいました。夕方になると空は明るくても閉館になるので、仕方なしです。シェイクスピアのグローブ座くらいは行きたかったのですが、断念し、ロンドン見学は終了することになります。
早朝で朝食の時間帯に間に合わなければコンチネンタルブレックファーストということで、BBがコーンフレークとかマフィンを前日に用意してくれました。それを適当に自分で食べたり、残りはお持ち帰りで、車両で食べたりでき、好都合でした。この日もエディンバラに向かう車中でいただいた次第です。【写真上右】
イギリスは例のサッチャーの時、分割民営化で鉄道会社が何百とあると聞いて心配でしたが、そんなことは旅行する分には全く影響はなく、チケットのチェックもパスを見せればOKだし、時刻表もどの列車がどこの会社のものであるかなんて判りもしませんでした。初めて見るイギリスの田園風景や時たま現れる街並【写真左】を眺めながら次のプランを考えるのんびりした半日でした。この車両は長距離だからか、喫煙車両があり、時々お邪魔しましたが、空席がいくらもあり問題無しでした。
Copyright © 2004 MIKAMI HIROSHI