恐竜学講座:6月期案内

アロサウルスとの比較でスピノサウルスの進化を再現する

03.07.16 スピノサウルスのページにリンクしました

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トルボサウルス(Torvosaurus:上)とバリオニクス(Baryonyx:下)の頭骨

および顎の骨の塗り分けと共有派生形質

 以上のトルボサウルスとバリオニクスの頭骨は、頭骨を構成する各パーツ(premaxilla, maxilla,lachrymal,dentary,etc)を幾つかの論文や文献、写真から抜き出して北村が頭骨全体を構成して描いたものです。ですから実際の頭骨のプロポーションと、各パーツの細部の形はやや異なる、あるいはその可能性があります。

 

 2003年6月7日、14日に八王子と横浜で、北村が行った恐竜学講座の簡単な説明をしましょう。この講座ではアロサウルスと比較することで、スピノサウルスの進化を再現することを行いました。

 教え方は基本的には塗り絵ですね。アロサウルス、トルボサウルス、バリオニクス、スコミムス、スピノサウルスの頭骨を並べ、マキシラ(Maxilla)をオレンジ色に塗り分けて、その形を観察します。しかる後にアロサウルスと比較してトルボサウルス、バリオニクス、スコミムス、スピノサウルスの共通点を探します。

 スコミムス、スピノサウルスの頭骨はここでは示しませんが、彼らは非常に面白い形をした頭の骨をしています。トルボサウルスとバリオニクスの頭部は幾つかの文献と写真からパーツを探し、そして組み上げて描いたもので、細部が実際と異なる可能性があります。とはいえ、頭骨の中のマキシラの配置とその特徴を見るには十分ですね。

 アロサウルスと比較すると、トルボサウルス、バリオニクス、スコミムス、スピノサウルスは

 ”マキシラの前方が長い”

という共通の特徴を持つことからひとつの系統と考えることができます。他に

 ”ヒューメラスのデルトペクトラル・クレストが大きい”

という共通の特徴もあります。このことからトルボサウルス+バリオニクス+スコミムス+スピノサウルスはひとつの系統であると考えることができます。(Sereno et al : Science Vol.272 1996 pp986~991 Science Vol.282 1998 pp1298~1302)

 この系統にはSpinosauroidea(スピノサウロイディア:日本語に訳すとスピノサウルス上科)という名前がついています。とはいえ、北村は分類階級やら、英語の語尾変化やら、日本語に直すと語尾変化が消えるやら、そういった面倒くさいことを教える気がなかったので、

 この系統にはスピノサウロイディアという名前がついていること

 分類階級では上科がつけられること

 とりあえずスピノサウルス・スーパーファミリーという呼び方で覚えておいて下さい

ということにしておきました。

 ともあれそれから後は、バリオニクス+スコミムス+スピノサウルスがひとつの系統をつくり、その名前がファミリー・スピノサウリダエであること、時代が過ぎるに従って身体が大型化するように見えること、神経の棘突起が高くなること、歯の形態が変化することなどを講議しました(以上の内容についての小冊子の部分は版権などの都合で公開いたしません。ちなみに小冊子自体は商業目的ではないです。むしろコピー代金を出している北村には金銭的にマイナスですしね・・・・^^;)

 スピノサウルス科、およびその類縁については以下のリンクを参考にしてください。

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