R Corona Borealis

かんむり座R星

2015年5月1日 22:30 かんむり座R星

かんむり座R星のスケッチ。2015年5月1日、時刻は22:30。かんむり座R星周辺の星には、便宜的にカタカナのア〜キを振ってあります。かんむり座Rの光度は目測で、イ 5 R 5 カ 。イは7.8、カは8.3というので、かんむり座R星の光度はおよそ8.1等としました。

かんむり座は、明るい都市部ではα星アルフェッカ以外はほとんど目で見ることができません。望遠鏡でもアルフェッカにまず狙いを定めることになるので、アルフェッカからかんむり座R星にまで至る星の配置を描いています。アルフェッカからγ星へいき、そこから辿るのが良いでしょうか。スケッチの円は25倍の視野を示し、メモは縦横どっちから見ても分かるように、おおむね同じ内容を縦書き、横書きで書いています。

 

2015年5月2日 01:13のかんむり座R星

こちらは写真。以上のスケッチをした後で、かんむり座の写真がないことに気づいて撮影したものです。だから時刻は3時間程度しか離れていませんが、日付は変わって5月の2日。ポケットデジカメで撮影したものですが、一応、かんむり座R星が写っています。

 

R Coronae Borealis アール・コロナエ・ボレアリス かんむり座R星  光度5.71~14.8 周期無し

かんむり座の変光星ですが、変光に規則性というものがまったくありません。また、通常は6等星で、それがある時、急激に暗くなる、そうしてそれがゆっくり元に戻るという変光の仕方をします。暗くなると、7等あるいは12等、あるいは14等にまで急激に下がります。それからじょじょに明るさを取り戻します。

明るい時期は1年、あるいは数年続く場合もあります。一方、暗くなっている期間は数ヶ月ですが、1年、あるいは数年に渡って暗くなる場合もあります。文献によると1863年から1873年まで、足掛け10年間、暗かった時期もあるそうです。その間も光度はじょじょに戻ろうとするのですが、そのたびに再び暗くなることを繰り返しました([Burnham's Celestial Handbook ] vol.2 pp706)。

2015年5月現在、かんむり座R星は暗い状態で、これは2007年からずっと続いているそうです。ただ、以上で示したように5月1日の時点で、目測でおよそ8等星にまで明るくなっているので、もうすぐ元の光度に戻るのかもしれません。あるいは、しばしばあるようにここから再び暗くなるのかもしれません。

 かんむり座R星の変光を説明する仮説で有力なものは、炭素の煤に覆われて星が暗くなる、というものです。恒星は核融合によって輝きますが、その過程で水素より重い元素を作り出しています。そして、そうした元素には炭素も含まれています。実際、かんむり座R星は炭素を多く含む星で、その表面にあるガスの67%は炭素だと言います。

寿命を終えつつある星は自らのガスを放出しますが、放出されたガスは当然、冷えることになります。冷えるとそこに含まれていた炭素が煤になるでしょう。それが星を遮るので光が弱くなって見える。しかし星の光が持つ圧力で煤はやがて吹き飛ばされる。すると星がじょじょに明るさを取り戻すように見える。そういう説明です。

 

参考:

「星の事典」鈴木駿太郎 恒星社

[Guidebook to the Constellations] Phil Simpson 2012 springer

[Burnham's Celestial Handbook ] vol.2

 

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