Occultation

星食

ある天体が別の天体を隠す事を星食と呼びます。

 

 

以下は2015年10月19日の朝4:20頃に起きた火星による星食のスケッチ

 

 2015年10月19日 4:00の火星とその周辺

 2015年10月19日の早朝、4:22頃に火星による星食が起こりました。観測した場所は神奈川県の中央部です。円は50倍の視野。10月、火星はしし座を運行中で中央に描かれた赤い星が火星。その上に見えるのがしし座χ(カイ)星で。これが火星に隠されました。スケッチ自体は4:00頃のもので、火星とχ(カイ)星の距離が次第にせばまっていくところです。周辺の星に振ったイ、ウ、エ...は星の相対的な光度を示す便宜的なもの。スケッチでは示していませんが、視野の恒星の中ではしし座χ(カイ)星が一番明るいので、アはこの星に割り当てています。

なお、この時、木星は火星と25分程度の距離しか離れておらず、50倍の視野のぎりぎり外に位置しています。

以下は200倍のスケッチ

4:25、4:28、4・30の火星とχ(カイ)星

火星は200倍の視野に対して、大体120:1の大きさ

 χ(カイ)星は4:21頃には見えなくなりました(この時の倍率は100倍)。予報だと食が終わるのは25分から26分。100倍だとよく分からなかったので、食の間に倍率を200倍に切り替えて待つものの、χ(カイ)星がさっぱり見えません。何か火星の下(実際には西です)あたりの光に白っぽい、あるいは青っぽい光が混ざっているかなあ? という感じ。しかし28分、ぱっとフラッシュのような光が走った後、火星の赤い光芒の中にぼんやりと青みをおびたχ(カイ)星の姿が見え始めました。

フラッシュのような感じや、その後、見え始めた様子がなんだったのかはよく分かりません。火星の大気による屈折や光の減衰なのか、あるいは単に火星の明るい光芒で星がかき消され、地球の空気のゆらぎでそう見えただけのか? 実際、見ていた場所の東には東京や川崎があるので、大気のゆらぎはかなり強烈です。ともあれこれ以後、χ(カイ)星は急激にはっきり見えるようになり、火星もχ(カイ)星から離れていきました。

 

 

 以下は2017年2月14日の深夜に起きた星食です。月によっておとめ座のγ(ガンマ)星ポリマが掩蔽されたもの。

2017年2月14日 23:30に起きたポリマの星食

 月齢は17。満月を過ぎた明るい月に星が隠される星食。嵐の大洋を透かし、一見すると小さな海に見える大きなクレーター、グリマルディの向こうへおとめ座のγ(ガンマ)星ポリマが沈んでいく様子。17.1。23:13、23:22、23:27、23:30におけるポリマの位置をそれぞれ記しています。円は200倍の視野を示します。ポリマは二重星ですが、比較的高度が低く、気流もあまり良くなかったので、像は乱れがち。出現は日付が変わった15日の00:49。ただ気づいた時にはもう出ていたので、実際にはもう少し早かったかもしれません。

 

 以下はこれもおとめ座ポリマの星食、2017年5月7日ー8日のもの。

 

2017年5月7日22:50から8日0:10

おとめ座ポリマの星食

 

 これもおとめ座γ(ガンマ)星ポリマの星食。こちらは満月に向かいつつある月齢10の月が起こした星食。そのため、ポリマが月の影に隠されます。ポリマは画面右、方位でいうと東から月に近づき....、もちろん実際に動いているのは月ですが、ここでは月を基準にスケッチしているのでこういう表現になります。画面右端が7日22:50のポリマ。気流は極めて悪く、回折環は見えず、ポリマも分離できません。なにか長細いちらつく火花のような姿に見えます。

 ポリマは23:24に、ふわっとした感じで消えました。ゆらぐ二重星が斜めに月に隠されたので、消光はほぼ同時だけどもほんのわずかな時間差があるので、ふわっという感じ。隠されたのは虹の入り江の近くにあるクレーター、ハルパルスの下。方位で言うと北です。出現は8日のおそらくは0:04。気流の乱れで月の縁が猛烈に揺れているので、見えても最初は星には思えず、陽炎の向こうに見える白いでっぱりでした。出現した場所は円い影のように見える、クレーター、エンディミオンの北。

 円は200倍の視野を示します。

 

 

 

 

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