Nova Sagittarii

PNV J18365700-2855420

2015年 いて座の新星

2015年4月16日 03:30 いて座の新星のスケッチ 光度は5〜6等?

2015年3月15日に発見されたいて座の新星。ニュースを知らなかったり、ずっと雨が降っていたりでなかなか観察できなかった新星。いて座のひしゃく、柄の付け根にあたるφ(ファイ)星のすぐ近くに現れたものです。スケッチの円は25倍の視野を示します。観察は発見からすでに一ヶ月が過ぎた4月16日。この新星は何度か増光を繰り返したそうで、この時も3度目の増光をしたところ。光度は6等か5等ぐらいでしょうか。視野の中では3.17等のφ(ファイ)星に次いで明るい星でした。また、少なくとも見た感じではちょっと赤みを帯びて見えます。

 

 

2015年 4月18日 3:30におけるいて座の新星 光度5.4等

φ(ファイ)星から新星までの間の星は暗く、多分、9等星、8等星ぐらい。関東の明るい空ではほとんど見えません。さらに新星の近くにある星は7等級、6等級と比較的明るのですが、どれも現時点では新星よりも暗く、これでは光度の比較が出来ません。

そこで新星から、比較的明るい星が見つかる場所まで視野を伸ばしたスケッチを行ないました。

左端の星、カ、と表記した星の光度が新星(Vで表記)とほぼ同じか、あるいは新星の方がやや明るい状態。カの星が5.6等とした場合、新星の光度は多分、5.4等。

一方、新星周辺で一番明るい星、ア、に注目し、アとφ(ファイ)星で比較すると、新星の光度は ア 4 V 6 φ となります。アが6.4等とした場合、φ(ファイ)星は3.17等なので、比率計算から新星の光度は5.1等となります。先の5.4等とはずれがありますが、そう極端ではありません。比較による光度判定はあまり光度差がない星で挟むのが望ましいので、こちらの判定の方がずれているのかもしれません。

いずれにせよ、新星の光度は取りあえず5.1~5.4等と考えて良いようです。感覚的にもこの光度には違和感がありません。

*星をカタカナで標識したのは英語のアルファベットをつけると何かしら正規にある表記と誤解されかねないからです。 

 

 

 

2015年5月3日早朝のいて座新星 光度6.4等

このスケッチではφ(ファイ)星をはぶいて、いて座δ(デルタ)星を起点にして、新星までの星の配置を描いています。φ(ファイ)星からよりも、δ(デルタ)星からの方が明るい星が多く、新星まで辿りやすいため。また、4月18日のスケッチにおいて、星に対して便宜的に振ったカタカナとは少し違う振り方をしています。新星周辺の星にはア行からカ行を、δ(デルタ)星周辺の星にはラ行が振ってあります。なおア行からカ行へいくに従い光度が暗くなります。ラ行も同様。

新星の光度は目算で6.4等。スケッチでは”ア”と表記した星と光度はほぼ同じです。4月18日の光度、5.1~5.4等に対して1等級暗くなりました。しかしじょじょに光度が落ちたというわけではなく、手元のメモでは4月19日、23日、27日、28日と、”カの星(このスケッチではラの星)”よりもはっきり明るいと書いてあります。この星(このスケッチのラ)は5.6等のようなので、4月28日までの新星の光度はそれより明るい5.4等か5.2等だったのでしょう。つまり28日以降に光度を急激に落としたらしく、5月2日のメモでは6.7等と書かれています。

 

2015年5月11日、2:00、いて座の新星 5.4~5.3等

雨が降ったり曇ったり、あるいは寝過ごしたり。5月3日から8日ぶりのスケッチ。新星はまた明るくなったようで、ラの星(5.6等)よりもやや明るい状態です。いて座δ(デルタ)星とλ(ラムダ)星の間にある4.7とされる星よりも暗く、アよりもラよりも明るく。目算と比例から計算すると5.4等。新星からほとんど南へいったところにある、ε(イプシロン)星近くにある5.3等の星とほぼ同じ。新星の光度は5.4あるいは5.3等と考えて良いようです。空は神奈川県の都市部にしては非常に良い状態で、3センチのファインダーでも、新星を見ることができました。

3日の時点から1等級は光度が上がったようですが、どのように明るくなったのかは分かりません。ただ、スケッチの前日にあたる10日早朝に見た時には、新星はラの星より顕著に明るいと感じました。適当な星がないのでラの星とδ(デルタ)星で比較したところ、光度は4.4等とメモにあります。しかしこの二つの星は光度差がありすぎるので、目算の目盛りとなる光度差を10等分すると0.29等にもなってしまいます。つまり、見積もりを一つ間違えると、それだけで0.3等ずれてしまうわけで、実際には5等星程度だったのかもしれません。以上のスケッチをした11日は空は非常に良い状態でしたが、昨日となる10日は薄曇りな上に月が近くにあったので、見積もり自体が難しかったということもあります。ただ、昨日はラの星より顕著に明るく見えた新星が、11日にはそこまで顕著に明るいと感じなかったことも事実。

 

2015年5月14日 2:30 いて座新星 光度5.45等(5.5等)

新星の光度はタ5V5ラ。タの星が5.3、ラの星が5.6等だというので、新星の光度は5.45、およそ5.5等としました。画面の右下に新星、左下にいて座δ(デルタ)星。光度差や明るさはやや強調して描いています(そうしないと画面にきちんと出てくれません)。

画面の左上の外にはε(イプシロン)星がありますが、画面外なので当然、描いていません。

5月11日のスケッチで”ε星の近くにある光度5.3の星”というのは、以上のスケッチで便宜的に”タ”を振り当てた星のことです。光度と星の比較のために新星周辺の5等あまりの星を描くために縦長の画面です。新星の南南西にタの星があるのですが、間にある星が暗くて、都市部の空ではほとんど何も見えません。δ(デルタ)星やラの星から微星を辿った方が行き着きやすそうです。

 

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