見つかる順番に並べられても・・・化石記録は完全ですか?

 

 フェデューシア教授は最初の鳥、アーケオプテリクスよりも後の時代になって[鳥類に非常に良く似た恐竜]が見つかることを取り上げてこう言います。

 [鳥類に非常に良く似た恐竜]が鳥類の祖先であるというのなら、最古の鳥、アーケオプテリクスよりも前の時代から彼らの化石が見つかるべきである。教授は、だから恐竜は鳥の祖先ではない、そう主張しました。

 一方、オルシェフスキーは同じことを根拠に[鳥類に非常に良く似た恐竜]が鳥のような動物から進化したと考えました。

 この考え方は[化石記録]が完全であるという仮定に基づいています。しかしこれは大胆な仮定ではないでしょうか?。機会があったら、世界の恐竜発掘地点の場所、そしてそこの地層の年代を見て下さい。ほとんど点をまばらにばらまいたようなものでしかありません。これが全世界を歴史的に網羅できる体制でしょうか?。

 また、フェデューシア、オルシェフスキーらが仮定する化石記録の完全性は彼らにとってはもろ刃の剣です。

 なぜか?。

 彼らが主張する[樹の上で生活する鳥の祖先の化石]は見つかっていません。これは矛盾です。たしかに、彼らはメガランコサウルスやコセサウルスをそうした動物である、と主張します。しかしながらこれらの化石が出たのは三畳紀の話です。そこからジュラ紀末まで、彼らがいうような”鳥に似ている樹上生活する爬虫類/あるいはダイノバードの化石なんて見つかっていません。

 [化石記録]の完全さを前提としながら化石による証拠が見つかっていない。これはどういうことでしょうか?。

 樹の上で生活する動物は化石記録に残らないのである、そう主張することもできるでしょう。しかし、このことは新生代のサルの化石記録と矛盾します。それにこういう主張ははなはだまずい側面を持っています。なぜなら[証拠がないからといってそれが否定されたわけではない]と言ったらどんなことでも正当化できてしまいます。

 これは最悪の論法です。

  恐竜の発掘地点の場所や年代を知りたい人は[恐竜 動物大百科 別冊 デヴィット・ノーマン著 平凡社 1988]や[THE DINOSAURIA University of California Press 1990 ]を参考にしてください。

 また、化石記録が完全かどうか?、それに関する説得力のある議論はダーウィンの著作が参考になります[種の起源 (下)第九章 地質学的記録の不完全について 岩波文庫 青912-5]

 いずれにしても豊富な化石記録がある貝や有孔虫だとかならまだしも、1000種類程度しか見つかっていない恐竜の化石記録が完全だ、というのは大胆というよりも、大胆を通り越していませんか?。

 

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