3C273

おとめ座のクエーサー

光度12.8等

距離30億光年

 

 光度12・8等。見た目はただの暗い星。しかし強い電波源であり、調べてみると異常なまでの赤方偏移を示すことから、その推定距離は30億光年。30億光年という超遠距離にも関わらずこの光度を保つからには、その光の強度は大型銀河の100から300倍。宇宙でもっとも明るい天体のひとつ。それが3C273であり、クエーサーです。

 クエーサー(Quasar)とはクエイザイ・ステラー・ラジオ・ソース(Quasi-stellar radio source:準星電波源)の略。星のように見える電波源という意味です。日本語では準星。おとめ座の3C273は地球から見えるもっとも明るいクエーサーであり、一番最初に発見されたものです。距離は資料によると25億光年とされることがあります。名前の頭についている3Cは、このクエーサーが記載されたThird Cambridge Catalogue of Radio Sources(電波源ケンブリッジカタログその3)に由来します。

 クエーサーの正体は銀河。ただし中心部の活動が他の銀河よりはるかに活動的。その秘密は中心部に隠れている超巨大ブラックホールにあります。ブラックホールに落ちていくガスが高速で回転して高温になり、それが光や電磁波を放つ。もう少し小規模のものが明るい核を持つセイファート銀河です。例えばくじら座のM77がそれ。

 

 2018年5月5日の3C273。観察は口径30センチ。連なった円は37・5倍の視野を示します(スケッチでは間違えて35・5と書き込んである)。連なった円の上にある明るい星が、おとめ座η(エータ)星のザニア(Zaniah)。途中に変光星で赤い炭素星であるおとめ座SS星があります。そのさらに視野二つ分ほど先にある微星。それが目印。

 以上の微星周辺を75倍に拡大したのが中央右の二重円。二重円の内円が150倍の視野。その中央にあるかすかな光点が3C273。Burnham's Celestial Hndbook 3 の星図と照らし合わせて、なんとかわかるという暗さ。とはいえこの光が30億年前の光で、素人が望遠鏡で観測できる最も遠い天体の光となります。

 

 

 

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