フナムシ Ligia exotica 撮影2005年初夏 フナムシは海岸の岩場に群れているイソポーダです。同じイソポーダのなかでもワラジムシやダンゴムシと近縁で、見た目も良く似ています。しかし陸上にすんでいる親戚たちと違って非常にすばやく動く動物であることは誰もが知っているところでしょう。岩場の上をササッと走り回るその様子、長い触角と楕円形の姿はまさに海のゴキブリ。
もっともちゃんと観察すればフナムシはゴキブリとは似てもにつかない動物です。脚は7対14本もあるし、羽もありません。以上の写真は2005年の初夏、江ノ島の海岸でとっ捕まえて持ち帰ったフナムシを、プラケースの中に塩水と樹皮とともにいれて撮影したもの。どのくらい生きるだろうか?と試しに飼ってみましたが、たった2日間しか生きませんでした。もはや飼ったということすらできません。うまく飼えたらそれなりに面白い動物だと思うのですが、どうしたらいいんでしょうね?。
撮影2005年初夏 そしてこちらは同じものを横から撮影したところ。脚が妙な感じについているのが分かります。なんというか身体の側面の方から生えた脚は、一度、正中線よりに向いてから、ふたたび側面へ向かいます。言い様によってはフナムシは内股ということもできます。また、脚はどれも同じような形であることが分かります。さすがは等脚類。同じ甲殻類なのに十脚類とは印象がずいぶん違います。また脚の数が7対であることがこの写真からも分かります。
撮影:江ノ島 2003.08.10 こちらの撮影は2003年の夏に江ノ島で撮影したもの。コンクリートブロックと岩のところを、ささささっと、わらわらわらわら走り回っていました。フナムシはゆっくり近寄れば素手でも十分捕まえられますが、いかんせん身体がふにゃふにゃでつぶしかねません。ともあれ、写真のフナムシ(そのもの)を素手でとっつかまえて標本にしたのがこちら。
こうみるとフナムシがダンゴムシやワラジムシの仲間なのだなー、ということが実感できます。そしてこちらが腹側のアップ
卵を抱いているのが分かりますね。標本にするまで気がつきませんでした。すまない、フナムシの母さん!!。逆にいうと彼らの繁殖期は夏場、ということになります。
さて、卵を覆うクシのような白いもの、北村は最初、甲殻類がもっている付属的な脚である外肢かな?、と思ったら違いました。これは覆卵葉というものなのだそうな(外肢と違って脚の内側からでる)。等脚類のコンテンツでも書きましたが、等脚類の胸の脚には外肢がありません。
参考:「動物系統分類学7(上) 節足動物(I)総説・甲殻類」