Taraxacum

タンポポ属

 

Taraxacum platycarpum

カントウタンポポ

*カントウタンポポは関東、静岡、山梨に分布するという日本在来のタンポポ。「神奈川県植物史 2001」によると北村のいる神奈川県において、カントウタンポポには花の形に色々なものがあり、トウカイタンポポ ver.longiappendiculatum とシナノタンポポ subsp. hodoense に似たものを両極端として、その中間にあたる色々な変異があるそうな。

 近所の公園に生えているカントウタンポポを観察、スケッチしてみると、株によってずいぶん違いがあることが分かります。

 これらの中で一番シナノタンポポっぽい? ものは上段の一番右。下段の一番右側のものがトウカイタンポポっぽい? もの。どの違いが何を反映したものなのかというのは寡聞にして知りません。いずれにせよ、バリエーションが豊富であることは一目瞭然。花びらの下で花を取り囲んでいる部分、なにか柵のようなもの。これは総苞外片というものだそうですが、この総苞外片の形や配置、突起の有無は株によってずいぶん違います。花びらの色などにもそれぞれ違った特徴が見て取れます。

 変種トウカイタンポポとか亜種シナノタンポポなるものがいかなるものなのか? それは置いておくにしても、こうした変異のあり方はなかなか興味深い。

 

セイヨウタンポポ

Taraxacum officinale

*セイヨウタンポポは文字通り、ヨーロッパ原産の植物で、いわゆる外来植物です。花の下、総苞外片がそり返ることが特徴です。種子を作るさいに花粉を使う必要がないために都市部を中心に日本中に広まりました。在来のタンポポを存続をめぐる争いによって圧倒してしまうと言われて、害草扱いされているのはよく知られているところ。

 この外来種のセイヨウタンポポ。花粉の助けを借りずに種子を作りますが、あろうことか日本のタンポポと交配して雑種を生み出し、あまつさえ雑種が数を増やして、今や純血のセイヨウタンポポは少数派なのだそうな。しかし雑種の見た目はセイヨウタンポポなので私たち素人にはそれと分かりません。だから純血種が減っていることがこれまでよく分からなかった次第。

 ところで、タンポポをスケッチしていたら二つばかり、妙ーなタンポポを見つけました。画面の左は、見た目は明らかにセイヨウタンポポなのですが、真ん中と右はなんでしょうか? 総苞外片とやらの形はカントウタンポポに似ているけども、どちらも程度の差はあれそり返っています。

 カントウタンポポも花をいったん閉じて、綿毛を作り始めると総苞外片がそり返るようなのですが、これらはどうもそういうものでもないらしい。雑種なのかどうなのか? そもそもカントウタンポポとセイヨウタンポポの判定は総苞外片がそり返るかどうかだけでやっていたのですけども、その前提が間違っていたらどうなるのか。

 そういうもっと細かい話はまたいずれ。2009.05.09

 

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