注:このページで言っている”グループ”とは系統を反映したもので、分類学のグループとは違うルールで作られています。実際、このページでいうグループとはPhylogenetic Taxonomy の定義に従ったものですが、それを聞くと多くの人は混乱するかもしれません。簡単に説明しますが、Phylogenetic Taxonomy (直訳すると系統分類学)とTaxonomy (分類学)はまったく違うものです。
そもそも分類学(Taxonomy:タクソノミー)とは科学上の慣習であって、生物に名前をつけてラベル付けするためにあるものです。分類学ではグループを作るさいに生物の血縁関係を反映する必要はありません。ですから恐竜に鳥を含める必要はありません(Holtz & Brett-Surman 97 The complete Dinosaur pp92~106)。
一方、Phylogenetic taxonomy(ファイロジェネティックタクソノミー)とは生物の系統関係を研究する系統学において、解析で示された系統を言葉や文字で表現するために作られたルールのようなものと考えてください。ようするに分類学とはまったく異なるものです。系統学ではグループをつくるさいに系統を正確に反映させなくてはいけません。そもそもそれが目的なのですから当然です。そのため系統学では鳥は恐竜に含まれます。そして系統を正確に言葉に表現するPhylogenetic Taxonomy の立場に立つと、鳥は恐竜であると表現されます。また、Phylogenetic Taxonomy では目とか科とか鋼とかいった分類階級は使いませんし、不要であると見なします(三中 97.pp21~23, pp364~379. de Queiroz and Gauthier 90 )。
ちなみに、このページではTyrannosauridae はティラノサウルス科、Tyrannosaurinaeをティラノサウルス亜科、Aublysodontinae をアウブリソドン亜科と訳していますが、分類階級が末尾にくっついてしまうことを考えると訳すべきではなかったかもしれません・・・・・・・・・。
ともあれ系統学と分類学は違います、そしてPhylogenetic Taxonomy と分類学(Taxonomy)もまた違います。分岐図が論文に掲載されていると”新しい分類が作られた”と勘違いする人もいますが、系統樹と分岐図は分類ではありません。新しく発表された分岐図は新しい分類ではありません。新しい系統仮説です。そこを注意してください。