思えば、あの誇りたかい凛々しい犬が、平凡な外見の人間の姿になるなど想像できない。シリウスは黒犬に相応しい、綺麗な顔立ちをしていた。鼻骨の高いすっと伸びる鼻は彼の誇りの高さを示すようだったし、形良い唇は口角が少し上っていて、そんなところも犬に似ていた。形良いのにどこか愛嬌のある口元は、それだけに表情豊かで、口角が下がったり、唇がぐっと引きむすばれたりすると、すぐにわかった。











シリウスは気にせず、腕の中の人のこめかみや額に、頬や唇を押しつけて言う。「俺がリーマスの恋人。」「うん。」「リーマスが俺の恋人。」「うん。」











 シリウスは身を乗り出して、整った顔をくしゃくしゃにして笑った。
「俺も眠れなかったんだ!」
 なんてこの人はかわいいんだろう、と思ってリーマスは、彼に手を伸ばした。












 リーマスは息を大きく吸った。雨粒と共に冷たい空気を吸って腹に力を入れ、嵐の中でも聞こえるように、はっきりと言った。












yukichさま、楽しい小説をありがとうございました&お疲れさまでした。





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