ふらふら歩くリーマスの後ろを、犬は軽い足どりでついて来る。











すると黒い犬は、ぴんと胸を張って、前足を掲げ、窓の外を指した。その爪と肉球の先には北の夜空が見えた。犬の瞳も夜空のようにきらきらして、その誇らしげな様子に、リーマスは笑みを浮かべた。











「かわいい肉球だね。」
 犬はびっくりしたように、リーマスを見た。












「私が海の中で触れた神秘の存在は、きっと大きな亀だろう、と言うんだ。」
 リーマスは笑い声を漏らし、犬の尾がぴたりと止まったことに気づかなかった。







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