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 第 五 回目は 西独  ZisseIkon 社の 「Contessa 35」を紹介します。 (2007/6/10)
(ツァイスイコン コンテッサ)

このカメラの名は「Contessa 貴婦人」と言います。
名前にふさわしく凛とした美しさがまことにエレガントであります。

西ドイツのツァイス社の製品で、当社を代表的する製品の一つです。ツァイスイコン社は戦前は世界最大最有力の光学機器メーカーで名機、名玉とよばれる数々のカメラを作り出す名門メーカーでありました。

第二次大戦前は、ライツ社の「ライカ」とツァイス社の
「コンタックッス」とで世界一の名声を競い合う名門でしたが、ドイツの敗戦によりソ連に接収されてしまいました。西ドイツ側に残った工場と技術者がツァイスイコン社を立ち上げて「コンテッサ」や「コンタックスU」を造り上げました。

その後レンズ部門とカメラ部門を分離したりいろいろ紆余曲折があって、カメラ部門のツァイスイコン社は日本のヤシカカメラと提携して「CONTAX」ブランドのカメラを発売しておりましたが、ヤシカのカメラ事業の撤退とともに市場から消えました。

レンズ部門のカールツァイス社は現在も優秀なレンズを供給しており、カールツァイスのレンズと言えば超一流品で我々庶民カメラマンには高嶺の花であります。


Zeiss Ikon Contessa 35

西独 ツァイス イコン社

製造年:1950年〜

レンズ:Carl Zeiss Tessar
45mm/f2.8

シャッター:Compur


このカメラの特徴はなんといっても、撮影レンズの上に鎮座する小レンズでしょう。レンジファインダーの距離あわせのための二重像をつくる片方のレンズです。撮影レンズとともに前後しますから、まことに合理的な機構ということができます

この方式はドレーカイル式のレンジファインダーといわれております。
対物側レンズを移動して焦点をあわせる方式でツァイスの得意技であったらしくツァイスのカメラには多く見られますがほかにはあまり見られません。

他メーカーはこのレンズを本体内部に納めてスクリュー機構で撮影レンズと同期させて二重像をつくるという極めて精密な機構を開発していったようです。後にはその内臓方式が主流となってスッキリ、シンプル顔のカメラになって行きました。

私の好みで言えば当然ながら、この大仰なゴチャゴチャ、メカメカの方がまことにまことに好もしく美しい姿なのであります。

このカメラは1950年発売で、セレン式の露出計を搭載しており時代的には内臓タイプのレンジファインダーが主流になった頃のものですから、この方式最後の製品となりました。自社開発技術を頑固に貫いての最後の集大成であったのかも知れません。製品としてはかなり力の入ったもので、性能的にも当時このクラスでは世界トップレベルのものでした。その「思い」は命名にも現れているような気がします。


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