藍九谷 陽刻波濤文縁枝折花文皿
寛文年 : 径21.4cm角  高3.9cm

縁周り陽刻の藍九谷です。
流水波濤に蛇籠と水車が刻まれその上にダミが施されております。
この技法の藍九谷には幾つかの類例が見られます。
陽刻では他に宝珠龍文の文様があり、見込み絵にも草花文など様々なものがあります。
藍九谷の代表的な技法の一つでしょう。

このお皿では余白を活かした枝折の花文を描いております。
力強い縁周りに対比させるかのように優しく、全体を和らげた美しい作品です。
この様式の作品では最も優れた意匠であると思っております。

目立ちませんが器形は真円ではなくて16角位に成形されております。
裏は無文、高台に二重巻線、高台内に一重の巻線、銘は角福。 

2019.8.1


   【追記 言いたい放題】

ところで、見込みの花は何の花だろう。
購入時「牡丹」と表記してありましたが違和感があります。
花の表現が小花の集合体のようで、牡丹の表現ではない。
紫陽花のような花だが枝ぶりが樹木系で紫陽花ではない。
樹木系で小花の集合体で江戸時代となると
「ヤブデマリ」(籔手毬)ということになろうかと思うのです。
日本在来種で山野に自生する落葉小高木です。
(小花の部分は装飾花といって額の発達したもの)
 




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