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今月のお皿は花苑渾身の蒐集品であります。 ずしりとした手取りしっとりとした磁胎。二重圏線で区切られた見込みは 一枝の牡丹の花と蝶が描かれている。縁は幅のある鍔状で、そこに鉄釉を施してある。 この手の初期伊万里で口紅のあるのも大変珍しいし、 それによってこのお皿の雰囲気を格調高いものとしている 裏は無文だが、深く削られた高台、流れる釉薬、初期伊万里の魅力に溢れている。 ところでこのお皿どこかで見たことあるなーという気がしたので 家中の古伊万里の本ひっくり返したらありました。 中央公論社「日本陶磁全集」の古伊万里編の記事「陶片にみる伊万里焼」のなかの 発掘陶片資料の中にありましたよ。稗古場窯出土陶片、まさにこのお皿ですねー。 「稗古場窯は有田川北側の斜面にあり、初期染付中皿に優れた手法をみせ、輸出品の生産も行っていた」 とある。こうした出自の明確なお皿と巡りあったのは初めてで、なんとも嬉しいものである。 お譲り頂いた店主様もご存じなかったようでお褒めに預かりました。 2012/5/1 | |||||
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