Y 義を弄ぶ
治を為すは多言に在らず
(史記−儒林伝)
前口上
与党を保ち続けてきた自民党。
よほど国民と水が合っていたのだろう。
それが今回の衆議院議員選挙で
政権与党であり続けること出来なかった。
二大政党時代の到来なのか。
単に自民党にお灸を据えただけなのか。
その答え現時点では不明だが
政・官・財の腐れ縁続く日本の姿や
首相を変えても民意を問わなかったことが
結果として民主党を勝たしたのだろう。
そんな義を弄ぶ政治家に対する
選挙民のフラストレーションは
実際政治的活動しない私にも
数々の「今、思うこと」となっていた。
@
前前回の衆議院議員の総選挙は
郵政民営化法案を参議院で否決されたため。
この問題、違った視点で捉えると
日本が大人の民主主義国家になるかどうかの踏み絵。
官尊民卑・役人天国の日本では
自己責任の観念薄く
お上頼りで糊塗する傾向強い。
それを分かった上で賛成しているのか
それを承知で反対しているのか
庶民はもとより政治家まで
何か分からぬうちに投票してしまったようだった。
でも民営化されたはよいが
自己責任の観念薄くお上頼りの気持ち残るようでは
何のための民営化であり選挙だったのか。
A
歴史の皮肉はよくあること。
ねじれ現象もそのうちのひとつ。
日本の政治の世界を考えても
かつて自民党と社会党とくっついたことで
選挙民を驚かせもした。
絶対矛盾の自己同一さえも受け容れる日本の国。
それもありかとの思いもする。
本来保守的と思っていた党が
革新的になったり
本来革新的と思っていた党が
保守的になったりする昨今の状態を見るにつけ
政治的世界とは元々そういうものなのか
革新を標榜して実は保守的であったと見るのは
政治を知らない者の単なる思い違いなのか。
B
選挙もしない。
しかも一年そこそこで
日本を取り仕切る総理大臣が
次から次へと変わっていく事態。
どう考えても異常だ。
その異常を異常とも思わず
圧倒的多数だからと言って
民意も問わないのでは
民主主義の国が泣くというものである。
時代も変わったものだ。
おかげで総理大臣の値打ちもすっかり落ちて
総理大臣経験者の名前がすぐには出てこなくなった。
年のせいで物忘れがひどくなったのならいい。
政治にもはや期待しなくなったのなら困る。
C
胡散臭いことしながら
その証拠を覆い隠して
文句を言わせない。
おかしな国策たてながら
その情報知らせず
裏で恥じることなく私物化する。
「臭いものには蓋をせよ」を合い言葉に
民を押さえることに長けている日本の指導者たちは
ペーパーテストをクリアーした者であれ
選挙の洗礼を受けた者であれ
見事にその自己中ぶりを示している。
嵐が過ぎれば
「水に流したことにしよう」と
己の悪事を消し去るのも彼らの常套手段である。
D
参議院議員選挙は任期6年、3年毎の半期改選。
制度として在ることの理屈はつけられるが
不要論が叫ばれるほどに
その存在理由が問われるのが参議院。
良識の府と呼ぶのはもはや神話。
政党色著しく
衆議院のカーボンコピー以外のなにものでもない。
衆議院の政権交代なったのだから
カーボンコピーであり続けたなら
ついでになくして欲しい。
残したいのなら
利益代表でもなくイデオロギーも関係ない
真の良識の府にしてほしいと望むのは
人間界にあってはやっぱり夢の又夢なのか。
E
テレビの国会中継で
大臣のいちいちメモを見ながらの答弁
あれは何とかならんかなと思う。
ましてや関係官僚の耳打ちにうなずいては
おもむろに答弁席に向かう姿見ると
某有名会社の社長が横に座る母親の言うとおりに
謝罪の言葉述べていた有名シーンつい思い出す。
大臣なら当然頭の中に入っているはずなのに
それすら出来ないのは所詮日本の大臣は
年功序列でなるものなのだとつい思ってしまう。
軍事オタクと言われる防衛大臣すらも
関係部門を統括できず右往左往をしている様を見るにつけ
無能な大臣を陰であざ笑っているエリート官僚達の
したり顔がつい思い浮かんでくる。
F
百年は大丈夫だと大見得切った年金対策も
鳴り物入りで始めた後期高齢者医療制度も
恐らく官僚の案そのままが出されたとは思うが
無能な政治家のおかげで見事に問題化している。
さて年金漏れの話。
まさか自分がその当事者になるとは思っていなかった。
参院で多数を取った民主党のおかげで
納入期間の確認の封書が送られて来
5年も少なくなっていたことが分かった。
本人が申告しなければ何もしないのが
悪名高き社保庁の本質だ。
そう言えば他のお役所も同じだ。
確認の通知を貰い申告し直したが
何もせずこのまま放っておかれたかと思うとぞっとする。
G
高齢者社会で
年金生活者が多くなり
国として何とかしようと考える気持ちは一応わかる。
でもその財源
いずれ消費税のアップでと
動きだすのにはに何となくうさんくささを覚える。
もとより将来の福祉政策や環境対策を思うと
やむを得ないなと思う庶民の気持ちはあるが
政治家の方から先に言って貰いたくはない。
その前にすることがあるだろう。
議員自身の定数削減や特別な年金制度の廃止。
持参金付きのお役人の天下り禁止。
たったこれだけのことも出来ないで
消費税アップ言うほど破廉恥なことはない。
H
中央集権の政治に嫌気がさして
地方分権がよいのこれからは地方の時代だのと
平成の志士たちが言い始めて十数年。
その声も現実味を帯びてきた。
戦後一応民主主義国に仕立てられたが
本当かどうかは疑わしい。
自由と責任・権利と義務が
コインの裏と表のような関係にあることを
肌で感じ取っていないのではないか。
それを一番知っているのは永田町の人たち。
自由を唱い権利を行使することが
民主主義の証しであると思わせて
知らしめぬべし依らしむるべしの中央集権の体制を
なし崩し的に作ってきたのである。
I
民主主義国を唱う限り
政治が悪いのは政治家の責任ではなく
その政治家を選んだ人の責任とはよく言われる真実。
ところが民主主義国家であると言われながら
わが日本では半世紀以上も政権が変わらないのは
どう考えてもおかしな話である。
べつに政治体制そのものをを変えようと言うわけではない。
与党が悪ければ野党に替わってもらい
その野党が悪ければ又前の与党の政党に替わってもらう
たったそれだけのかんたんなことなのに
半世紀以上も起こらなかったのは
日本では政治とはお上がするもの
民主主義的な政治なんて自分たちに関係ないと
思う選挙民がいるからである。
J
民主主義の国の自民党政治家が
これほど民意を問うのを恐れているのは
木から落ちてただの人になるのが嫌だから。
選挙をするためにのみ選ばれた総理大臣が
よっぽど座り心地がよい思ったのか
百年に一度の未曾有の経済大危機だからとか
政局より政治が大事だとか
来年度の予算を決めるまではとか
次々と解散しない理由を持ち出しては
総理大臣ごっこを楽しんでいる。
自民党から支持を受けている総理大臣。
国民からはそっぽを向かれている総理大臣。
そんな総理大臣を選んだ自民党も一度下野して
返り咲きを謀った方がよいと願うシンパもいるだろう。
K
最近の政治劇は実に面白い。
特に舵取りの総理大臣の言動が面白い。
何に限らず人間社会というものは
思惑通りにいかぬ相場と決まっているが
当てがはずれ続けている総理大臣はまさにそのよき例だ。
解散のために選ばれたとしか思われない総理大臣が
世界経済危機という幸運に恵まれて居座っていたり
自民党の大部分が選んだアキバ系ぶった総理大臣の
ぶれまくり発言には大部分の党員が黙認してくれている。
郵政選挙で当選した議員さんのおかげで
3分の2条項を何度も使ったのに
郵政民営化には元々反対だったのだと言ってしまう。
総理大臣の器量はともかくとして
これも日本が変わるための産みの苦しみなのだ。
L 2011/12/11に再掲
日本の政治家の無能化が
本来黒子である官僚を増長させ
本来公僕である官僚の時代錯誤が
本来主権者でる国民をないがしろにする。
官尊民卑の土壌を作った日本の風土。
その風潮何とかならんのかとも思う。
日本の政治家は政治家になることで力を使い果たし
日本の官僚は偏差値のみ高い世間知らずになり果て
両者とも国士張りの大言壮語をするくせに
ちゃっかり、己の利得にのみ走るを良しとしている。
官尊民卑の風潮を巧みに利用する政治家や官僚。
官尊民卑の風潮を逆利用し
そのおこぼれに預かろうとする国民。
今、死ぬにも死にきれぬ思いである。
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