シュバルツシルトの解 (その1)
二十数年前の事ですが本屋で科学啓蒙書を立ち読みしているとシュバルツシルトの解と書いてあってcosθなんとか書いた式が載っていて
わりと簡単なものだなという印象を受けた。その後シュバルツシルトの解について書いた通俗解説書がぞくぞく出るようになったが
具体的な式が載せてある物には出会わずあの時メモしておけば良かったなと後悔しました。
パリティブックスの一冊で式に出会ったが具体的な演算方法が書いてないので理解できなかった。
リーマン幾何学のちゃんとした本を買わなければいけないかと思っていたのですがさるホームページに演算過程が書いてあったのでやっと見えて来たのです。
添え字0は光速掛ける時間 ct
添え字1は地球で言えば中心からの距離に対応する変数 r
添え字2は緯度に対応する北極から測った角度変数θ
添え字3は経度に対応する角度変数φ
シュバルツシルト半径をaとする ( a=2GM/c^2) ( Gは万有引力定数、Mは中心星の質量)
共変計量の成分 (0でない成分、0でない項のみを表示。書いてない成分、項は0と思って下さい。以後同様)
g_00=-(1-a/r); g_11=1/(1-a/r); g_22=r^2; g_33=r^2 sin^2 θ
(アンダーライン _ より前は上付き添え字 後は下付添え字)
反変計量の成分
g00=1/g_00=-1/(1-a/r); g11=1/g_11= 1-a/r; g22=1/r^2; g33=1/g_33=1/(r^2 sin^2 θ)
クリストッフェルの記号の成分
Γ0_01=Γ0_10=(1/2)g00(∂1(g_00))= a/(2r^2 (1-a/r) ) (∂1は∂/∂rを表わす)
Γ1_00=(1/2)g11(-∂1(g_00))= a(1-a/r)/ (2r^2)
Γ1_11=(1/2)g11(∂1(g_11))=-a/(2 r^2 (1-a/r) )
Γ1_22=(1/2)g11(-∂1(g_22))= -r(1-a/r)
Γ1_33=(1/2)g11(-∂1(g_33))= -r(1-a/r) sin^2 θ
Γ2_12=Γ2_21= (1/2)g22(∂1(g_22)) =1/r
Γ2_33=(1/2)g22(-∂2(g_33)) =-sinθcosθ (∂2は∂/∂θを表わす)
Γ3_13=Γ3_31=(1/2)g33(∂1(g_33)) =1/r
Γ3_23=Γ3_32=(1/2)g33(∂2(g_33)) = cosθ/ sinθ
リーマンの曲率テンソルの成分
R0_101= -R0_110=-∂1(Γ0_10)-Γ0_10Γ0_10+Γ0_01Γ1_11 = a/( r^3 (1-a/r) )
R0_202= -R0_220=Γ0_01Γ1_22 =-a/(2r)
R0_303= -R0_330=Γ0_01Γ1_33 =-(a sin^2 θ)/(2r)
R1_001= -R1_010=-∂1(Γ1_00)+Γ1_00Γ0_01-Γ1_11Γ1_00= a(1-a/r)/ r^3
R1_212= -R1_221=∂1(Γ1_22)+Γ1_11Γ1_22-Γ1_22Γ2_21=-a/(2r)
R1_313= -R1_331=∂1(Γ1_33)+Γ1_11Γ1_33-Γ1_33Γ3_31 =-(a sin^2 θ)/(2r)
R2_002= -R2_020=-Γ2_21Γ1_00 =-a(1-a/r)/ (2 r^3)
R2_112= -R2_121=∂1(Γ2_12)-Γ2_21Γ1_11+Γ2_12Γ2_12= a/(2r^3 (1-a/r) )
R2_323= -R2_332=∂2(Γ2_33)+Γ2_21Γ1_33-Γ2_33Γ3_32= (a sin^2 θ)/r
R3_003= -R3_030=-Γ3_31Γ1_00 =-a(1-a/r)/ (2 r^3)
R3_113= -R3_131=∂1(Γ3_13)-Γ3_31Γ1_11+Γ3_13Γ3_13= a/(2r^3 (1-a/r) )
R3_223= -R3_232=∂2(Γ3_23)-Γ3_31Γ1_22+Γ3_23Γ3_23=-a/r
リッチのテンソルの成分
R_00= R1_010+R2_020+R3_030=0
R_11= R0_101+R2_121+R3_131=0
R_22= R0_202+R1_212+R3_232=0
R_33= R0_303+R1_313+R2_323=0
スカラー曲率 R=0
アインシュタインのテンソルの成分 すべて0
なお私の計算によるとリッチのテンソルが0になってしまったが教科書で確かめたわけではないので正しいのかどうかはわからない。
(大丈夫のようですね)
アインシュタインのテンソルが0になる事は当然だが。
教科書を持っていない。相対性理論の教科書を手に入れる事は相対性理論を理解する事よりも難しい。
重力源のある中心部から外れたエネルギー、運動量のない空間を考えているのでアインシュタインの方程式を満足している
(惑星(衛星)や光や宇宙線、観測者がいるが)
測地線の方程式は
d^2x0/dσ^2+(Γ0_01+Γ0_10)(dx0/dσ)(dx1/dσ)=0; c d^2t/dσ^2+a/( r^2 (1-a/r) )(c dt/dσ)(dr/dσ)= 0 (0)
d^2x1/dσ^2+Γ1_00(dx0/dσ)^2+Γ1_11(dx1/dσ)^2+Γ1_22(dx2/dσ)^2+Γ1_33(dx3/dσ)^2=0
d^2r/dσ^2+a(1-a/r)/(2r^2) (c dt/dσ)^2-a/(2r^2 (1-a/r))(dr/dσ)^2-r(1-a/r)(dθ/dσ)^2-r(1-a/r) sin^2 θ(dφ/dσ)^2= 0 (1)
d^2x2/dσ^2+(Γ2_12+Γ2_21)(dx1/dσ)(dx2/dσ)+ Γ2_33(dx3/dσ)^2=0
d^2θ/dσ^2+(2/r)(dr/dσ)(dθ/dσ)-sinθcosθ(dφ/dσ)^2=0 (2)
d^2x3/dσ^2+(Γ3_13+Γ3_31)(dx1/dσ)(dx3/dσ)+ (Γ3_23+Γ3_32)(dx2/dσ) (dx3/dσ)=0
d^2φ/dσ^2+(2/r)(dr/dσ)(dφ/dσ)-(2cosθ/ sinθ)(dθ/dσ)(dφ/dσ)= 0 (3)
空間の対称性から惑星や光の運動は中心点を含む平面内の二次元運動となるが球対称性から子午線面で考えても
赤道面で考えても同じである。ここでは子午線面で(rθ面で)考えよう。dφ/dσ= 0となるので
c d^2t/dσ^2+a/( r^2 (1-a/r) )(c dt/dσ)(dr/dσ)= 0; d^2t/dσ^2+a/( r^2 (1-a/r) )(dt/dσ)(dr/dσ)= 0 (0a)
d^2r/dσ^2+a(1-a/r)/(2r^2) (c dt/dσ)^2-a/(2r^2 (1-a/r)) (dr/dσ)^2-r(1-a/r) (dθ/dσ)^2= 0 (1a)
d^2θ/dσ^2+(2/r)(dr/dσ)(dθ/dσ) =0 (2a)
一次微分の項を右辺に移すと
d^2t/dσ^2=-a/( r^2 (1-a/r) )(dt/dσ)(dr/dσ) (0b)
d^2r/dσ^2=-a(1-a/r)/(2r^2) (c dt/dσ)^2+a/(2r^2 (1-a/r)) (dr/dσ)^2+r(1-a/r) (dθ/dσ)^2 (1b)
d^2θ/dσ^2=-(2/r)(dr/dσ)(dθ/dσ) (2b)
媒介変数による微分公式d^2θ/dt^2=(d^2θ/dσ^2)/(dt/dσ)^2-(d^2t/dσ^2)(dθ/dσ)/(dt/dσ)^3 に(2b),(0b)を代入して
σを消去すると
d^2θ/dt^2=(-2/r+a/( r^2 (1-a/r) ))(dr/dt)(dθ/dt) dθ/dt= Q と略記しr の式を変形すると
(dr/dt)(dQ/dr)= (-3/r+1/( r-a))(dr/dt) Q ; dQ/Q= (-3/r+1/( r-a)) dr
Kaを積分定数として両辺を積分すると
ln(Q)= Ka-3ln(r)+ln(r-a) ; Q=K(r-a)/r^3= K(1-a/r)/r^2 (K=exp(Ka)は角運動量) ; dθ/dt= K(1-a/r)/r^2 (2c)
微分公式d^2r/dt^2= (d^2r/dσ^2)/(dt/dσ)^2-(d^2t/dσ^2)(dr/dσ)/(dt/dσ)^3 に (1b),(0b) を代入してσを消去すると
d^2r/dt^2=-a(1-a/r)c^2/(2r^2)+a/(2r^2 (1-a/r)) (dr/dt)^2-r(1-a/r) (dθ/dt)^2+ a/(r^2 (1-a/r)) (dr/dt)^2 (2c)を代入すると
d^2r/dt^2=-a(1-a/r)c^2/(2r^2)+3a/(2r^2 (1-a/r)) (dr/dt)^2-(1-a/r)^3 K^2/r^3 (1c)
この式で軌道を計算する事が出来る
なお参考のため全部下付添え字にしたリーマンの曲率テンソルとワイルのテンソルをここに記載します。
全部下付添え字にしたリーマンの曲率テンソルの成分
R_0101= -R_0110= -R_1001= R_1010= g_00 R0_101= -a/r^3
R_0202= -R_0220= -R_2002= R_2020= g_00 R0_202= a(1-a/r)/(2r)
R_0303= -R_0330= -R_3003= R_3030= g_00 R0_303= a(1-a/r) sin^2θ/(2r)
R_1212= -R_1221= -R_2112= R_2121= g_11 R1_212= -a/(2r (1-a/r))
R_1313= -R_1331= -R_3113= R_3131= g_11 R1_313= -a sin^2θ/(2r (1-a/r))
R_2323= -R_2332= -R_3223= R_3232= g_22 R2_323= a r sin^2θ
ワイルのテンソルの成分
C_0101= -C_0110= -C_1001= C_1010= R_0101= -a/r^3
C_0202= -C_0220= -C_2002= C_2020= R_0202= a(1-a/r)/(2r)
C_0303= -C_0330= -C_3003= C_3030= R_0303= a(1-a/r) sin^2θ/(2r)
C_1212= -C_1221= -C_2112= C_2121= R_1212= -a/(2r (1-a/r)
C_1313= -C_1331= -C_3113= C_3131= R_1313= -a sin^2θ/(2r (1-a/r))
C_2323= -C_2332= -C_3223= C_3232= R_2323= a r sin^2θ