ザッツ13 「2001年度版パソコンメーカーサポートランキング」 特にオンラインマニュアルについて一言 2001年5月29日

日経パソコン(2001年5月28日号)では、『2001年度版 パソコンメーカー サポートランキング』が特集されている。調査方法については詳細は省くが、Webサポート、電話サポート、マニュアル、修理サポートのそれぞれの優劣(ランキング)が掲載され、この結果についての大手パソコンメーカーの責任者の見解までが載っている。

参考のために、全体的なランキングを紹介しよう。

第1位は「日本ゲートウェイ」。
第2位は「デルコンピュータ」。
第3位は「日立製作所」。
第4位は「エプソンダイレクト」。
第5位は「富士通」。
第6位は「ソニー」。
第7位は「NEC」。
第8位は「松下電器産業」。
第9位は「日本IBM。
第10位は「コンパックコンピュータ」。
第11位は「東芝」。
第12位は「ソーテック」。
第13位は「アップルコンピュータ」。
第14位は「シャープ」。

以上14社のランキングであるが、総じて、日本の「名門電器メーカー」は、なんとなく苦戦を強いられているようだ。この反面、「外資系」が奮闘していると思う。

僕は、今回のアンケートの中で最も興味深かったのは、同誌の147ページにある、「トラブルや分からないことがあるときに最初に利用するもの(上位3つ」の調査結果であった。このデータは、3つのパターンの質問で構成されている。第1の「パソコンが起動しない」とき。第2には「操作方法がわからない」とき。第3に「警告やエラー表示がでた」ときの3つのパターンであるが、何れのケースでも、第1位は「冊子のマニュアルを見る」(6割から7割を占めていた)であった。それもそのはず、パソコンが起動できない場合は、いわゆる「Webサポート」環境がない場合(パソコンを使えないのでインターネット接続ができない場合)が、ほとんどであり、残された環境は、手元の手でめくるマニュアルか、電話サポートしかないことになるのは当然だからだ。

ところで、ここでいう「Webサポート」とは、パソコンメーカーのホームページにある「良くある質問Q&A」の類のものらしく、同誌でも「メーカー各社が力を入れている。年々機能や情報の追加を繰り返して、今や単なる情報提供ページではなく、電話サポートやマニュアルに匹敵、あるいはこれらをしのぐほどの『サポートツール』になった」と評価している。これに連動してか、各社は、「Webサポート」の充実とともに「メールサポート」を重視しているようだ。

また同誌の特集記事を良く見ると、「電話サポートの有料化、1件ごとの支払いを望む」という記事があることに気がつく。このアンケートには、4つの質問があるようで、55・4パーセントの人が『電話サポートを除いた価格、サポート料金は都度支払う』を選択したという。記事の詳細は省くが、どうも「電話1件4000円から5000円程度かかるコスト」にあるらしく、しかも「購入者のわずか1パーセントの人が電話件数20から50パーセントを占め、使わないユーザーが多いことの不公平さ、家電製品とは異なり、特別な知識が必要となるパソコンの特殊性などが絡んでいる」とされる

さて、初心者が、サポートを必要とする場合は、どんな場合だろう。僕の経験(といってもたった2年あまりしかたっていない)から言えば、まず、パソコンが眠りから覚めない(起動しない)場合は、どうするのだろうか。インターネットにつなげないから、Wevサポートは論外になるだろう。残された道は紙ベースのマニュアルかサポートセンターへの電話になる。

次に、パソコンで作業中にトラブルが発生した場合はどうだろうか?これにはいろんなケースがあるが、今までで一番困ったことは、大事なデータを蓄積してから、それを保存しようとする直前のトラブルである。なんらかの原因で、キーを押してもうんともすんともいわなくなる。こんな場合も、Wevサポートは論外ではないだろうか。

このように考えると、書類ベースのマニュアルと電話サポートは初心者にとって大切だと思う。サポートセンターの電話をすぐに見つけ出すことのできる几帳面な人ならばともかく、電話番号を探すのには、マニュアルが一番確実だと思う。僕は、とあるソフトメーカーのサポート先電話番号を天下のNTTに問い合わせたことがあるが、教えてもらった番号は、ことごとく異なり、ひどい目にあった。またマニュアルのサポートセンターの電話が変更になってることもあり、パソコン業界のサービスは、まだまだだと思う。

そもそもパソコンは、歴史も新しく、まだまだ発展途上の未完成品だと僕は思う。ましてや、Windows98のOSやソフトなども「バグ」があることを前提に発売になっていることを思えば、サポート電話を有料にするなんてもってのほかだと僕は思う。「ハードユーザーは使わない、初心者がほとんど、だから、不平等だ」という論法には、僕は納得がいかない。誰だって初心者だったはずだ。誰だって失敗したりして、ベテランになったのだろう。メーカーは、「サポートに掛かる費用をパソコン価格に上乗せしている」ことが事実とするなら(おそらく事実だろう)、欠陥商品の苦情処理費を価格に含めていることになり、許されない犯罪ではないか」と思う。ましてや「特別な知識は必要だ」というなら、パソコンメーカー各社は、それなりの対策を講じる必要があるのではないのか。長い目でみれば、そのほうがパソコンの普及に貢献するし、また企業の評価もあがるのではないだろうか。各社の責任者は「顧客満足」を強調しているが、ここで言う「顧客」には、大勢の初心者がいることを忘れては困るのである

今回、日経パソコンのサポートランキング第1になった、日本ゲートウェイは、数日後、第1になったことをメインとする全面広告を出した。

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