ジャンボ福助、だるまと福助用の挿し芽
挿し穂は雨天を避けて昼間に採取します。
ジャンボ福助とだるま用は5月下旬から6月上旬に、福助用は6月下旬から7月上旬に、連結ポットかジフィーポットに挿し芽をしています。挿し芽の1週間前に、だるま用はBナイン1000倍液、福助用はBナイン500倍液を掛けて節間が伸びないようにしておきます。
ポットの底には籾殻薫炭を2.5cm入れ、その上に鹿沼土の小粒と蝦夷砂を半々に混ぜた用土を2.5cm入れ、更にポットの底に赤玉の中粒だけを1cm位入れたものを挿し芽用ポットの下に重ね水に漬けます。(前日の晩と直前に水に漬けます。)
ジフィーポットに挿す場合には連結ポットの中にジフィーポットを入れてその中に上記の用土を入れます。
挿し穂は7〜8cmの長さに、晴れた日に指で折り、3時間(冷蔵した場合は水切りして一日)HB101一万倍液とえひめAI400倍液で水揚げします。(挿し穂は日に当てないようにします。)
水揚げした挿し穂は、5cm位の長さに、安全カミソリ刃で軽く切れる場所を選び直角に切り、開いた葉をカミソリで落とし、根本2cmを軍手か布切れで上から下へこすります。その後、トノコと赤玉の微塵を半々に混ぜたものにハイフレッシュとルートンを1割入れて水で溶いたものを根本に付けて、バーミキュライトの微塵をまぶし、用土に竹べらで穴を明けてから、3cmの深さに挿しラベルを立てます。(この時期、挿し穂の消毒は葉先が黒くなり易いのでしません。)
挿した後は、再度、HB101とえひめAIの残りををジョウロで掛けておきます。
挿し芽後、10日間は、挿し芽箱を表土から10cmの高さで屋根代わりにするか寒冷紗やスダレで日除けをし、水遣りは控え、萎れていたら、朝方か夕方、軽く水を遣ります。(ジフィーポットは乾いたら水を遣ります。)
曇りの日は寒冷紗を外し、雨の日は水遣りをしません。
挿し芽から10日後にマルトの黒糖酢1000倍液を散布しています。
HB101で水揚げした場合、間伸びしないようにBナイン500倍液を週1回掛けます。
2週間して、半日、日に当てても萎れず、葉先が立って来たら、3号鉢(ジフィーポットの場合は18日後に5号
鉢)に鉢上げします。(根が0.5cm以上あれば鉢上げできます。4週間以上経っても根が出ないものは廃棄します。)
鉢上用土作り
使用する2〜3日前に未熟腐葉土(落ち葉のまま)24g(落葉樹の葉のみ)、赤玉小粒麹12g、籾殻薫炭5g(木酢50倍液1gで中和)、籾殻堆肥5g、ミネラル富士1g、玉子の殻を少々混ぜ、適度の水にマルトのサチュライドまたは展着剤を少々入れ、これを日陰で含ませ、用意します。
この時期にはバーミキュライトは入れていません。
中鉢用土作り
使用する2〜3日前に未熟腐葉土(落ち葉のまま)18g(落葉樹の葉13g、常緑樹の葉5g)、古土麹8g、籾殻薫炭3g(木酢50倍液600ccで中和)、籾殻堆肥3g、ミネラル富士0.6g、玉子の殻少々混ぜ、適度の水にマルトのサチュライドまたは展着剤を少々入れ、これを日陰で含ませ、用意します。
定植用土作
り
使用する2〜3日前に未熟腐葉土(落ち葉のまま)38g(落葉樹の葉25g、常緑樹の葉13g)、古土麹16g、籾殻薫炭4g(木酢50倍液800ccで中和)、籾殻堆肥6g、醗酵燐酸3g、ミネラル富士1g、玉子の殻を少々混ぜ、適度の水にマルトのサチュライドまたは展着剤を少々入れ、これを日陰で含ませ、用意します。
盆養用とだるま用苗の3枝の調整
盆養やだるま用の3枝の長さを調整するため、天のわき芽の元葉は根元から、地の元葉は根元から1/2の所で切ります。
だるま用苗へのBナインの散布
3本の枝が立ち上がるまでBナインの散布は控えます。
福助用親株へのBナインの散布
葉数が8枚の時Bナイン500倍液、黒糖酢1000倍液とえひめAI 400倍液を散布します。
ジャンボ福助とだるま用苗の鉢上げ
挿し芽して2週間位になり、葉先が立ってきたら3号鉢に鉢上げしラベルを付けます。
鉢底に赤玉の小粒(微塵はふるいで除きます。)を少し入れ、その上に培養土を少し入れて、根にえひめAI 400倍液とHB101一万倍液を霧吹きで吹き付けてから培養土の上に根を広げ苗を培養土で包むように深植えにし、土をよく押さえておきます。肥料は入れません。
鉢上げ後はしばらく、半日陰に置くか、寒冷紗を掛けておき、5日間は水遣りを控えます。
ジャンボ福助とだるま用苗の中鉢(5号)への移植
鉢上げした苗の根が鉢底に回ったもの(鉢上げ後10日から14日位)から順に、5号鉢に移植します。
培養土は中鉢用土を使います。
移植する前日に大菊液肥VとKING500倍液とえひめAI400倍液にドブ浸けして置きます。
鉢底に赤玉の中粒(微塵はふるいで除きます。)を少し入れ、その上に培養土を少し入れて、根にえひめAI 400倍液とHB101一万倍液を霧吹きで吹き付けてから培養土の上に鉢から抜いてゴロ土を取った苗を置き培養土で包むように深植えにし、土をよく押さえておきます。
元肥は鉢の周囲に大さじ3杯(太管は2杯、間管は1杯、細管は0杯)、の乾燥肥料を入れます。
枝は上から4本(1本は予備)を残し、その下のものは取ります。
移植後、60cmの長さに切った直径2.5mm〜3.5mmのアルミ線を支柱代わりに立てます。
だるま用苗の摘心
鉢上げした苗が10cm位になったら、ピンセットで目先1cmの所を摘みます。この時、3枚の葉の間隔ができるだけ狭い場所で摘むようにします。この時、Bナイン1000倍液を散布します。
盆養用苗の中鉢(5号)への移植
4号鉢に鉢上げして10日経ったものから順に、5号鉢に移植します。
移植する前日に大菊液肥VとKING500倍液とえひめAI400倍液にドブ浸けして置きます。
培養土は中鉢用土を使います。
鉢底に赤玉の中粒(微塵はふるいで除きます。)を少し入れ、その上に培養土を少し入れて、根にえひめAI400倍液を霧吹きで吹き付けてから培養土の上に鉢から抜いてゴロ土を取った苗を置き培養土で包むように深植えにし、土をよく押さえておきます。
元肥は鉢の周囲に大さじ3杯(太管は2杯、間管・細管は1杯)、の乾燥肥料を入れます。
枝は上から4本(1本は予備)を残し、その下のものは取ります。
移植後、60cmの長さに切った直径2.5mm〜3.5mmのアルミ線を支柱代わりに立てます。
盆養用苗の3枝の整枝
3本仕立て用の苗の3本の枝が15cmくらいに伸びたら、針金を掛けます。この時、3本の枝の長さが揃い、段差のないものを選びます。
針金は直径2mm〜2.5mmのアルミ線を60cmの長さに3本切り、地と人の鉢縁に挿します。
最初支柱代わりに根本に挿していた針金は天の枝に沿わして、他の枝と区別が出来るように、先を90度曲げて置きます。
針金は枝の上か下に沿わし、80cmの長さの接木テープ3本を束ねて人の枝の下で針金と茎を縛り、枝の付け根で隣の枝と8の字を描くように接ぎ木テープで巻いてから、枝と針金を巻く様にして固定して行きます。
針金を掛けた後、枝を少し下げておきます。(伸ばしたい枝は高く、伸ばしたくない枝は低くします。)
盆養用苗の定植
3枝の整枝が終わり、人の枝が20cmになったら定植します。ただし、
5号鉢に移植してから25日経ったものは枝の長さに関わらずに定植します。
定植1週間前にBナイン1000倍液を掛けると枝が割れ難くなります。
定植する前日に大菊液肥VとKING500倍液とえひめAI400倍液にドブ浸けして置きます。
使用する鉢は厚物と太管は9号鉢、間管と細管は8号鉢ですが、菊花展の規定に従ってください。
支柱を止める針金は用土を入れた後では、付け難いので、先に取り付けておきます。
培養土は定植用土を使います。
水耕にすると根腐れしますので、盆養は水耕にはしません。
鉢底に土濃袋を30cm角に切り中央に穴をあけたものを敷き、鉢網の上に消し炭を載せ、その周囲にゴロ土を入れます。6月中はセパレータを入れます。次に培養土を被せ、その上に培養土を中高に入れます。苗を正面にして鉢底の赤玉を除いて鉢の中央に植えます。根にえひめAI400倍液を霧吹きで吹き付けます。植える高さは人の枝の根本から鉢の縁まで4〜5cmですが、菊花展の規定に従います。苗の周りに培養土を被せ、根を隠すようにし、その上に培養土を入れ鉢の周囲を突き棒で固め、厚物(含富水)は乾燥肥料300cc(香菊は360cc)を3箇所に分けて入れます。(掴みと太管(含秋峰)は200cc、間管は100ccの量にし、細管には入れません。)さらに培養土を8分目まで入れて指で良く押さえておきます。根元に赤玉土の大粒を掛けておきます。その後、ラベル(天の手前の鉢際に立てます。)と支柱(2cm位浮かして止めます。)を立てインバイドで止め、3枝を更に曲げて支柱に固定します。この時、天の枝の結び目は鉢の縁まで10〜12cm、地と人の枝の結び目は鉢の縁まで8〜10cmとしますが、菊花展の規定に従います。
整枝に使った針金は2〜3日して外します。
定植後、枝の立ち上がり10cmの時にBナイン1000倍液を散布します。
定植後猛暑対策のため鉢に断熱材を巻き、更にアルミホイルで包みます。
1本仕立て(短幹)用苗の定植
3本仕立て用の苗で、3本の枝がうまく揃わなかったものも切り花用の1本仕立てにしています。
定植する前日に大菊液肥VとKING500倍液とえひめAI400倍液にドブ浸けして置きます。
3本仕立ての定植と異なるのは、支柱を真ん中に1本立て、福助用の支柱を3本立て、中央の支柱をインバイトで固定する所と7号鉢を使用する所だけです。当然、苗の高さの調整は不要で、肥料は180〜200ccにします。それ以外は3本仕立ての定植に準じます。
定植後猛暑対策のため鉢に断熱材を巻き、更にアルミホイルで包みます。
ドーム菊用苗の定植
使用する鉢は8〜9号鉢です。
支柱を止める針金(茶色のアルミ線)は用土を入れた後では、付け難いので、先に取り付けておきます。
鉢底に土濃袋を30cm角に切り中央に穴をあけたものを敷き、鉢網の上に消し炭または木炭を載せ、その周囲にごろ土を入れます。次に培養土を硬めに入れ、その上に培養土を中高に入れます。鉢底の赤玉を除いて鉢の中央に植えます。根にえひめAI 400倍液とHB101一万倍液を霧吹きで吹き付けます。苗の周りに培養土を被せ、根を隠すように培養土を入れ鉢の周囲を突き棒で固め、乾燥肥料(または「菊の肥料」)300ccを3箇所に分けて入れます。その上にさらに培養土を8分目まで入れて指でしっかり押さえて、根元に赤玉土の大粒を掛けておきます。その後、ラベルを鉢際に立てます。支柱を立てドーム菊用リングを止めます。
定植後猛暑対策のため鉢に断熱材を巻き、更にアルミホイルで包みます。
懸崖の枝の誘引
定植後、ジベレリン200ppmを3〜5日置きにかけ、枝が10から15cm位伸びたら、枝が均一になるように誘引します。この時、伸ばしたい枝は第二関節で、伸ばしたくない枝は第一関節で摘心します。ただし、前方の枝は摘心しません。
短幹種の親株の整理
だるま用の鉢上げが終わったら、親株を整理します。万一、挿し芽に失敗したら、早めに再度挿し芽をします。
常緑広葉樹の落ち葉集め
6月から7月にかけて常緑広葉樹の落ち葉を集めて土嚢袋に詰めて野積しておきます。
福助用挿し穂の冷蔵処理
挿し芽時期を合わせ、若さを保つため、挿し穂の葉が12枚になったら、7〜8cmの長さに切り取り、少し乾かしてから、ビニール袋に入れた上、空気を抜いて、ボール箱か合成樹脂の容器に入れて5度の冷蔵庫内で挿し芽直前の2週間から1週間保存します。(この時水や空気は極力入れないようにします。)
置き場所
置き場所は北風や西日が当たらない場所にします。
ビニールハウスやサンルームに置くのが理想ですが、できればトマトの雨避けに入れます。
鉢の台座は、石やコンクリートを避け、木の棚の上に置きます。
5月から11月までは挿し芽苗、中鉢や定植鉢は十分に日に当てます。
水やり
晴れた日には朝方9時までに、定植後の9号鉢に、始めの10日間は根元に180cc、その後は750cc〜1000ccの割合で、柄杓を使って水やりをしますが、乾き具合を見て鉢毎に調整しています。水は汲み置きとし、(水道水の場合は一晩置きカルキを抜きます。PH6.5より水のアルカリ度が高い場合は木酢液を入れ、酸性度が高い場合は石灰を入れます。)それにマルトのサチュライドまたは展着剤、更に過燐酸石灰を少々入れます。なお、容器の底には木炭と根腐れ防止剤ゼオライトを入れます。
夕方、鉢の表面が乾いても、水やりはしません。
富士の輝、富士新雪、聖光華宝、泉郷ひな祭、国華理想や掴みは水の量を1/2にします。
挿し芽の水やりは、できるだけ控えますが、葉が少ししおれてきたら、夕方、霧吹きで葉を湿らせるか軽く水遣りをします。しおれがひどくなったら、翌朝、ジョウロで水やりをします。
小鉢と中鉢の鉢上げ直後10日くらいは水差しで根本にだけ与え、徐々に周りへ広げていきます。
鉢が湿っていたり、曇や雨の日には水遣りはしません。
肥料やり
マルトの菊アミノ緑1000倍液かペンタV一万倍液か大菊液肥N1000倍液かハイポネックス1000倍液および大菊液肥アミノや大菊液肥KING1000倍液を週に1回与えています。(小鉢にはマルトの黒糖酢1000倍液を追加)
マルトの菊アミノ緑1000倍液か大菊液肥V1000倍液とHB101一万倍液とえひめAI 400倍液を週に1回葉面散布しています。(梅雨時はマルトの黒糖酢1000倍液を追加、厚物には2度かけします。)
ただし、大菊液肥は細管や越山、金山と聖者には与えません。
鉄力アクア1000倍液、硫酸マグネシューム500倍液を月に1回葉面散布しています。
挿し芽から10日経ったら、マルトの黒糖酢1000倍液を与えています。
消毒
殺虫剤(スミチオン、オルトラン、ランネート、テルスター)と殺菌剤(ベンレート、ダイセン、ダイファー)を1週間に1回交互に散布します。
殺ダニ剤(
ダニサラバ、ダニ太郎、ピラニカ、バロックまたはコロマイト)は15日置きに散布しています。なお、薬剤はローテーションして使います。アブラムシが付いたら、2〜3日置きにスミチオンとランネートを全ての鉢に散布します。また、白さび病が出たら、2〜3日置きにサプロールとベンレートを全ての鉢に散布します。ただし、挿し芽前の直前の挿し穂の消毒は控えます。
鉢上、移植や定植の時虫除けのため粒状のアドマイヤーやオルトランを少々入れておきます。
薬害を防ぐため夕方散布します。
1000倍液は、1リットルの水に薬が液体の場合は、1ccを粉末の場合は1gを入れます。
水が100ccの場合は、薬が液体の場合は1滴、粉末の場合は耳かき2杯です。
ハウスの管理
4月から11月まで、ハウスの腰ビニールを外し、4mmの防風ネットを張り、表と裏の戸を開け放しにします。
ハウスのビニールが切れたらビニールハウス補修用テープで補修します。破れがひどくなったら張り替えます。
草が目立ってきたら、こまめに取ります。
3月〜11月までは、虫が入らないように出入り口とビニールを明けている所に、防虫ネットか4mmの防風ネットを張ります。
ハウスの地面全体にナメクジ除けの薬とオルトラン粒状を撒きます。
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