コン コン コン コン
手元にあるナイフで弾爪の軌道をずらすDio。
「フン」
「良く知っている『ジョニィ・ジョースター』だ…特に違った所はないようだがな…」
そして平行世界のDioが現れた真相が語られる。
「探した…ぞ」
「いったい…いくつの『次元』を越えて…探したっことか……」
「やっと会えたな」
「生きているおまえに…待て行くな!待て!」
ジョニィの無限回転に犯された大統領が荒い息のもとで生きているDioに話しかける。
「『生きてる』?死にそうなのは」「大統領……あんたの方に見えるがな」
「おまえの知らない世界が存在する。『基本世界』という」
「いいか…Dio良く聞いてくれ。まもなくわたしはジョニィ・ジョースターに敗北する」
興味を持つDio。
「………おや…ほお?」
「君はわたしの事を敵だと思い信用しないのだろうがもはや違う」
「これはわたしの『遺言』だ」
「ジョニィ・ジョースターの能力は『無限の回転』だ。わたしの体はこれから消滅するのだろう…どこの世界からもな」
「『爪弾』は無敵のスタンド能力だ…」
「どこへ逃れても回転は止まらずこの場所に戻されてしまう。何をどうしても勝てない…」
「なんだかそりゃあお気の毒だな…」「だが…大統領…オレに何が言いたい?死ぬ前に飲み物でも欲しいのか?」
そして大統領がDioを呼び止めた真の狙いが話される。
「『聖なる遺体』をわたしの代わりに君が回収しろ」
「『遺体』を所有する者はこの世の全ての幸福を支配できるぞ」「君が支配者になれ…」
「『聖なる遺体』とはこの宇宙の中心であり『基本』だ」「『ナプキン』をとるのだ」
「わたしは死ぬ事は恐れないがあの『聖なる遺体』だけはジョニィ・ジョースターには決して渡せない」
「このアメリカから外に出してはならないのだ……死んでも死にきれない…だからDio、君に託す!」
Dioが噛みしめるように呟く。
「『聖なる遺体』…『基本世界』……」
「わたしも君を信用してるわけではないが君の野心だけはとても気に入っている…君が『支配』しろ……このアメリカの…未来を…」
「『遺体』のためにニューヨーク・マンハッタンに完璧に安全な地下シェルターを作っておいた」
「そこへ収めろ!『遺体』は君のものになる」
「これから『君の体』を…D4Cの能力で『土』と『土』の間にはさんで隠してやる。馬といっしょにな」
「そしてわたしはジョニィ・ジョースターと最後の『取り引き』をするつもりだt」
「説得の自身はあるが殺せるかまではわからない……もし失敗してわたしが死んだら次元を越えて『基本世界』へ行かせてやるよ」
「だが忘れるなよDio。そこにいるジョニィ・ジョースターには『無限の回転』がある!必ず殺せッ!」
そして再び舞台は基本世界に戻る。
「『5秒間』という言い方は…そうだな――まったく理屈に合わないが…」
「『THE WORLD』」「オレの能力は『5秒間』だけ時を止められる…そして動き出す」
そして時は動き出す。
「ハッ!!」「何ィ!!」
状況に気付いたジョニィが弾爪を放ってナイフを弾くが数本のナイフがジョニィの身体に刺さる。
「うぐああああああ」
落馬するジョニィ。だが2発の弾爪をDioへ放つ。
バグ バゴオッ
電柱に命中して薙ぎ倒す。1発は倒れる電柱を伝って、もう1発は地面に下りて弾痕の穴がさらにDioを追う。
2つの弾痕が地面に下りて、シルバー・ブリッツの足元を襲う。
だが時を止めて、愛馬ごと移動してその難を逃れる。
「くそっ、やっぱり多少ヤバイな…あの『爪弾』…」
「うかつにあまりヤツのそばへ近づけないか…射程距離はとらないとな」
『もっとも更にあるとかの『無限の回転』…そっちの方は排除する『計画』はすでに出来てはいるがな』
「ぐうあ」
「バ…バカな…」
「い…今のあいつは…」「!?」
「『Dio』だと?ウソだ…」
「ニュージャージーの線路のところで死んだはずだ」
大統領との闘いで汽車に轢かれて上半身と下半身に裂かれたDio。ジョニィはそれを双眼鏡で見たのだ。
「Dioが死んだところを確かにこの目で見た」「しかも…」
「『スタンド能力』が恐竜じゃあなかったッ!!」「…今のはッ!?」
『走りはDioだった』
『足跡もDio!』
身体に刺さったナイフを呻きながら引き抜くジョニィ。
「ナイフが何本も突然空間から『現れた』!Dioの体も瞬間に空間を移動した!」
「単純に『テクニック』とか『スピード』だとかなんかじゃあない…」
「あいつの『能力』が全く違う!まるで時間が何秒か『止められた』みたいだった!」
ここでジョニィはジャイロを別の世界から連れて来ると取り引きを持ちかけて来た大統領の言葉を思い出す。
「ヴァレンタイン大統領の…仕業だ」
「大統領は異次元から『拳銃』を隠し持って来ていた」「ホット・パンツの『スプレー』も持って来ていた」
「Dioも連れて来ていたんだ……あれは異次元の違う『能力』のDioだ!」
「死んだあとも誰にも決して『遺体』を渡さないために……」
「決着はつけるからな」
大統領の負の遺産との闘い。
{着順は5位ですッ}
舞台は8th.STAGEのゴール地点にとぶ。
{8th.STAGEニュージャージ州ユニオン・ビーチ!!}
{『5位』!ジョニィ・ジョースター、ジョニィ・ジョースターと『スローダンサー』が5位で到着です}
{そして続いて『6位』にジョージー・ポージーが入って来ました…}
{『8th.STAGE』の記録はそのままに各選手は各馬ごとにピストン走行する汽船に乗船し}
{ローワー湾をニューヨーク州ブルックリン地区コニー・アイランドまで渡りますッ!}
{航行時間約2時間。その間は各馬の体力は温存という事になります!}
{このTHE FINAL STAGEは各船が8th.STAGEの到着順に対岸へ渡り、1位から15秒間隔で各馬スタートとなる予定です!}
{およそ4カ月に渡って大陸を横断して来てついに『SBR』レースも対岸に着いたら残すところ20数分で決着がつくと思われますッ!}
{それではここで8th.STAGEまでの総合順位表を見てみましょう}
{本当に不思議です!いや逆に真に過酷であったという事の証明なのでしょうか?}
{6000q以上の長距離を横断して来たというのに他の選手を大きくひき離す単独1位の選手がおりません}
{タイムボーナスは全員が第8STAGEまでで使い切らないといけないので持ってる選手は最終ステージではおりません。ここで何とか優勝圏内に4名がいますッ!}
{FINAL STAGEの結果により優勝の可能性がある選手は…!!}
{ポコロコ選手}
{ディエゴ・ブランドー選手}
{ノリスケ・ヒガシカタ選手}
{ジョニィ・ジョースター選手}
{しかもSBRレース総合ポイント優勝者の賞金60億円に加え…!!さらにこのファイナル・ステージだけの勝利者に懸賞金が各スポンサーから『10億円』ついております。再校合計70億円ですッ!}
なんと優勝できなくてもファイナル・ステージ1位で10億円もらえるという太っ腹企画。
そして各々が船に乗り込み出航する。
「なあ…!」
ジョニィである。
「…なあってばッ!」
「もっとスピードあげられないのかッ!遅いぞッ!」
おなじみの卵型の委員に話しかけるジョニィ。
ところで、双子かと思われていたこの委員だが、同じ体型の委員が5人確認された。5つ子?それともこの世界では珍しくない体型?
「一応警告しておきます。本船が前の船を追い越したり…妨害と認められる行為があった場合…即『失格』となります」
「もう失格だとか着順だとかそんなの僕はどうでもいいんだよッ!」
「いくら欲しい?近づいてくれッ、言いなよ…いくら払えばいい?」
「10万円か?50万でどうだ?Dioの船へ近づくだけでいいッ」
露骨に違反を迫るジョニィ。怒りのせいか震える委員。
「このわたしにィ金を見せたら逮捕させますよ!!
「レースを侮辱しているッ!ワイロは船を止めて逮捕させますッ!!」
「船を止める…?」「……待て」
ちょっと考えるジョニィ。
「まさか、おまえDioの方から逆に妨害のためにワイロ貰ってるんじゃあないだろうな!?」
ジョニィを睨みつける委員。
「冗談だよ、ウソ…落ちつけよ…そう…落ちつけって……僕の方がな…」
地図を開くジョニィ。
「再上陸したら…マンハッタン・ブルックリン橋までのルートはいくつかある…」
「重要なのはDioへの追尾を見失わない事だが」
「問題は――(もう恐竜でない)――ヤツの『スタンド能力』だ」
『あの能力は『時』を止めてその中を移動している可能性が高い』
『カンザスの林の中で出会った『リンゴォ』は時間を数秒間戻せた…」』
『――しかし――『時』が止まっているのに――まず射程内に入って『爪弾』なんか命中させる事が出来るのだろうか…?』
『Dioは撃たせてくれるような間抜けか?(ヤツの能力の)『裏』をかかなくては……残り走行は13qだ』
ドンッ
水面にタスクを放つジョニィ。魚が2匹浮かびあがる。
それを引き揚げてフライパンで焼いて食べるジョニィ。
{各船が15秒間隔で続々とコニー・アイランド・シーゲートに到着しますッ!!}
{スループ・ジョン・B、スタートッ!}
{15秒開いて続いてノリスケ・ヒガシカタ、スタートッ!}
{そしてポコロコッ!Dioがニューヨークに上陸しますッ!!}
アナウンスの通りDioがニューヨークの街へ跳び出す!
{ついに全世界注目のTHE『FINAL STAGE』がスタートしましたッ!}
{残り13qの距離ッ!泣いても笑っても13qで決着がつきます}
{市街戦ッ!!『13qの高速レース』が始まりましたッ!!賞金の『60億円』は誰のものにッ!『栄冠』は誰のものにッ!}
そしてジョニィの出発もカウント・ダウンが始まる。
その時、客席では老紳士が無理矢理に前へ出ようとしてヒトモメが起こっていた。
「おい!おまえ押すなッ!」
「痛い、痛いわ」「娘が痛がっているだろうッ!!」
フェンス際を白ネズミが走った。
それに気付いたのか気付いていないのか…ジョニィが客席の方を見る。
そして老紳士がジョニィに気付き、ジョニィも老紳士に気付く。
「父さん…?」
ジョニィが父と呼ぶ人物の目から涙があふれている。
「何しに……」
父親がコートの中から1対のブーツを取り出し、肯く。
「兄さんの『ブーツ』」
『まさかこの僕を…』『『応援』に?』
{続いて5番手ジョニィ・ジョースターが上陸!!}
{愛馬の首をマンハッタンへと向けますッ}
父親を見るジョニィの目にも涙が流れる。
「みなさんみなさんッ!聞いてください。少しだけ聞いてください、お願いです」
父親が群衆に話しかける。
「わたしは何年も何年も自分の子供に対しひどい仕打ちをして来ました」
「わたしはずっと今までその残酷な事に気がつきませんでした」
「子供の心を傷つけた事を謝ってもとても謝れるものではないのは知っています」
「でもその事に……わたしはやっと今気が付く事が出来ました」
「わたしの子供の名前は『ジョニィ・ジョースター』」
「遥かなる西海岸の端からこの大陸を渡り切って、たったひとりぼっちで今!この!ニューヨークへやって来ました……」
「うう…………」
号泣。
「失礼…しました」
その話は、群衆の拍手に迎えられた。
疾走するジョニィ!Dioの後ろ姿を捉える。
タスクを構えるがなかなか撃てない。
『Dioが『時を止める』というならヤツに近づき過ぎたら逆にやられる』
『近づくのは絶望的に危険だ。これで…射程内に入らないと『爪弾』は着弾しない…!!』
『あのDioはその距離を知っている。しかもあいつの『スタンド』の『裏』をかかなくては』
『そのギリギリのところで撃ち殺す!』
「はっ!!」「ワイヤーを張っているッ!!」
『裏をかかれたのは……』
『しまった僕の方か…』
路地の左右にワイヤーが3〜4本張られている。
タスクで右側の壁を破壊する。切断しきれなかったワイヤーは壁の破片を盾にして防ぐが、落馬は確実である。
『ああ、くそっ!』
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