流れる雲は2人と共に……
ジャイロに合掌

‘10 07月号
 #60 LESSON
 

 平行世界の大統領が落とした拳銃を波の中から拾う真の大統領。全弾を倒れているジャイロの胸に撃ち込む。

「うああ……ああ……あ」
「あああああああああああああああああ」
 ジョニィの絶叫が響き渡る。

ダッ
 そして再び『スキ間』の中に潜みジョニィへ走り出す大統領。
「うおおおおおおおおおッ」
 ジョニィが弾爪を放つッ!しかしこの世界のどこかへ「害」は飛ばされる。

アフリカ大陸のどこかであろう…
狩りをしている青年たち
しかし弾爪の衝撃で狩猟用の矢を誤射してしまい仲間の首を撃ち抜いてしまう
「何だ!?そんなつもりじゃ…と、友よ」

『馬をッ!』
『馬を走らせなくては』『回転に『馬の力』をッ!加えなくてはッ!!』
 ジョニィが地面に2発の弾爪を撃つ。弾痕が大統領に襲いかかったように見えたが…

ヨーロッパのどこかであろう…
汽車が来るのを待っている客たち
しかし弾爪の衝撃で並んでいた客が後ろから押されるかたちとなり
プラットホームに突っ込んでくる汽車の前に次々と落ちていく
「うわあああ」

「だめだ…爪弾が『次元の壁』を突き抜けなくては!!」
「馬を走らせて爪弾の回転にエネルギーを得なくてはッ!!」
 左から走り込んでくる大統領が馬の頭部の死角に入る。
すかさず右側に照準を移動させるジョニィ。
「うっ……」
 ジョニィは波と地面に挟まれて姿を消す大統領を見る。
慌ててタスクを撃つジョニィ。
だが再度「害」をどこかへ飛ばされる。

バキィィン
弾爪の衝撃が南京錠を破壊する
中から出て来た番(つが)いのライオンが
側に居た人間を襲ってバラバラにしてしまう

『『波の下』!地面との間ッ!』
 ジョニィの言う通り波の下に潜んでいた大統領がジョニィの隙をついて攻める。
大統領の手刀が唸る。

ズドオオオオオ

 ジョニィの愛馬・スローダンサーの首が切り裂かれるッ!
ついに馬を攻撃した大統領。転倒するスローダンサー。荷物ごと投げ出されるジョニィ!!
「うぐぁ、あぁ…ああ…あ」
「ああっ!!……う…馬を……」
 しばし大統領の姿を見失うジョニィ。
「2年前……」「わたしがこの国の大統領に就任した時…」
 スローダンサーを挟んで反対側に出現する大統領。
「わたしの生まれ故郷で祝賀の晩餐会が開かれ……そこでその時だけ」
「殺されたばかりの子羊の生肉が出席者たちにふるまわれた……遠い祖先からの古い慣習」
「この人間世界の現実…新しい時代の幕開けの時には必ず立ち向かわなくてはならない『試練』がある」
「『試練』には必ず『戦い』があり『流される血』がある」
「『試練』は『強敵』であるほど良い…」
 何故か土くれをパラパラとジョニィに掛ける大統領。「墓に埋めてやる」という意味だろうか?
「試練は『供えもの』だ。りっぱであるほど良い」
「『ブンブーン一家』 『マウンテン・ティム』 『サンドマン』 『わたしの妻』 『ウェカピポ』 『ディオ』……」
「おまえたちがそれだ」
「味方も敵もこのSBRレースに参加した者は『子羊の生肉』
「次元の壁を越えれるエネルギーはこのわたしの『D4C』だけだ」
「そして新しい時代を意味する『ナプキン』…『不幸』をこの場所ではないどこかへ吹き飛ばすあの『遺体』……わたしの国はこれから『幸せ』になる」

 絶体絶命の中、ジョニィの思考に一つの疑問がよぎる。
『LESSON5』
『ジャイロ…なぜ…』 「ハァー ハァー」
『なぜ『LESSON5』を突然あの時……言い出したんだ…』 「ハァー ハァー」

「一発だけ、今『爪弾』が残ってるな…ジョニィ・ジョースター…」
「小指の爪か?」「撃たせてやる……」

『LESSONだ』…ジョニィ
オレたちの近道は遠回りだった…
このSBRレース…いつも廻り道こそが…
最短の道だった

「これから行われるのは『生贄』だ…おまえ!ジョニィ・ジョースター…」
「試練は…流される血で終わる……」
 足音を鳴らし大統領がジョニィに近づく。

『なぜ…』『あんな時に…ジャイロ』
『LESSON5を……』

 ジョニィの目の前に立った大統領。
「来いッ!先に撃たせてやるッ!」
 余裕の一言。しかし次の瞬間、意外なものを目にする。
」「…『鉄球』…」
 ジョニィが残された右手の上で鉄球を回転させている。
そして傍らに伏すスローダンサーの腰の所に投げつける。

『ジャイロ…今、君に渡せなかったこの一発の『鉄球』。僕のところにある…』
『本当に廻り道だった』『本当に本当に』
『なんて遠い廻り道……』

妙な期待はするな
脚が動いたのは単なる肉体的な反応にすぎないぜ

 スローダンサーが後ろ脚でジョニィを蹴り飛ばすッ!!
『『馬の力』を…利用した『黄金長方形』』
『LESSON5』
『敗北を悟ったジャイロは自分が倒されたあと…すぐに僕の馬が攻撃される事を考えていた…』
『…大統領はまず僕の馬を走れなくさせるだろうという事を…』
『そのための『LESSON5』』

完全なる黄金の『回転エネルギー
――そして『爪弾』は残り一発まだある

 そして『遺体』を全て奪われたにも関わらずジョニィに寄り添っていた『遺体の左腕の聖霊(通称:クルース)』がガタイ(身体)をとんでもなく大きくして再登場ッ!
そしてスローダンサーに蹴られて宙に舞ったジョニィの指先には未知のパワーが宿る。
次号を刮目せよッ!!

今週のめい言

「なんて遠い廻り道…」


「遠廻りすることこそ近道」の真の意味はLESSON1のさらに前、ジャイロの鉄球の正体を知らずに触れることにより動かなかった脚が立ち上がった現象を思い出せということだったのでしょう。「肉体の反射」により大統領に倒された愛馬スロータンサーが両脚を繰り出しジョニィに「馬のパワー」を与えました。「与えました」というと聞こえはいいが、ガッツリ蹴られている状態です。

○実はジャイロは読み返す限り「LESSON1」という言葉を発したことはないです。「LESSON1、俺に関わるな」というのが何故かジョニィの記憶の中に刷り込まれているようです。ちなみにLESSON2は「皮膚を支配しろ(生物の筋肉の操作)」。LESSON3は「回転は無限の力、信じろ(回転の実戦使用)」。LESSON4は「敬意を払え(黄金回転の会得)」である。

○鐙回術(回転+馬のパワー)の内容が異なったような。ジャイロが顕示した究極黄金回転は乗馬した馬もその走りの姿勢(フォーム)を黄金長方形にまで持っていき、鐙(あぶみ)を通してそのパワーを黄金回転させた鉄球に乗せて放つものです。ところで「LESSON5ヴァージョン(以後、L5Ver.と表記)」は馬が倒れており、これは何故成立するのか?

○推測するに、鉄球に与えられた黄金回転が馬体を通してジョニィにそのまま還って来たととらえるのが正しそうです。その際、黄金回転と馬のパワーがミックスされ、蹴ったジョニィに伝達されそのパワーごと小指の爪を黄金回転させる。黄金回転により黄金回転を発生させる、黄金回転の相乗であります。

○そしてタスクが成長したことを証明するようにクルース(『遺体の左腕』の聖霊、ジョニィが『遺体』を失っても彼に寄りそう。第七部最大の謎は実はそれだったりして)も変化。もはや「モリモリ」とか「ムキムキ」という擬音がピッタリのものごっそい強面のヴィジョンになって登場。そして注目すべきはクルースに脚があること。ジョニィの脚の状態に何らかの改善があるということか?

○オマケに1つ。大統領が倒れているジャイロに銃弾をありったけ撃ち込んだこと。これは大統領の残虐さを表すエピソードではない。ジャイロに対していかに大統領が恐怖を感じていたかのエピソードである。すでに命を落としているジャイロが万が一にも再度立ちあがってくるのを恐れたする必要もないトドメです。その反動であろうか、ジョニィに対する態度には油断を感じる。いくら馬を仕留めたからといって「先に撃たせてやる」というのは油断です。

○とにかく、クルースの様子から来月号ではとんでもないタスクが発射されることが予測されます。次元の壁を貫通するどころか、時空を捻じ曲げてジャイロが生き返ったり……そんな都合のいいことを期待したりします。では、また来月!

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