‘08 04月号
 #35 追憶の館 C 

 自らの頭部を撃ち抜いたジョニィ。
そこに殺到するゴースト達。
ジョニィの身体をバラバラにして、『遺体』の両脚も引き出して奪う。
「『両脚部』がそろった!!……ついに」「このわたしが!」

名前―『アクセル・RO』

スタンド名―『シビル・ウォー』
相手が過去に捨てて来たものを全て提示できる能力―そして自分の過去の罪を相手におっかぶせて清める


 ゴースト達が地面を探っているのに気づくアクセル。
「上半身はどこだ!?ジョニィの体内の腰のところに『脊椎』の一部が残っているはずだ……遺体は全て『回収』しろ!だがちぎり飛ばしたジョニィの上半身はどこにある?」
 その時、ジョニィの下半身が動き出す。そしてそこからスタンドの像が現れる。
チュ…」「チュミミー――〜〜〜〜ン
 このゴツイ感じのスタンドは!!

ドバッ

 イキナリ穴から右腕が現れてアクセルの顔面を弾爪で撃ち抜く!!
続いてジョニィの顔や上半身が渦を巻く穴から現れる。
「ジョニィの体は…バラバラにされていない…」「そうだ…(確か)…!!」
「ジョニィはさっき一瞬前に…(なぜだ?と思ったが)『自分』を撃った!!」
 ゴーストの群れの中に逃げ込むアクセル!
ボゴッ  ボゴッ   「ぐえ!!」
 ジョニィの身体から離れた左手が、弾爪がゴーストの間をすり抜ける角度で撃った。
「『穴』から……『左腕』が…移動している!!『穴』の中からやつの腕が出て!」
 アクセル驚愕ッ!

「『黄金』…」ジャイロ。「『黄金長方形』の回転!!それは無限への軌跡」
「もしその回転を持つ『爪弾』で自分自身を撃ったなら…その弾痕は……」
 ジョニィの起こした新現象をジャイロが推測する。
「螺旋の回転の究極の『地点』で……無限にうず巻くどんな『点』より小さな小さな最後の『場所』で……」
「自分の肉体を穴の中に巻き込むッ!」
「それは回転が正確なら理論的に無限に巻き込める!」
「ジョニィの『スタンド能力』の回転持続時間が止まる10数秒の間はッ!」
オレのツェペリ一族も考えなかった新しい世界ッ!

 300年の歴史を持つツェペリ家の『回転』がジョニィの手により進化したッ!!
「亡霊どもッ!ジョニィをはなすんじゃあないッ!しっかりつかんでやつの体をバラバラにしろォォォー――ッ」
 ゴースト達がジョニィを押さえつけ、離れていた左腕も掴む…が!穴はすり抜ける…逆に頭を撃ち抜かれそのまま吹っ飛ぶ。
そして、そのままジョニィを押さえつけていたゴースト達を射撃する。ゴーストが左手を掴もうとするが再び穴となって上に突き出したパイプに駆け上がる。
「よし見える」
 今度は高所からアクセルの頭部を狙撃する。
「やった!『無限の回転の最後のところへ』ジョニィの爪弾は……到達した」
 ジャイロべた褒め!

迷ったなら……ジョニィ
撃ってはならない

 再びJCの言葉を聞くジョニィ。
その時、頭を撃ち抜かれたはずのアクセルが血を拭って何事もなかったように立ち上がる。
「HEY!ジョニィ…『スタンド能力』の新しい境地を切り拓いておめでとうと祝ってやりたいところだが」
「だがいいか……」
「おまえにはもうどこへも行くところなんかないんだ…。新しい能力だろうと…そうでなかろうとこれからどんな『力』を持とうともな…」
「もう一度思い出せ。今、おまえがここでどういう状況にいるのか?…」
「この亡霊たちがなぜここにいるのかをな」
「わたしの自分のこの存在はもうすでにおまえの『罪』で護られている…」
 シビル・ウォーの能力は未だに健在であるようだ。
「ジョースター!おまえはわたしの『過去の罪』を全部おっかぶったんだ」「『シビル・ウォー』
「忘れたか?わたしがこの町の人間と仲間の中隊全員を見殺しにした『罪』…それを全部だ」
「わたしのところにいた亡霊どもはおまえのものになったんだ…ジョニィ・ジョースター」
「もう一度言うぞ…おまえがさっきわたしを殺して捨てたからわたしは『甦れたんだ』!」
「それが『シビル・ウォー』…わたしはおまえの『罪』の中にいる!だからわたしを!おまえにはもう二度と殺すことはできない。おまえが何をしようとな!」
「戦いはすでに終了しているッ!!今までのスタンド能力の影響で『新しい能力』に目覚めたようだが、おまえが腰内に持っていた『脊椎の一部』も亡霊どもが今、おまえの体をつかんだ時にすでに手に入れて来たぞッ!」
「わたしは自分の罪を『清めて』遺体を回収する事だけが目的ッ!!」
「あとひとつ!!頭部を残して9つの遺体部位はこれで全てそろうぞッ!」
 長々とおしゃべりしていたが、やるべきことはやっていたアクセル。
「く…くそ…逃げられてしまう…。だ…だめだ……このまま…ここで逃げられる……」
 弱気な発言をするジャイロ。しかしその言葉通りにアクセルは沢山のゴーストを盾として逃げてしまう。
ジョニィがタスクを撃つも命中せずに壁に穴を開けるにとどまる。

「す…すごいぞ。あのお方の御体が…わたしの体の中に…同化していってくださっている」
「やったぞ…自分の『罪』をこの館のゴミの中に置いて来て……わたしは完全に『清め』られた」
 アクセルの身体に『遺体』が入り込む、それに有頂天になるアクセル。
その時、ジョニィが最後に放ったタスクの弾痕がアクセルの後を追いかけてくる。
穴からジョニィの右手が飛び出し、『遺体』の左手首をガッシリと掴む。
「なにィィィィィ〜〜〜」「ジョニィ・ジョースター…(手が)…」
 腰のナイフを振りかざし再び館の扉から中を覗くが…
「…いない…」
 ジョニィとジャイロの姿は霧消している。その間もジョニィの手は『遺体』を引っ張り続ける。
「何をする気だ……?終わっているんだ…ジョニィ・ジョースター、おまえはもう終わっている」
「こうやって『遺体』を『穴』からつかんだところでおまえはすぐ亡霊どもに八つ裂きにされるんだ」

ボギン  バギ  ボギ  ブチン

『!!』『何だ』
 あまり心地よくない音がする。
『何の音だ?遺体をつかんで骨が折れているぞ!!』
『引っ張るな!……『遺体』が壊れる……こいつ何をする気だ!?』
「こいつッ!手をはなせッ!」
 穴の中のジョニィの右手をナイフで突くが逆に刃が欠けてしまう。
『何だと?この『回転する穴』は……このジョニィの腕以外のものが中に入ったら…それはどうなる?『遺体』がこのまま穴の中に入ったなら…まさか、こいつ…』
『どうせ遺体が自分のものにはならず敗北するなら…道づれに『遺体』を破壊するつもりかッ?』
「このクソ野郎、指をはなせッ!」
 さらに穴を攻撃するが、逆に『遺体』をそのナイフで傷つけてしまう。

「おいジョニィ!何をしているんだジョニィ!?」
「おい…あの『目』は…ジョニィのあの『表情』は…」
 ジャイロが驚愕する。
「何しやがる!?きさまッ!わかっているのか!?こんな事をこの『遺体』が誰のものかわかってやっているのかッ!やめろッ!!お前はもう私には勝てないッ!」
 ジョニィの思惑を察して愕然とするアクセル。
『ジョニィ!あの『眼差し』は…』『『ガンマン・リンゴォ』が見抜いていた『漆黒の心』……』
『ジョニィは全てに追いつめられた時、その暗黒面は冷徹に人を殺せるという表情だ』

あれは人殺しの目だ

『ジョニィは全てを捨てる気だ…その『人間性』までも…』
「ジョニィ、やめろッ!!」「オレたちがこのまま負けるとしてもローマ法王庁が探しているというならその『遺体』はとんでもないものだッ!」
「破壊するのは間違っているッ!!やめろッ!そのままヤツに渡してやれッ!」
 人類の至宝、歴史の証言とも言える聖人の『遺体』を破壊することをジャイロは良しとしない。
「ジャイロ…迷ったなら『撃つな』………だ!」「だがもう『迷い』はない」
 ジョニィの双眸(そうぼう)に黒い炎が灯る!!

「このうす汚れた無知のゴミ野郎がァー――ッ!!」
「おまえなぞこの『遺体』に触れる資格さえもないッ!!おまえがどれだけゴミなのかッ!どれだけ下っぱなのかッ!?知りたいのかー―――ッ!!オレが教えてやるッー――!!」
 激怒したアクセルはナイフを掴んでいる右腕を穴に突っ込む。
ギャルギャルギャル   ズババババババババ…

              ズン
 肉が削られる不快な音の後に軽く乾いた衝突音が響く。
アクセルの腕だけが穴を通過し、ナイフがジョニィの喉元に刺さる。
「がふッ」
 血を吐くジョニィ。完全に白目を剥いて仰向けに倒れる。
「や…やった……『勝った』…!!ナイフは向こう側に行けた!!地獄で腐り果てろッ!」
「これでわたしの完全なる勝利だあァァァァァァー――ッ」
 右手を切断されながらも勝利宣言をするアクセル。
その時、アクセルから数メートルのガラクタの中から人間が現れる。
「いや…違う…勝利はぼくの方だ」
 ジョニィ…死んだジョニィとは別の新たなジョニィが出現した!
「しまったと思っているのか…?ぼくはわざと君にぼくを殺させた。君はぼくをナイフで殺したんだ」
「やっちまったな…それは『罪』だ」
「『捨てたもの』。君のスタンド能力なのだろう?これでぼくにおっかぶせた『罪』は再び君に移って戻ったぞ!
「だからぼくは甦れた。『清め』られたんだからな」
 再びゴーストがアクセルの周りに顕れる。
「君の『亡霊』もこっちへ戻って来たぞ。君のところへ…」
「この館の『中』が君のスタンドの射程距離内―――『遺体』をその入口に置いて立ち去れ!さもなくばぼくが館の『外』に出て行っておまえを仕留める事は可能なはず」
「勝利は……ぼくらの方だ」
 形勢逆転されたアクセル。手近にある斧を掴み…
「ゴミとともに腐り果てやがれー――ッ」

ガァァー――ン

 なんと背後から銃撃を受けて倒れこむアクセル。しかし狙撃者を一瞥したアクセルがうろたえる。
「ウソ…何だと……あああ……あなたは…!あなたは…!!」
「そんな…何で…」

「よくやった…」
「アクセル、君はまだ死なない…急所を外して撃ったからな」
 そして『遺体』を回収しようと物陰から姿を現したのは……大統領ッ!
ファニー・バレンタイン大統領!!!
「わたしは斧で襲いかかるそこの『アクセル』から君を助けた」
「正当なる防衛だよ。アクセルの君への攻撃を止めたんだ……だから彼を撃ってもこの館の『シビル・ウォー』の『罪』はわたしには移らない…」
「しかもアクセルはまだもうちょっと生きてるしな…あと数分は生きている価値がある」
 ジョジョ名物「ラスボス独り旅」がついにSBRでも目撃されるに至った。
「何だと、いつから!?」
 完全に意表をつかれたジョニィ。
「全ては遺体『総取り』のためだ…最後の最後で我が国が『9部位』を手にするために…この『スティール・ボール・ラン・レース』は行われていたんだからな」
「アクセル…もう少し死なないで…まだ残っている『シビル・ウォー』でここに足どめしといてくれ」
「わたしはこの館に入って『罪を犯す』つもりはまったくない」
 と言っているそばからガクッと頭を垂れるアクセル。そして霧消する大統領!

おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおお
ドバドバドバドバドバドバ……
 ありったけのタスクを撃ち放つジョニィ。ジャイロとホット・パンツが能力から解放され復活する。
しかしジョニィの雄たけびはまだコダマしている。

「そろった……」
「残るはただひとつ…『頭部』!最後のひとつはこの9部位の遺体からその存在場所はつかめるはず!」
「『左眼球部』は…Dioの所有。しかし『右目』は『右眼球部』はホットパンツかジャイロが持っていると思っていたがここにはない!」
「やはり…我が政府内部には…」
まだいるのかッ!!『右眼球部』を持った『裏切り者』がッ!このわたしの近くにッ!!


フィラデルフィアまで約145q地点
終点 ニューヨーク・シティ レース終了まで
―― 予定日数残り5日 ――


今月のめい言

「ツェペリ一族も考えなかった
 新しい世界ッ!」

タスクが進化したッ!この佳境においての進化はタスクの最終最強形態と言ってもいいでしょう!タスクの弾痕は十数秒の間は破壊力のある『穴』として自由に動きますが、この進化型タスクは有効時間中はジョニィの身体(の一部)を巻き込み、自由に出現させることができる。文で説明するのはなかなか複雑ですが、読めば一目瞭然です。この進化型タスクの活動には特に制約もないらしいです。

○このタスクの凄いところは、タスクの弾痕から腕を出現させさらにタスクを撃つことができ、論理的にはさらにその弾痕から腕を出現させタスクを撃ち…と射程距離が飛躍的に伸びたというところです。論理的には無限射程、物理的にはジョニィの視界の限りでしょう。ここで無限射程といったのにはもう1つの意味があり、どうやら弾数が増加したかもしくは元のタスクのように無限弾数になった可能性があります。少なくても進化型タスクになってからハーブを食べなくても13発の弾爪を撃っていました。

○ただ1つ難を言うならば…『遺体』の聖霊がどんどん可愛くなくなっている(笑)。こんなことではサンリオで商品化されないぞ!

○『遺体』を奪われても使えるスタンド能力「タスク」。今までは『遺体』を奪われるとスタンド能力は失われると言われていましたが、今回のジョニィは失われませんでした。しかし、スタンド研究者である私としては、一度引き出された能力が失われる方が不自然だと感じていたのでこの件は納得なのです。だからジャイロのスタンド能力も失われたのではなく、何らかの理由で封印されたのだと私は推測しています。

○ジョニィの双眸に宿った黒い炎―漆黒の意志が発現する。ジャイロ曰く『ジョニィは全てに追いつめられた時、その暗黒面は冷徹に人を殺せる』という精神である。もちろんこれはリンゴォ・ロードアゲイン編に登場した概念であり、前にも書いたがもっと詳しく言うと『目的のためにはいかなる手段をもってしても達成する』という心です。ただ、ジャイロは勘違いしていたが、ジョニィは捨て鉢になり『遺体』を破壊することを目的としたのではなかったのです。

○ジョニィの目的はあくまでも『遺体』の奪還、及びイコールとしてのシビル・ウォーの攻略です。乾坤一擲(イチカバチカ)の賭けとしてジョニィは、『遺体』を取り戻すために『遺体』の破壊を囮としたのです。失敗したらまさしく全てが水泡に帰す行為です。我々が思っている以上にジョニィは凄まじい大物に育ったのかもしれません。

○ジョジョ名物「ラスボスぶらり独り旅」がついに第7部でも目撃されました。ラスボスが単独行動する理由としては、手下・配下・同志が少なくなり自ら出張る必要が状況になったこと。もう1つは周囲の人間を全く信用していない場合。どうやらバレンタイン大統領は後者のようである、あの3人の側近さえも大統領は信用していないらしい…。

○何故、大統領がアクセル・ROを撃っても『罪』が移らないのか?大統領自身は「正当なる防衛だよ。アクセルの君への攻撃を止めたんだ……だから彼を撃ってもこの館の『シビル・ウォー』の『罪』はわたしには移らない…」などと言っているがこんなのは詭弁である。シビル・ウォーの攻撃を受けたジョニィがアクセルに反撃したのも防衛であるからです。そしてシビル・ウォーの射程距離は館の庭にも及んでいるから大統領がいた扉の影も十分に射程距離内です。

○このことから推測するに、シビル・ウォーの弱点が浮き上がる。つまりシビル・ウォーがターゲットを能力に掛けるためには、対象を認識する必要があるのでしょう。これはスタンド能力の特徴とも一致し、特定の場所に罠を仕掛け餌(この場合は『遺体』)により対象をおびきよせる。しかし密かに侵入してきたために存在を認識できなかった対象には能力が発動しない。つまり奇襲に弱いのである

○Dioの『左眼球』、ルーシーの『右眼球』、未だ不明の『頭部』以外が全て大統領の手に落ちました。官邸へと逃げ帰ってしまった大統領から『遺体』を奪還する術はあるのか?鍵はやはり大統領夫人に変装しているルーシーでしょう。今の彼女の身分ならジャイロ達を官邸に忍び込ませることは可能です…が、裏切り者の存在を感知しておりしかもその条件までも知っている大統領の追及は必至。しかし、ルーシーとJ&Jを繋ぐホット・パンツも仲間になったことで草原に放たれた野火のように事態は進行するはずです。刮目せよッ!

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