鉄球の技術(わざ)はツェペリ家の秘伝!恐らく長男にしか継承されない一子相伝に間違いないッ!!

‘04 39号  #21 中継地点


かつて首の骨が1個たりない罪人がおり(通常は7個でつまり急所の位置が常人とは違っている)
幸運にも医学に通じるジャイロの父が見分け、一撃で苦痛なく処刑されたわけだが

しかし、今回の罪人には誰も気づかなかった
その男は手足の関節が逆方向に曲がる特殊体質で
まんまと拘束帯をぬけ出して牢の番人を人質にとった……


ザ グ ウウ ッ

 どこに隠し持っていたのか、それとも看守の物を奪ったのか、拘束帯から両手を引き抜いた罪人がナイフで看守の顔面に切りつけた。
そして別の看守の首筋にナイフを当てる。
「てめーら近づくなああ―――ッ」
「どっち道処刑されるんなら何人でも道づれにしてやるぜェ―――ッ!鍵持って来いィィィィ!!ここの牢獄の鍵だああああ」
「てめーら!その溝の線から入ってきたらブッ殺すッ!迷わずこいつをブッ殺すからなああああああギャハハハハハハハ」
 明らかに錯乱している罪人に対して、ジャイロが溝を越えて近寄る。

ド ガ アアアアア

 何故か楯にしている看守に鉄球を打ちこむジャイロ。しかし「鉄球の回転」の奥は深く、底は知れず、果ては見えない!!看守の身体を貫通して罪人に影響を及ぼす!!
 罪人の服がグルグルとねじれて罪人を締め付ける。これにて一件落着である。

ジャイロ・ツェペリがツェペリ家の長男として
すでにいっぱしの男として成長した時
ジャイロの父は息子が『少年マルコ事件』
有罪死刑判決について法廷へ異議を唱えた事に対し
本当に深い失望と怒りの態度をあらわにした
父は老齢にさしかかりこの責任ある任務から
すでに引退を決意していた…

今も昔も父親は声を荒げたり息子を罵倒するようなことは
決してした事がないが
しかしその静かな怒りの中にある断固とした口調には
ジャイロもさすがにふるえ上がった

「よけいな事をしたなジャイロ…おまえのした事はただ国を混乱させただけだ」
「我が一族の任務は裁判の有罪か無罪を決める事ではない!」
 父親の書斎において、マルコの件で話し合うツェペリ父子。
「父上、オレは納得できる『任務』を行いたいだけです」
『納得』など存在しない!ジャイロ、たとえそれがどんな凶悪犯罪人に対してだろうとだ」
「我が一族の任務は国王からの命令を正確に執行する!……ただそれだけだ」
「『法』は法!法の審議には関わるな!」
「『納得』などというものはすでに超越している。全ては神の御意志!!」

 父親の怒りに冷や汗をながしながらも自分の意見を貫くジャイロ。
「少年は処刑されます!!次の誕生日でわたしは25、あなたの跡を引き継ぐ…処刑はわたしの任務なのですか?」
「この話は終わりだジャイロ!二度と口にしてはならん!」

国家叛逆罪は全ての犯罪の中でも最大の重罪
ギリギリで阻止された国王暗殺計画…
たとえそれをクツを磨いている時
聞いていただけだとしても
知りながら黙っていれば有罪となり…
女だろうと子供だろうと……
それがこの時代……
この国家の『法』であった………

「いくつになったかな…?ジャイロ」
 ジャイロが子どものころからこの質問を聞いてくるおじさん。さすがに頭髪とヒゲに白い物が混じっている。
「ケ!いつも聞いて知ってるくせに…」「で…オレをこんな所に何の用で呼び出した?」
 とある西洋風の庭園で2人は会っている。
「『少年』のことで悩んでるのはおまえの方じゃあないのか…ジャイロ」

「『少年』…」
「オレは一族を誇りにしてるし父の『後を継ぐ!』」「この仕事はオレの『宿命』だ」
「それは何も変わらない…昔からもこれからも」
「だがオレは納得したいだけなんだッ!」
 拳を柱に叩きつけるジャイロ。
「父は口にするなと言ったが」
「オレは国王から命ぜられるこの任務を我が心の『誇り』としたい!」
「有罪か無罪か!『納得』は必要だッ!『納得』は『誇り』なんだ!

 ジャイロは型破りである。王に代々仕える家系にとって、王の命令は絶対である。王の命令に対して「おかしいな」と心の中で思っても実際に口に出し行動に出すのはかなりの覚悟……いや、そんな次元ではない。王の命令に公然と「納得できない」と言えるというのは、旧態の思考形態とは異なった斬新な発想を持っているということである。思えばジャイロは子どものころからその素養を持っていた。鉄球をとれといった父親に対して唯奪おうとするのではなく、柔軟な思考に基づいた手練手管を使った。

「…おまえ少年のためなら命を賭けれるのか?今…そう言ったのか?確認したい」
「もう一度確認したい。もし少年が無罪になるならおまえ命を賭けれるのか?」
 王の使いの質問にとまどいながら、真摯な眼差しで「彼を助けたい」と答えるジャイロ。
「ひとつだけ判決をくつ返す方法がある……」
「例えば戦争が起こりそれに国が勝利した場合、国王は国民誰もが認める祝い事として『恩赦』を出さなくてはならない!」
「『恩赦』とは罪人の刑を軽くする特例!」

「国王の『恩赦』だと!?」「戦争なんてどこで起こってるっていうんだ!?」
 そして示されるある日の新聞!その見出しッ!!

STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン・レース!

「おまえには『鉄球』の技がある!ジャイロ・ツェペリ、おまえならやれる!だから言うッ!」
「このレースでの勝利は世界中での国々が国家の威信の勝利に匹敵すると注目しているッ!」
「もしこの国から勝利者がでるなら」
「国民は我が国王のために心をひとつに集めるだろう!!」
 これがジャイロの真実、ジャイロの過去!どうも裁判のやり直しのための費用をかせぐためではなくて、真の目的は国王の『恩赦』だったようです。しかし何故ジャイロは自らの国籍を隠しているのだろう?失敗した時の保険かな。
 こうしてジャイロは海を越えてアメリカ・サンディエゴに到着し、今はジョニィとティムと肩を並べてSBRレースを疾走しているのだ!

だがこの時、SBR 2nd.STAGEに出るまでジャイロも誰も気づいていなかった
ジャイロ・ツェペリがレースで先へ進めば進むほど……
国王への『叛逆者』たちがその事をほうっておかないという事を……
レースが国家の戦争に匹敵するというのなら……


 砂漠の中のとある街に一頭の馬がつく。「OFFICE」の看板が掲げられた建物から例の小太りの実行員が出てくる……しかも2人。やはり1st.STAGEのスタートとゴールに居たのは別人だったようです。たぶん名前はハンプティーとダンプティーでしょう(笑)。
「お疲れ様です。すごくお早いお着きで……」
「ここはスティール・ボール・ラン・レース中継地点として使用する特別に作った街でございます」
「2nd.STAGE6日目、先頭集団のご到着は明日あたりかとの我々の予想でしたが……」
「別ルートで進行しているサンドマンやDIOことディエゴ・ブランドーの集団にも差をつけること約1日以上との情報です」
「あなた様のゼッケンと馬の鼻紋の確認を……」

 街に着いた選手の容貌は…黒いキャップに網目が大きいベールを顔に垂らしている。全身には時計の刺青がされている。キャップから突き出した髪がゼンマイのように渦を巻いてそれ自体が単独の生物のように蠢いている。
「1位は……オレじゃあないのか?」
 それに答える小太り兄弟。
「あなた様は現在4位でございます、オエコモバ様
「1位到着はMr.マウンテン・ティム。でもMr.ジャイロ・ツェペリが「オレの方が首1コ早かった」と主張なさりまして、Mr.ジョニィ・ジョースターも「自分が1位」だともめそうになりまして」
「しかし中継地点だしポイント数や記録には関係ないという事でおちつきまして……」
「はい」

 オエコモバが何かをみつける。どうやら蝋(ろう)で出来た封印らしい…TV版シャーロック・ホームズを見ていると度々出てくるので私の中ではおなじみです。手紙を封筒に入れた後、溶かした蝋をたらして封をします。そしてまだ柔らかい蝋に紋章の判こを押すのです。そしてオエコモバが見つけた蝋の紋章は…どこかで見たような紋章である。
「ここには電話とか来てんのか?」
「電報だけです」「それと郵便」「それに宿泊施設はテントの他にシャワー付きホテル」
「レストランにバー……それに床屋や鍛冶屋などが……」
 あれっ、という間に姿が見えなくなるオエコモバ(言いにくい名前だ)。

 そのころ、ドアのぶをギギギと開けるオエコモバ。部屋に入り、周りを見渡し、荷物をさぐる(このページの構成はなかなか深くておもしろい)。
「オレの知り合いか?おや!全然違ったあああ。だがなぜ他人の部屋に入り荷物へ手をかける?」
 カーテンの陰の出窓に座っていたマウンテン・ティムが銃をかまえている。膝には命とも言えるロープが掛けてある。
「ジャイロ・ツェペリを探している。どこにいる?」
「おっと会話が成り立たないアホがひとり登場〜〜〜」「質問文に対して質問文で答えるとテスト0点なの知ってたか?マヌケ」
「この中継地で『手紙』を受け取ったな……ジャイロだが…事務所のとこで蝋が落ちてた、封印のためのな」「む!あったぞ…この『手紙』のようだ…」

 本当に会話がなりたっていない!!!
おい、きさまフザけてんのかッ!!
 オエコモバの態度に苛立つティム!オエコモバの肩を強く掴む!!

ズ ル ウゥゥウ ウ

 ティムが掴んだ肩の皮膚がベロリと剥ける。溺死体の皮膚というのはあんな感じで剥けるらしいですけど…。
しかし当の本人は全く気にしていない。
「やはりジャイロ・ツェペリ、『国王の使い』から伝言を受け取っていたな…」

北へ50q
レッド・キャニオンにて
「ゾンビ馬」を用意している。
手に入れろ。
「ゾンビ馬」は馬の疲れと傷を
癒す力を持っている。役に立つだろう。

「なんだ……?………………ゾンビ馬って……」
 なんだゾンビ馬って??
「おっと…忠告だがあんたまだオレの皮膚を手からはなすなよ……」
「今、そこから距離をおくからよ」「指を広げると危険なんだ……」
 ズル剥けた皮膚は、何か固そうな毛が生えて時計が複数個生まれている。御丁寧にカチッカチッという音までしている。
思わず手を放すティム!
「やっちゃったな…指を広げるなって言ったろう…オレの体に触れた後はな…」

ボシュッ ボシュッ ボシュウウウウ

 オエコモバの皮膚から時計がジャンプし爆発するッ!!

 グ ォ オ  アァ ア

 バラバラに吹っ飛ぶティムッ!!!

「国王のために走る者はゆるさない」「死んでもらうぞ、ジャイロ・ツェペリ法務官」

今週のめい言

「国王の『恩赦』だと」

○ついに明確に浮き彫りになったジャイロの目的と対立する者達。

○マルコを救うために国王の恩赦を狙うジャイロ。しかし彼の思惑とは別に、国王側には「国民の心を捕える為」であり叛逆側には「それを阻止するため」という風に、その行動を利用されている節があるのは私的には釈然としないものを持っています。

○それにしても2nd.STAGE途中でまた2ヶ月中断とはなんとも殺生なッ!9つのSTAGEを完走するまで何回我々はやきもきするのでしょうか?勘弁勘弁…。

○そして叛逆側の刺客・オエコモバ。元ネタはサンタナの曲からでしょうか(邦題「ぼくのリズムを聞いとくれ」…スゴイ邦題だなぁ(笑))。

○キャップを被っていることと網の目がパープル・ヘイズを思い出させるオエコモバ…でも能力はキラークィーン。まだ詳細は不明ですが、自分の皮膚を爆弾にする能力なのでしょうか?攻撃するときは皮膚を剥いては投げつけ、皮膚を剥いては投げつけて最後は理科室の解剖人形のように筋肉丸見えの状態になったりして。

○そして今週最大の謎が「ゾンビ馬」。馬の傷と疲れを癒すとあります。そうですよね、1日1晩中走らされたり砂鉄まみれになったりとヴァルキリー(ジャイロの愛馬)もヘトヘトでしょうしね。しかし、ゾンビ馬が生物なのか物体なのか、はたまた薬や食物の類なのかはまったくもって謎。

○ゾンビ馬の予想をしてみましょうか。ハッキリ言って馬ではないでしょう。だって「安全な乗物を送る」と言って「」を送ってくるというマンガですからね(笑)。しかし冗談ではなくミスター・Pのような馬専用のリラックス空間を内包した何かかもしれません。そうなるとどんな動物がくるか……?今まで登場していないもので挙げると「魚」とか。砂漠の魚なんてシュールでいいかも(笑)。あと直感的には「カブト虫」が閃いたのです、特殊なカブト虫をすり潰して馬に与えると復活するという感じで。

○心配なのがマウンテン・ティム。しかしバラバラというのがキーワードか。バラバラというのはティムのスタンド能力そのものですからね、爆破衝撃回避のため自らバラバラになったというのが本命か(膝にロープを掛けていましたし)。

○ではまた10月に会いましょう…アリーヴェデルチッ!

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