支えあい





 窓の外は激しい雨が降り続いている。

フッチはそれを眺めながら自分の膝の上を枕にして横になっている
同盟軍のリーダー、ナオの頭をなでた。

フッチとあまり年の変わらないナオは、年が近いことと性格の相性からか、
フッチをいつも側に置くようになっていた。


 そして今、ナオの心はズタズタだった。幼なじみとの決別、それを踏まえての戦い、
義理姉ではあるがとても仲のよかったナナミの死。自分を理解してくれたもの達が皆離れていく。

 自分の心を癒してくれるものが、もう存在しない。フッチはいくら仲がよいとはいえど、
この戦いの間のみしか側にいることは出来ないだろう。フッチにも自分の道があるのだから。

 しかし、フッチにも大事なものをなくす悲しみは痛いほどわかっていた。そして彼自身、
いまだ癒されることのない傷をかかえている。ナオはそれを知っているからか、自分の気持ちを
心からわかってくれているフッチの側にいつも以上に寄り添っていたかったのだった。


「少しは寝たほうがいいですよ、ナオさん・・」

「・・・・・。」

 ナオは顔を伏せたまま何も話さない。

ナナミの死んだ日から、ナオはほとんど眠っていないようだ。人に話しかけられても、
本人は笑ったつもりでいて顔は無表情に近い。

しかし、そんな時でも他人への思いやりがあるナオに、フッチは彼を本当に
強い人だと思った。だが自分の前ではほんのちょっぴりの本音をみせるナオに、
今だけでも側にいて支えてあげたい、と思わずにはいられなかったのである。


「・・・この部屋は僕だけじゃ広すぎるよ・・。ベットなんか特に広すぎ。
・・・一緒に寝てくれる?」

 遠慮がちに、だが淋しそうにナオは本心をフッチにつげる。
確かにリーダーの部屋だけあってこの部屋は立派で、そして静かだった。
それでもナナミがいた頃は彼女特有の賑やかさでこの部屋も華やいでいたのだろう。



「・・いいですよ。でもナオさんがちゃんと寝たの確認するまで僕は
起きてますからね。」

「・・・うん」

「寝たふりはすぐバレますよ。」

「わかってるよ。」

そしてフッチはナオの頬を優しく撫でて、触れる程度のキスをした。


「おやすみなさい」

 
 ナナミにジョウイにゲンカクに、してもらっていたのかもしれないおやすみのキス。

ナオがそのぬくもりを思い出し、やっと感情のある微笑を顔にうかべることができた。
そしてナオもフッチのやわらかい頬におやすみのキスをした。

「おやすみ・・」

雨はだんだん小雨になってきた。この数日間、ナオの心を表すかのように降り続いていた雨。
明日は雨は上がり、青空をみることができるかもしれない。










 かなり不発です・・・。
でもU主人公とフッチのコンビも好きなんです・・・。