再会 1





「お久しぶりです、ヤヒロさん・・・」

 久しぶりに会った元竜騎士の少年は、3年も見ない内になんとも礼儀正しい
美少年に変身していた。一瞬目を奪われてしまったくらい。

「ヤヒロ、おまえ今までどうしてたんだよ!」
「・・・久しぶり・・・」

 他にも見慣れた人物、ビクトールやルックにも声をかけられる。
嬉しいような、なんというか・・・複雑な気分だった。

 自分の体、精神を癒すかのように目的のない旅を続け、今日もバナーの村
という小さな村の隅っこにて魚釣りを楽しんでいた自分だったが。確かに
新同盟軍の噂は耳にしていたから、彼らがここに訪れてもまあおかしくは
ないのだけれど、フッチも参加していたなんて。彼らの本拠地へ
行けば見慣れた顔がたくさんあるのだろう。




 それから僕はリーダーのナオ率いる同盟軍の本拠地とやらにしょっちゅう
顔をだすようになった。(・・・ホントに見慣れた顔がたくさんだった・・。)

「あ〜!リーダー!!久しぶり〜!どこにいってたのさ!!」
「ヤヒロさん、あまり久しぶりって気がしないなあ・・・」

「やあ、メグ、ビッキー。相変わらず元気そうだねえ・・」

「元気じゃなきゃ旅なんかしてらんないもの!でもどうよ、かなり
女らしく成長したでしょう?」

「・・・・・」
思わず無言になる。おっといけない、いけない、僕は笑ってごまかした。

「今の空白がなーんか気になるなあ・・・ま、いいけど。
そうそう、見慣れた顔がたくさんあったでしょう?フッチとか会った?」

 いきなり彼の名前がでて、一瞬ドキッとした。
「ああ、会ったよ。」

「フッチの雰囲気、3年前と大分変わってたでしょう〜。
背も伸びてかなりの美少年になったよね〜。性格も礼儀正しくなって
、ハンフリーさんがどういうふうに教育したのか皆気になってるんだよ!!」
「フッチ君ってサスケ君と仲いいんだよね〜」
「そうそう、すっごい仲いいみたい!リーダー、妬ける〜?」
メグが面白そうに話をふる。

「・・はは」
僕はまた笑ってごまかした。
しかし、一瞬むっときたのも事実。誰だサスケって?

「じゃあまたね〜ヤヒロさん」
「後でからくり丸にも会ってね〜」

「ああ、またね」
かしまし娘達に手をふってその場をはなれる。

 僕は今、無性にフッチに会いたくてたまらなかった。
・・・しかし、フッチはどうも自分を避けているような気がする・・・。
これはもう気のせいなんかじゃない。実際・・・・

「うん。確かにフッチは君を避けていると思うよ。」
「・・・そんな身もふたもない・・・」
「君はそれだけの事をしたんだよ。」
「・・・・・」

ルックは相変わらず石版の前を彼のスペースとして保持している。
おかげで見つけやすいけれど。

「フッチはかなり雰囲気変わったけど、ベースは3年前のままだよ。
喜怒哀楽は相変わらず激しいし。まあ、直接話してみれば。」
「それができないから苦労してるんじゃないか・・・」
「君なら探すのなんか簡単だろう、ほら行った行った。」

 ルックに追い出されてしまった。仕方ないから庭の方にまわって見る。
フッチはどこへいるのだろう・・・。

 フッチが僕を避ける理由、というより僕との距離に一線おいている理由。

(一緒に戦闘に参加した時なんかは普通に喋るのだ、・・・敬語を使って・・・・)

 それは・・・。僕が3年前のあの時、
彼には何もいわず姿をけしたことに違いない。
他の誰にもいわず姿をけした。グレミオだけを連れて。
フッチにこのことをどう言い訳しようとも、事実は変わらないのだ。







「・・・・・・・・・・・・はあ。」

僕は厳しい稽古の後、
サスケといつものように庭で転がりながら語らっていた。

「どうしたんだよ、オマエ最近溜息ばっかりついてるぞ。」
「え、そう?」
「そう。・・・・・・・・・あのヤヒロとかいう兄ちゃんがここに来てから。」

う、サスケするどい。僕は笑ってごまかそうとしたが。
「・・何かあったのかよ?アイツと。」
「べ・・別になんにもないよ。」
「ホントかよ?」
「うん」
サスケに問い詰められる。サスケのこの視線に僕は弱いんだ〜。
なんでも白状したくなる・・・。

 でも。確かになんにもなかったんだもの、ホントに。彼は何も言わないで、
3年前のあの日、僕の前から去っていってしまった。

 あの時、ブラックをなくした僕にとって、心の支えになるものはヤヒロさん、
ただ一人だけだった。でも彼は・・・。

 あ、段々むかついてきた。そして同時に自分が情けなくなってきた・・・。
彼にも彼なりの考えがあって、僕一人にだけかまっていられる
わけがなかったんだし。それだけ彼は重い運命を背負っていた。
もっと彼の身になって考えないと・・・。

 この3年間、僕だって色々と考えたんだから。ヤヒロさんに再会した時、
なんと話すか、どういう風に接するか、とか・・。

なのに今の僕ったら、ヤヒロさんが視界に入るだけで逃げまわっているし。
・・・まあそれだけショックだったというか。
ヤヒロさんのことで頭いっぱいだった、3年前。
そして今もこうして彼にとらわれている。

なんて、魅力的な人なんだろうって・・・。

 僕は両手で自分の頬をピシッと叩いた。しっかりしろ、自分!
私情をいれすぎだぞ!

「どうしたんだよ、フッチ!」
「あ、ごめんビックリした?」
「ビックリも何も・・・頬が赤くなってるぞ。」
サスケが僕の頬をフニッと触り、そのまま掴んできた。
「触り心地いいなあ・・・・。」
「サスケだっていいでしょ!」
僕もサスケの頬をがしっと掴む。お互い触りっこまで発展した時。
見慣れた人が目の前に立っていて・・・。

「ヤヒロさん・・・・」
驚きのあまり、心臓をわしづかみされたような。
そして時が止まったような気がした。












一度はやってみたかった坊フチ第一弾。中々難しい・・・。
これは3話で終わらす予定。2話目は健全告白編、
3話目は裏ページ行きのエロ編。(おい)

どうなることやらです・・・。
フッチが女々しくても腐女子のかくものだと
思ってあきらめて下さい・・・。
それにしても坊の性格って掴めないのう・・・。


そして相変わらずサスフチ風味は忘れられず。