朝的神事


伊知多神社
(豊川市)




 弓を始めるまでこの御神事のことを知りませんでした。
早朝行われる朝的の神事は県下でもここ伊知多だけといわれています。
多分、豊川に住む人たちも知る人は少ないと思われます。

 五穀豊穣、家内安全、無病息災を祈願することから始められたと古来から伝えられています。
神社下の矢場で魔よけの御神木を結んだ五尺二寸の大的を射込む神事です。

 発生した由来は不詳ですが、近接する国府八幡宮が立て替えられた文明9年(1477年)頃から始まったと言われています。
およそ500年の歴史です。

 種子島に伝わる「御的始由来」の内容と「朝的神事」が酷似していると言われていますが消息は不明です。
将軍家足利氏の支流である一色氏、細川氏がこの地を守護していたことと関係があるのかもしれません。

 祭礼弓の早朝、日の出前のほの明るいなかでひっそりと行われます。
日置流雪荷派を伝承する町内に住む早川嘉喜知氏(このホームページの「免許披露射会」参照)を中心にして毎年執行されています。

 今年は兄弟子の永井さんが弓役の代表をつとめるというので、朝五時に起きて行きました。


外は薄暗い中、本殿でお祓いを受けた後、 
一同、矢場元を先頭に禰宜、射士が大的に向かいます。

一同着座し禰宜が御洗米を捧げお祓いした
後、天・地・人の形に3本の矢を突き刺します。
桑の木でつくった丸木弓と矢。
御神事の内容や式の次第は全て口伝だそうです
大的に結ばれた魔除けを意味する御神木(千木)。
熱田神宮では、最後の矢が射られると同時に多数の参拝者が一斉に大的を目指して押しかけ、
御神木を得ようと奪いあうと聞きますが、
ここは静かなもんです。
参拝者がいない分、静かで厳粛です。
弓役の代表が桑の木で作った弓で三本の矢を射込んだ後
お神酒と御供えが配られます。
見過ごしてしまうところでした。
一瞬何が起きたのか分かりません。
役弓が射終わって直会が済んだ後に正式な射位に戻るとき、
三歩進んだところで禰宜さんと射手全員が大的を振り返ります。
これを、「みかえり」というそうです。
どうしてこうするかは分かりません。謎です。
6人の弓役が矢を2本づつ、計12本を奉射します。
永井さん(右下)以外の弓役さんは弓の心得がなく、
前日すこし稽古したくらいじゃまず的に中りません
矢が的山を越えていきます。
朝的の神事がとどこおりなく終わると、
その後の金的神事の金的が安土にかけられ、
大勢の弓引きの来るのを待ちます

平成16年4月4日撮影



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