20000カウント記念(おいおい)

『あらしの夜に』シリーズ

木村裕一 作
あべ弘士 絵



ウチの娘が描いた「あらしの夜に」
これはウチの娘の4年生の時の絵

あらしの夜、‘彼ら’は小屋の中で出会った。
なんだかとっても気が合うのだけれど、
真っ暗で相手の姿も見えず、雨に打たれて風邪で鼻もきかず、
相手の正体がわからないまま、また会う約束をして、彼らは別れたー。

ある晴れた日に、‘彼ら’は再会した。
お互いに相手を見てびっくり。
‘彼ら’は、オオカミとヤギだったのだ!





この作品に出会ったのは、2000年、娘の4年生の国語の教科書(光村図書)。
(国語の教科書にだって、おおっ!と思うような作品があるのだ。
1年の‘ずうっと、ずっと大すきだよ’とか、
2年の‘スイミー’とか・・・動物モノばかりだなぁ)


エサと敵という関係のふたり、出会ったら一体どうなっちゃうのか?気になる気になる。
・・てなワケで、この物語はシリーズ化しちゃったのだ。

@「あらしのよるに」
かおはみえないけど、おともだち?

A「あるはれたひに」
ごちそうなんだけど、おともだち?

B「くものきれまに」
ともだちのともだちは、おともだち?

C「きりのなかで」
なかまよりたいせつな、おともだち?

D「どしゃぶりのひに」
だまされたって、おともだち?

E「ふぶきのあした」
(この友情は、もう誰にも止められない・・・)





オオカミとヤギだけでなく、森の動物たちが仲良くするのは童話の常識。
だが、このシリーズはその点、むちゃくちゃ辛口なのだ。
オオカミのガブが、ヤギのメイのおいしそうな姿に、
何度もおなかをぐ〜っとならす様子に、読者は苦笑いをするだろう。

種を越えて、食欲を越えての友情(そのまま愛情にすり替えてもOKか?)だったが、
世間の常識が許さない。
いつしか二匹の関係(?!)は仲間達に知れ渡り、
二人(二匹だ!)は追いつめられ、どちらにも戻れなくなるのだ。
(ネタバレはやめておきます。)

二人(二匹だってば!)のトボケたやりとりに、ほのぼのさせられていた読者は、
あまりにも童話らしくない結末に、メイのように叫び出しちゃうかもしれない。
(わたしゃ、マジで泣けました。)
この平成の‘ジャングル大帝’っぽい結末、
考えようによっては、小さい読者に対して真摯な姿勢なのかも。

仲良くする事は出来ても、
ホントの友情(愛情?)をはぐくむ事は容易な事ではない。
かえってそれは不幸を招く事だってあるかもしれない。
‘いのちをかける’事にだってなるかもしれない。
でも‘彼ら’は互いに出会えてよかった、と感じている。

それを小さい読者に受け取ってもらうには、あの結末しか無かったのか、とも思える。





このシリーズは創作童話としては驚異的な50万部突破なんだそうで、
世間の大いなる話題をさらっている(読売新聞)。
大人の読者も多く、作者のHPには、
「二匹の関係は別れたカレと私みたいです」なんてカキコもあるとか。

読んだすぐ、これは演劇,ミュージカルにすると面白そうと思ったが、
既に97年には取り上げられ(演劇集団「円」)、百回以上上演しているそうだ。
ぜひ、ナマで見たい!!



作者の木村裕一氏(きむらゆういちと表記される事も多い)は、
子育て中のパパママなら、一度は、いや何度でもお世話になる絵本作家だ。
それこそ首がすわった赤ちゃんから、対象作品がある。
(‘あかちゃんのあそびえほん’シリーズetc.)
口コミで知った、‘いないいないばああそび’、
「かいじゅうさんも、かいじゅうさんも〜ぎゃおぎゃおぎゃおのぎゃお!!のばぁ〜!!」
で、何度娘に受けた事か。
ちょっと大きくなってからも、楽しいしかけ絵本で、大人ともども楽しませてくれた。

子供のための絵本を300冊以上作り続けてきた木村さんにとって、
ガブとメイは、すごい孝行息子なのだ。




「あらしのよるに」シリーズ全巻

同僚から借りた本。
「ふぶきのあした」の帯は、ナント内舘牧子氏が推薦文を書いている。



娘の赤ちゃん時代の本

ベストセラーの赤ちゃん本。
もう始末した、と思っていたのに、まだとってあった。
絵も木村氏。

さにゃお様から紹介された木村氏のHP

http://www1.odn.ne.jp/kimura-yuuichi/index.html