20歳代にかためて6回白山登山した。
今回10数年ぶりの登山。
娘が文句言わないで長くつらい道を歩ける歳に
なるまで、と待っていたのだ、実は。
私の(高山の)登山経験は学生時代。
教育学部公安委員会(?!)主催の立山
ツアーが最初。ビギナーズラック(?)で、
ブロッケン現象を見るわ、富士山を見るわ、
山って最高!と思ったのだ。
が、山はそうは甘くない。
ご来光を拝めたのは3度目の白山。
雨に遭わなかったのは6回中2回。
娘を連れて行ったはいいが、
2度と登りたくない!と思われても困る。
何かとドジなハハだけじゃ不安、
(チチは何かと忙しい)
公民館主催の白山登山ツアーがあると知り、
渡りに船、とばかりに申し込んだ。
町内会のことは年寄りにまかせきりだったが、
今年は子供会の役員を引き受けた事もあり、
これを機会に町内の人の顔を覚えねば、
という動機もあったのだ。
しか〜し、用意に費用がずいぶんかかった。
参加費二人で19000円。(後で、共済組合の
利用補助券で、3700円戻ってきた)
自分のリュックが痛んで使えない!娘の道具
は全部新調・・・。さすがに服まではオススメの
ものを用意できなかった。
これで今年限りじゃあ絶対もったいない!
(来年も登るなら、ストックが欲しい・・・)
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白山観光協会発行パンフレットの地図
今まで制覇したのは、砂防新道ー黒ボコ岩,砂防新道ー
エコーライン,室堂ー大汝峰ー観光新道,南竜が馬場ー
別山ーチブリ尾根ー市ノ瀬
7/20 5:00集合しだい出発。46名の団体。
私たちは3班12人。上は61歳、下は高校生二人に小6、
登山経験者が後ろと前に着く。
7:00別当出合 出発、砂防新道を行く。
別当出合ー中飯場ー別当覗(のぞき)
曇りであまり気温は高くないが、高湿。登山には丁度よい。
丁度いいとは言え、やっぱりキツイ。心臓パクパク。
娘は1番先に「疲れた〜、休憩しよ〜」と言うくせに、
リーダーより先に「さあ、レディゴー!」とくる。疲れのバロメーターか?
甚ノ助ヒュッテで昼食を取る。冷えてきたのでカッパを着る。
ここから先は霧の海。5m離れるとハッキリ見えない。
11:30黒ボコ岩到着。
さ、寒い!風が強い!岩かげで風をよけて休憩。
「風が見える!」と言った高校生の言葉が印象的。
弥陀ヶ原のゆるやかな天国のような道は、あっという間に
終わり、恐怖の五葉坂へ。昔初めて登った時は、まるで
永遠に続く坂のようで、ホントにつらかった。
娘は「何ともないじゃん」とぬかしおる。このやろ〜!
もうちょっとで霧が雨まじりになり、ついに降り始めた。
12:30満員の室堂ビジターセンターに駆け込む。
室堂は3年間工事のため、食事の提供が休止されていたが、
今年になって再開。混雑が予想されるため予約制になった。
昔は混雑すると寝返りもできない感じで、よく廊下に寝る方がいた。
が、町内会で五月一日〇時にFAXを入れたとかで、一部屋と
1/4完全貸し切りのため、1つのマットレスに一人、ゆっくり眠れた。
雨で散歩もできず、部屋で宴会。登山の達人のリーダーさん達が
わざわざ道具に食材を持参。熱燗、ホットコーヒー、焼き鳥まで
出てくる。
自然観察会には娘が行きたがらなくて断念したが、すれちがった
観察員を見てびっくり。高校時代の恩師だった。社会の先生で授業
がうまく、わりと好きな先生だったが、山岳部の顧問をなさっていた
ような。管理職からもう退職なさったハズだが、元気だねぇ〜。
夜の高山植物のスライド上映だけは見に行った。ハクサンイチゲ,
ハクサンチドリの2種が絶滅しかけている、という話が、娘には印象
深かったようだ。
夜半に雷雨。
7/21 3時半になっても霧が
晴れず、ご来光ツアーは中止。
9:00 霧の中を最高峰(2702m)
御前峰へ。
霧と強い風で眼鏡が曇る〜。
が、我々が山頂にいる間に天気
はどんどん移ろい、風で霧が吹
き飛ばされ、瞬間青空が顔を覗
かせ、そのたびごとに皆の歓声
が上がる。
室堂への下山途中に、みごとな
青空が広がり、御前峰、剣が峰、
そして水屋尻雪渓が見渡せた。
←今回の一番きれいな写真。
10:00 下山開始。五葉坂ではなく、水屋尻雪渓のすそを通って弥陀ヶ原
へ下る。初めて通る道だった。もやがたちこめる雪渓のすそから、手取川
の水源が流れ出る。感動・・・。
すっかり天候が回復し、弥陀ヶ原からエコーラインをたどる。
高山植物をみんなでわいわい名前をあてながら、楽しく歩く。
ルートを変更した隊長さんに感謝!
霧がどんどん晴れ、南竜が馬場をはさんで別山も姿を現す。→
そしてエコーラインはニッコウキスゲが満開。
青空、飛んでいく雲、緑の斜面にニッコウキスゲの黄色・・・。
ホントに美しかった。何度見ても、また見たくなる風景だ。
そして、今回突然変異の黄色いクロユリを一株だけ、この道沿いで
見る事ができた。(残念ながらカメラのフイルム切れ・・。)
下山途中は気温があがり、日焼けもバッチリ(涙)。
これが登山途中でなくて、ホントにラッキーだったかも。
10数年ぶりの白山は、やたら中高年登山者ばかり・・・(どこの山もそうらしいが、
若者があまりいない。学校の遠足で登山をしなくなったせいかも・・?なんて思ったり。)
特に‘おばさん登山者’は好奇心旺盛、高山植物の名を積極的に覚えようとしている。
山はいつも晴れるとは限らないが、晴雨関係無く、夏山の友は高山植物だ。
私も10数年前までは結構覚えていたのだが・・・いくつも忘れちゃった。
別当出合などの売店で売っている「白山・花ガイド(編集 栂 典雅 1000円)」は、
手頃なポケットサイズで、登山のいいお供になる事間違いなし。
私が白山にこだわるのは、どこよりも白山が美しく見える土地
(石川県小松市)で生まれ育ったためだと思う。
積雪時、青空にみごとな白が浮き上がる。夕日がピンク色に山を染める。
訪れるごとに、「今日は白山が見えるだろうか」とワクワクする。
そして、もうひとつ理由。
私が小学校時代に絵を習っていた先生、内本 浄氏は、
ひたすら白山を描き続けた方だった。
どの会派にも属さず、孤高の画家だった。
同じく画家だった父親の言葉を守り、50歳を過ぎるまで、
絵はほとんど売らなかった。
この絵は結婚祝いにいただいたもの。
絵にある湖は木場潟。そのほとりにアトリエがあった。
96年、まだ54歳で急逝なさったが、
彼の思い出と、白山の思い出は私の中で重なるのだ。
白山へろへろ登山記