童謡とミステリの関係は非常に深い。例えばアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」ではマザー・グースに見立てて殺人が行われる。しかし、僕がこの文の中で語ろうとしているのは、そのようなありふれたことではなく歌詞そのものがミステリになっている童謡の事だ。
その例として童謡「山口さんちのつとむくん」を挙げる事にしよう。歌詞は以下の通りである。
みなみらんぼう作詞・作曲
1.山口さんちの ツトム君
このごろ少し変よ どうしたのかナ
広場で遊ぼって 言っても
絵本を見せるって 言っても
いつも答えは同じ「あとで」
つまんないナァ
2.山口さんちの ツトム君
このごろ少し変よ どうしたのかナ
大事にしていた 三輪車
お庭で雨に ぬれていた
けさは元気になったかな「おはよう」
返事がない
3.山口さんちの ツトム君
田舎に行ってたママが 帰ってきたら
たちまち元気に なっちゃって
田舎のおみやげ 持ってきた
つんだばかりのイチゴ チョッピリ
すっぱいね