ゲームから見る本格派復興


 依然としてテレビ・ドラマの世界では西村京太郎氏や、内田康夫氏、そして山村美砂女史等のトラベル・ミステリーが牛耳っているようですが、ゲーム業界に目を向けてみると、「かまいたちの夜」や「逆転裁判」等の新しい推理ゲームが発売されています。しかもvectorでは「氷雨」等、「かまいたちの夜」に影響されたサウンド・ノベルというジャンルのゲームがここ数年で作られてきています。
 このサウンド・ノベルというジャンルは事件の捜査手順をきちんと踏まないと最終的に犯人が合っていても、犯人や探偵が途中で死んでしまうと言う、なかなかシビアなゲームの事です。もちろん、中には物語の進行の上で全く関係のない選択肢も含まれています。
 では個々のゲーム内容について軽く触れておこうと思います。CAPCOM社の「逆転裁判」と言うゲームはプレイヤーが弁護士となり、次々と提出されていく証拠品、証人の証言をもとに犯人を推理していくというゲーム内容です。
 「かまいたちの夜」は、吹雪の山荘で主人公は殺人事件に巻き込まれていしまうという内容です。つまり、クローズド・サークルであり、犯人あてにはもってこいのシチュエーションなのです。さらに「かまいたちの夜2」では見立て殺人も加わります。
 このクローズド・サークルと童謡の見立て殺人は、クリスティ女史の「そして誰もいなくなった」を思い起こさせます。また、童謡の見立て殺人のみという設定ならヴァン・ダインの「僧正殺人事件」やクイーンの「ギリシア棺の秘密」、そして横溝正史の「悪魔の手鞠唄」を思い起こしてくれます。「逆転裁判」に至っては法廷物ということでE・S・ガードナーのペリー・メイスンシリーズを思い起こしてくれます。
 このように「本格派復興」の動きはゲームという形で進んでいるのだと僕は思います。

参考文献

Topへ 前へ