名探偵コナン「ベイカー街の亡霊」感想


 これにはネタバレが含まれております
 ぼくはコナンの映画化「第六弾、ベイカー街の亡霊」を見てきたのだが、これはコナンたちが百年前のロンドンで実際の殺人鬼「ジャック・ザ・リッパー」と対決する物語だ。勿論、我が師、シャーロック・ホームズも登場する。ベイカー街221Bの様子も割と忠実に再現されておりV.Rの文字も触れられなかった物の描かれていて、嬉しかった。
 しかし、アイリーン・アドラーの説明には少し違和感を感じた。なぜならば「愛する」対象ではなく「尊敬する」対象であったからだ。あと、これは物語の上で仕方のない事なのかもしれないが、運動嫌いのホームズがサッカー(英国式に言うとフット・ボール)をしたとは思えない。その証拠に「スリー・クォータの失踪」では英国でもっとも有名なラグビー・チームの名前を知らなかった。
 更に言うなら灰原哀の「ホームズに解けない謎はないんでしょう?」と"死ぬ"間際の台詞。「ソア橋」に書かれている「イザベラ・ベルシアーノがマッチ箱を見つめたまま発狂した」事件、「ジェイムズ・フィルモア氏が傘を取りに行ったきり消息を立った」事件・・・。これはジューン・トムスンによると微妙な問題をはらんだ事件だそうなので公表出来ずにいるらしい。ここは彼女の説に従うとしても、「五粒のオレンジの種」はどうも解決したとは言い難い。また、「黄色い顔」は完全なるホームズの敗北だった。
 もっと欠点、というより欠陥があった。視聴者も既にお気付きの方も多いと思うが、DNAは親子全く一緒という訳ではない。二重螺旋構造の母親から一組、父親から一組、受け継がれるのである。更にこの事に関して言うなら、遺伝よりも育った状況の方が性格に影響があるので、もし仮に彼がジャック・ザ・リッパーの子孫だとしても、必ずしも殺人狂にはならなかったのではと疑問に思う。
 ぼくはジャック・ザ・リッパーvsホームズという設定を見てエラリィ・クイーンの「恐怖の研究」を思い出した。
 かなり酷評になってしまった事をお詫びしつつ、締めくくりたい。
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