男性 | 女性 | |
主格単数 | li (l')* | la |
被制格単数 | le (l')* | la |
主格複数 | li | les |
被制格複数 | les | les |
前置詞との縮約形には以下のようなものがある。
a + le = al, au
a + les = as, aus
de + le = del, deu, dou, du
de + les = des
en + le = el, eu, ou, u, on
en + les = es
男性 | 女性 | |
主格単数 | uns | une |
被制格単数 | un | une |
主格複数 | un | unes |
被制格複数 | uns | unes |
不定冠詞単数は、発話中に初出する名詞のうち、とくに話題となるべきものについて用いられる。不定冠詞複数は、とくに複数で一つの集合体をあらわす場合(uns degrez = 階段)、あるいは一対のものを指し示す場合(unes joes = 両頬)に限って用いられる。
古フランス語では、冠詞なしに名詞を用いる場合がたいへん多い。発話中でとくに具体的な話題として採り上げるわけではない場合、あるいはその具体性が他の手段によって明らかとなる場合(形容詞がその名詞に付加されているとき、さらにはその形容詞を副詞が修飾しているときなど:granz essamples de hardement ; si bele damoisele)には、冠詞は用いられない。
抽象名詞(justice, beauté, etc.)には冠詞を用いないのがふつう。
1) 数えられない名詞であらわされるものの不定量については、冠詞を用いないのがふつう。
例:mangier pain, boivre eve, avoir cuer.
さらに、数えられる名詞の複数でも、とくに集合体として機能するのでないかぎりは、不定冠詞を用いない。
例:veoir chevaliers, rompre lances.
2) 上と同じ意味で de + 無冠詞名詞を用いる用法が12,13世紀には普通にみられる。
3) 13世紀まで、de + 定冠詞 + 名詞は限定された全体の中での不定量の一部分をあらわす場合に用いられた。
例:Pur sun seignur deit hum susfrir granz mals
E endurer e forz freiz e granz chalz,
Sin deit hum perdre del sanc e de la charn. (La Chanson de Roland, ll.1117-1119.)
ここで「血 sanc」「肉 charn」は、ひとりの人間 hum がもつ血、肉の総体のうちの不定量の一部分という意味合いでde + 定冠詞が付されている。
限定された全体での不定な数をあらわすdes は、のちに不定冠詞複数として用いられるようになる。
否定文では、これらの de + 定冠詞 + 名詞はふつう de + 無冠詞名詞となるが、定冠詞を含む表現もないわけではない。
形容詞が名詞に先行する場合にも de を単独で用いる。