オーム病にかかったらと、疑問を持つ前に読んでほしい




オーム病、正しくはクラミジア感染症というのが似合っていると思います。
クラミジアという病原虫が体の中で悪さをする病気だからです。
鳥を飼っていて、クラミジア感染症(オーム病と言う名前はあえて使わないことにします)
をおそれる前に、きちんとした知識と情報を持ちましょう。
正しい知識を持っていれば怖くもなんともありません。

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                 目次


 予 オーム病のこと
 1. クラミジア感染症(オーム病)はどうして怖がられているの?
 2. クラミジア感染症は鳥だけの病気なの?
 3. クラミジアに感染した鳥がいたらどうしたらいいの?
 4. クラミジア感染症はどんな症状なの?
 5. クラミジア感染症だといわれたらどうすればいいの?
 6. 日頃気を付けることはないの?
 7. クラミジアに感染しているかどうかはどうすれば調べてもらえるの?
   7-1 鳥の場合
   7-2 人の場合
 8. 病院で鳥を飼っていると言うと、オーム病と疑われるのはなぜ?
 9. 質問コーナー

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予 オーム病のこと

鳥を飼う飼わないにかかわらず、オーム病と言う名前を聞いたことのある人は
多いと思います。残念なことに鳥は必ずオーム病にかかっているなどと、間違った知識を持っている
方も大勢いらっしゃいます。
オーム病はクラミジアシッタシという病原虫が引き起こす病気で、人畜共通感染症の一つです。
(人畜共通感染症とは、人と動物とが共通して感染を起こす病気ということです)
鳥の20%ぐらいは、この病気にかかっているとも言われますし、雛のうちに亡くなってしまうのは、
この病気が原因している場合が多いとも言われています。
クラミジアが体の中にいても、元気な鳥はいますし、発病しないまま、一生を終える鳥もいます。
オーム病は鳥に限った病気ではありません、犬や猫もかかります。
正しい知識を持ちましょう。なんだかよくわからないけれど怖い、のでは良くありません。
薬もままならなかった昔ならいざ知らず、今日のような医学の発達した世界では、治療できる病気の一つなのです。


1. クラミジア感染症はどうして怖がられているの?

今日、日本は大変病原菌が少なく、医薬品も簡単に手に入る国になりました。
ところが、今からさかのぼること数十年前までは、医療の後進国で、抗生物質さえも
手に入らない国だったのです。
そのころ、鳥から人に移る病気がすでに知られていて、おそれられていました。
日本のある地方で、クラミジアに感染して一家全員死亡という記事が新聞に載り、
その原因が鳥だと断定されてしまったのでした。
鳥から人へクラミジア感染が起こり、その結果死亡者が出るという、悲しい事故でした。
このクラミジア感染が人々の間に広まって、あっという間に「鳥=オーム病」という方程式が
できあがってしまったのです。
その上このときの新聞の記事が一人歩きして、現在に至り、鳥はなんだか恐ろしい病気を持った生き物
というレッテルをはられてしまったのです。
もちろん、軽く見てよい病気とは思いませんが、
節度ある態度で、鳥と向き合えば、それほどおそれることはありません。

おまけ) 当時の厚生省は、大変困りました。
     国内事情もあって、オーム病の対策が十分にとれません。
     そこで、一般愛鳥家に「ペットリン」なるものを販売して、
     医療の段階でなく、ペットの鳥のクラミジアを退治して、
     病気が広がらないようにしようとしたのです。
     そういうわけで、「ペットリン」にはほんの少しですが、抗生物質が含まれています。

注)ペットリンは雛を飼うための栄養食品のような文句が書かれていますが、
  あれは本当のことでは無いと考えています。
  ペットリンは病気になった鳥のためにあるもので、健康な鳥には必要ありません。

2. クラミジア感染症は鳥だけの病気なの?

はじめに書きましたように、クラミジア感染は鳥だけでなく犬や猫からも起こります。
従ってクラミジア感染は鳥以外の動物でもあるということです。
鳥に限った病気ではありません。
たまたまオームで初めて見つかった病気と言うことでオーム病と名前が付いただけなのです。
鳥にしてみれば、大変ありがたくない事でしょうね。
クラミジアに感染しているのですから、クラミジア感染症とでも言うべき所なのですが。


3. クラミジアに感染した鳥がいたらどうしたらいいの?

クラミジアの感染は、見た目とか糞の色、羽根の色艶などから判断できません。
鳥の糞で化学的に調べた結果分かることなのです。従って顕微鏡などでは分かりません。
もし、動物病院などで、クラミジア検査をしてもらった結果、感染が濃厚と判断された場合は、
以下の事を参考にしてください。

まずどうしてクラミジアがうつるのかを考え、感染経路を絶ちます。
  クラミジアは主に鳥の糞の中にいます。
  鳥の糞は時間が経つとともに乾燥して、粉々になり、空中を浮遊します。
  この空中を浮遊する糞の中にクラミジアがいるのです。
  空中の糞を吸い込むことで感染します。
  また、鳥を触った後で、手を洗わず何かをつまんで食べたりすることでも感染します。
ですから、
クラミジアに感染している鳥は隔離します。
また、鳥の糞や細かい羽根などが浮遊しないように、かごの周りをガードします。
(ガードする場合は、温度と換気に注意してください)
鳥かごや止まり木など、毎日消毒してください。
鳥に触ったりしたあとは必ず、手を洗います。

薬を与え病院での指示通りに看護すれば大丈夫です。


4. クラミジア感染症はどんな症状なの?

鳥の症状は他で調べていただくことにして、ここでは人の場合の症状について書きたいと思います。
一般的にクラミジア感染症の症状は、肺炎によく似た症状と言われます。
高熱、関節の痛み、咳、などです。風邪の症状にもよく似ています。
風邪を引いたわけでもないのに、咳がいつまでも続く時、なんとなくだるくて微熱がとれないときなどは、
一度検査をしていただかれても良いかと思います。

 
5. クラミジア感染症だといわれたらどうすればいいの?
 
病院でクラミジア感染症と言われたら、まず大事なことはパニックなどにならないことです。
そして、飼っている鳥を大空に放したりなどしないことです。
クラミジアは鳥だけからうつるものではありません。
クラミジア感染症だと言われたら、動物から離れましょう。
そして、病院でもらったお薬は、指示通りに飲みましょう。
クラミジアという病原菌を体の外に出してしまうお薬が処方されるでしょう。
この薬は大変有効ですが、反面危険もあります。
素人が、勝手に増減したりするお薬ではありません。
最短距離で病気を治したいとお思いなら、決められたお薬は必ず飲み、
気長に考えてください。
家族に移してしまう危険もあります、小さいお子さんなどがおありのご家庭などでは、
手を良く洗いましょう。病気が一段落するまでは、接触をなるべく最低限にしてください。


6. 日頃気を付けることはないの?

鳥を飼う場合には、飼い始めの段階でクラミジアの検査を受けた方がいいと思います。
なんどか検査をしないと分からない事もありますが、病気が発病している鳥は、
必ず検査で分かります。
そして、動物の飼育本に書かれているように、過度の接触をさけ、
節度ある態度で鳥に接触することが大切だと思います。
鳥を触ったら手を洗い、部屋の掃除はこまめに行って、糞などが落ちていたら、
気が付いた時にすぐ取り去ってしまう、ぐらいの気構えでいましょう。
ちょっとした心がけで、防げるものです。


7. クラミジアに感染しているかどうかはどうすれば調べてもらえるの?

   7-1 鳥の場合
普通の検査(そのうや検便)ではわかりません。鳥を専門に診てくださる病院か、
もしくは動物病院に問い合わせましょう。
検査には費用(数千円)がかかります。
      
   7-2 人の場合
病院で調べてくださいます。オーム病の検査といえばわかるでしょう。
普通は2回検査をします。感染を示す結果が出たら、治療が始まります。
検査には一部、保険が使えない物も含まれています。
病院で問い合わせてください。 

8. 病院で鳥を飼っていると言うと、オーム病と疑われるのはなぜ?
 
高温発熱、肺炎様症状の場合で、鳥を飼っているときは、オーム病を疑う、と
医学関係の本に記載されているため、
多くの医者は、鳥=オーム病と思っているからです。
人が罹る肺炎様症状を見せる病気はほかにもたくさんあるのですが、ちょっと悲しいですね。


9. 質問コーナー

以上、私の分かる範囲で書かせていただきました。
何か質問などありましたら、どうぞ送ってください。
私の分かる範囲でお答えしたいと思っています。

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