英語の聖書 ―欽定訳聖書(1611年)以降―

(1)AV 欽定訳「The Authorized Version of the Bible

      King James Bible or King James Version

1604年ハンプトン・コート会議 統一訳聖書の方針採択 オックスフォード・
            ケンブリッジ大学学識者
,

            教会聖職者で
6班の翻訳班編成

1611年完成

AV編成の背景

改訂方針

特徴

評価

先行諸訳の総合統一版

*翻訳方針15

*主な方針

*主教聖書を基にするが他訳が優れている場合そちらを採用

*固有名詞の表記は一般の慣用に従い伝統的教会用語は保存

*翻訳の検討・調整には細心の慎重を期す

*カルヴィニズム色の強い「ジュネーヴ聖書」と保守的な「カトリック訳」のバランスを計った

*AVという統一訳ができ聖書が教会や家庭で絶えず読まれるようになった

*先行諸訳の粋を集めた卓越した英語聖書

*AVは修正・訂正を加えながら統一的聖書として使用されRV,RSV後もなを評価が高い

 

 

(2)RV 改訂訳「The Revised Version

1870年イギリス議会で改訂を承認 オックスフォード,ケンブリッジ両大学中心に作業を行う
(ケンブリッジ大学のウエスコットとホート両教授の意見が重きをなした)    

   アメリカでも委員会を作り協力する
1881年(新約),1885年(旧約),1896年(外典)出版

AVの問題点

改訂方針

特徴

評価

*新約聖書ギリシャ語底本の問題

*ギリシャ語の翻訳の統一と使い分けの整理

*改訂方針8項目

*欽定訳にできるだけ忠実に

*改定個所の決定に23重のルールを設ける

*内外を問わず専門家の意見を聞く

*訳文の文体を尊重するオックスフォードの風潮より原点に忠実な’直訳主義’のケンブリッジの風潮が主流を占めた

*研究にはRV朗読にはAV

*学問的正確さの点では,AVをはるかに凌ぐものであるが、”翻訳”として見た場合、むしろAVに劣るというのが一般的評価

*旧約はヘブライ語学の進歩を反映し,改善の跡が著しい

(3)RSV 改訂標準訳「The Revised Standard Version

1930年アメリカ標準聖書委員会設置 

1937年翻訳委員会,顧問団結成 責任者 エール大学神学部長

1946年新約出版 1952年旧約出版

RVの問題点

改訂方針

改訂の重点項目

評価

*RVの英語は不自然

*RVAVの古語を多く温存

*死海文書等の新たな発見と聖書考古学の発展

*原典ギリシャ語理解の深化

*AV以来の古語的表現を現代風に改める

*聖書が伝えんとするところを、テインダル=ジェイムス訳の伝統にふさわしい素朴で不易の言葉で表現

*一般に広く親しまわれている表現は温存

*神はAVLORDLord,GODを用いる

*神に呼びかける場合のみThou,ThyThine,Theeを残す

*関係代名詞WhichWhoへ(主の祈り)

*その他時代の変遷により異なる意味をもつ単語の修正等

*全体としてRSVAV,RVよりかなり簡潔になっている

*特に福音書では数パーセント語数が少なくなっている

BMGは、BACHのプレリュード 作品999

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