11/22参議院の環境委員会の議事録より関連の箇所の質疑を一部抜粋

●日本は批准の意向を表明したか?

福山哲郎議員

 地球温暖化対策推進本部で決定の「次期通常国会に向けて、京都議定書締結の承認及び京都議定書の締結に必要な国内制度の整備・構築のための準備を本格化する。」という文章は、批准の準備を始めたという認識でよろしいんですね。

批准の表明とは申し上げませんが、批准に向けて準備を始めたという表明だという認識でいいかどうか。

川口環境大臣

 答えは、そういう御理解をいただいて結構でございます。

●批准と締結とどう違う?

福山哲郎議員

 今回、締結の承認という話があります。我が国の言っている締結という言葉は批准と同義語で同じ意味合いをなすというふうに判断をしてよろしいのでしょうか。

植竹外務副大臣

 今、福山先生お尋ねの締結、批准、受託とか承認といろいろな言葉がございますが、締結行為というものは条約の当事国となるための総称でございます。そして、批准、受託、承認というものは今申し上げました総称の中の一種でございます。そして、条約の当事国となるという意味でいずれも法的な効果は同じと。ただし、受託とか承認というものは条約国の当事者となるための簡略化されたものでございます。そして、例えば(議定書の)二十四条にも批准され、受託され、承認されと三種類のことがございます。ですから、これは議定書から出たときにその中でどれを使うか、そのときの状況によりまして出てきた文言を使用するということになっております。

福山哲郎議員

 ということは、受託の承認を国会ですれば、それが締結に結びつくということでいいんですね。

植竹外務副大臣 そうです。

●批准の最終期限はいつ?

福山哲郎議員

 この京都議定書の発効のための要件はいわゆる五十五カ国と五五%ということなんですが、ヨハネスブルク・サミットの最終日が九月十一日、この最終日に日本が発効するときに間に合わせるということになると、要は五五%と五十五カ国が批准をして九十日後に発効ということになると、実は六月十四日が我が国の今言われている締結の最終リミットになるんですが、六月十四日までに締結するつもりで準備を始めたというふうに思っていいんでしょうか。

川口環境大臣

 今まさにこの準備を始めたところでございますので、いつまでに準備が終わるかということについては今の時点では申し上げられないということです。

福山哲郎議員

 そうすると、二〇〇二年ということだと、二〇〇二年の十二月三十一日となると期限は十月三日ということになりますね、二〇〇二年発効を目指すということになりますと。

川口環境大臣

 別に年末にということでしているわけではございませんで、準備を開始をした段階にあるということでございます。

●総論:交渉の獲得内容は?

福山哲郎議員

 遵守の問題、吸収源の問題、いろんな問題で議論をしたと思うんですが、我が国が国益として、経産省も環境省も外務省もですが、どういうふうに交渉においては主張をして、何の項目についてはとりにいって何の項目についてはとれなかったのか、そこについて順番にお答えをいただきたい。

植竹外務副大臣

・吸収源

 我が国が排出削減約束を達成する上で不可欠な吸収源に関しましては、我が国がこれまで主張してまいりました吸収源の上限値が正式に確保された。

・京都メカのルール

 また、同じく約束達成の極めて重要な手段となる京都メカニズムに関しては、実際に機能し得るルールが形成された。

・遵守制度

 さらに、遵守制度については、遵守を奨励する実効性あるもので多くの国に参加の道を開く制度の構築に努め、そして各国からもその主張に一定の理解が得られた。

・途上国の将来参加

 さらには、途上国に排出削減、抑制を求める問題については論議が先送りされた。

・米国の参加

 地球規模での実効的な温暖化対策のためには、米国や途上国も含むすべての国が参加する一つの国際的な枠組みが重要であり、その実現に向け引き続き今の結果を踏まえ努力してまいるところ。

大井経産省審議官

・京都メカのルール

 京都メカニズムを十分円滑に利用できるようにするということが我が国の削減目標を達成する上で大変重要。・・・柔軟かつ幅広い利用、利用の可能性が広がるような形でルールに合意できたという点につき、十一月十二日の地球温暖化対策推進本部の決定にもございますように、経済界の創意工夫を生かして、我が国の経済活性化にもつながる環境と経済の両立にも資するものであると評価。

・遵守制度

 また、不遵守の場合に課される措置につき法的拘束力を持たせるか否かという点は、議定書発効後の締約国会合で議論するというのがボン合意でございました。そういった趣旨を持すべく交渉に臨み、この点を確保することができた。

・途上国の将来参加

 一方、地球規模での取り組みの実効性を確保するという観点から将来の途上国の参加というものも大変重要という理解、今後の具体的な議論の進め方につき合意すべく大変な努力をしたところが、交渉の最終局面におきまして途上国の強硬な反対を受け、協議未了のままCOP8、つまり来年に先送りされる。

・米国の参加

 私ども、本部決定にありますように、すべての国が一つのルールのもとで行動するということを目標に米国の建設的な対応というものを引き続き求めるとともに、途上国を含めた国際的なルールが構築されるよう最大限の努力を傾けていくということが大変重要。

川口環境大臣

・京都メカのルール

 できた段階で京都議定書の重要な要素である京都メカニズムが実際に使いやすい、使えるものであるということが今回の交渉の一つの大きな柱であったということ。

 例えば、もともとから持っている排出量とクリーン開発メカニズムで得たクレジットが、例えば国際排出量取引の市場で同価値で交換できないような状況であったら、実際にはこれはそれをやっていく企業としてなかなか難しくなるわけですね。お金に色がついているというお話になるわけですから、例えばですね、というようなことをなくすということを考えたわけでございます。

●各論:遵守制度について

福山哲郎議員

 法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守という議論が日本の政府からよく出されていまして、法的拘束力のある遵守はなかなか受け入れにくいので、COPMOP1、発効後の一回目の締約国会議に先送りをしたという話。じゃ、法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守というのは一体どこが違うのか。

植竹外務副大臣と数回のやりとり

福山哲郎議員

 ちょっと時間がないので、環境省、確認しますね。

 罰則規定は、不遵守の結果、超過排出量の一・三倍に当たる排出枠を次期排出枠から差し引くことも含めて、一・三倍にすることも含めて罰則の中身は決まりましたね、今回のCOP7で。環境省、確認してください。

炭谷環境省局長

 今度のマラケシュの合意ではそのとおり決められております。

 ただ、少し補足させていただきますと、まずこれは本当に福山先生冒頭におっしゃられましたように遵守の法的拘束力、一般の人が大変誤解しやすいわけですけれども、排出義務については、これは法的義務としてしっかりと守っていかなくちゃいけないということは決められている点でございまして、今議論になっておりますのは不履行の場合の法的拘束力をどうするかということでございますので、その点補足させていただきたいと思います。

福山哲郎議員

 いまだによくわからないんですが、経産省はどう思いますか。法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守はどう違うんでしょうか。

大井篤審議官

 遵守制度を議定書の改正により法的拘束力のあるものとする場合には、先ほども御説明ありましたように、議定書に定められた排出抑制削減約束というのは、これはもともと法的義務であるわけですが、不遵守の場合に、先ほど福山先生がおっしゃいましたように、一・三倍であるとか、あるいは遵守行動計画であるとか、いろんな措置が課されるわけですが、そのこと自身が法的義務であるかどうかという点が問題になって、我が方としてはそれは法的義務である必要はないんではないかというのが根底にあります。

 ただ、ボン合意のときには、そのことの議論は締約国会合の第一回のときに議論をしましょうということになっていて、今般、そのように合意をしてまいったということでございます。

福山哲郎議員

 もう一度確認します。

 京都議定書自身の六%の排出枠は法的義務があるんですね、法的拘束力があるんですね。それはそれで確認、よろしいですか。

炭谷環境省局長

 おっしゃるとおりでございます。

福山哲郎議員

 全体の京都議定書の枠組みは、憲法の誠実遵守の規定があって、なおかつ六%の排出義務に関しても法的拘束力があると今認められて、その議定書の中の一部だけ取り出して遵守の問題について法的拘束力がある遵守と法的拘束力がない遵守という議論をしていることは、正直言ってさっきの外務副大臣の話は僕はさっぱりわからなかったんですけれども、どういうふうな違いがあって、一体そこはどういうふうに説明できるのか、もう一度御説明をいただけますでしょうか。

高橋外務省局長

 我が国におきましては、憲法の九十八条の第二項にございますとおり、政府といたしましては我が国が締結した国際条約というものは誠実に遵守する、これはもう当然のことでございまして、枠組み条約は我が国はもう締結しておりますので、すべての条項というものを遵守。

 今度の京都議定書につきましては、今議論をしております京都議定書の本体の部分と、それから、これから京都議定書が発効してから問題になります不遵守の場合の制度にというのは、これは法律的には非常に難しいんだと思うんですが、恐らく、どういう形になるかというと、新しい議定書といいますか、そういう法律のベースとしては枠組み条約があって、それの義務を履行するための新しい国際約束として京都議定書ができたわけですけれども、結局、今までの交渉の過程で、そのうちの一部については議定書が発効した後にもう一度交渉をして新しい約束をつくると、そういう形になっているわけでございます。

 ですから、現在の時点におきましては、もちろん京都議定書を私ども批准しますが、締結いたしました京都議定書についての今わかっている限りの義務というのは全部これを誠実に批准する考えでございますけれども、そういう形で、発効してから新たに交渉をして、第一回の締約国会議で決める、そのまさに不遵守についての決まり、これに法的拘束力を持たすかどうかということについては依然として決着は見ていないわけでございます。

 ですから、これについて現時点においてお尋ねがあれば、それについては、どういうことになるかということによって決まるわけで、今後の交渉次第ということになるわけでございます。

福山哲郎議員

 ここ、法的拘束力があるかないかを切り離してコンプライアンス、不遵守については別建てでCOPMOP1で議論しようと強く主張したのは我が国の主張です。これだけは間違いないです。つまり、我が国は、この不遵守に対して法的拘束力を持たせたくないという主張の中で交渉に臨みました。

 しかし、現実問題で考えれば今お話を申し上げたとおりです。全体の京都議定書には、憲法の誠実遵守の規定があり、そして罰則規定まで合意をしている状況の中で、そこの守れなかったところに対してだけぽんと抜き出して、ここだけは別枠でやりましょう、これは法的拘束力がある遵守です、ない遵守ですと。

 先ほど副大臣言われたように、法的拘束力はないということは罰則に対して何か影響があるだとか、何か非常にあいまいな表現をしたから、もう一度聞きますが、もしCOPMOP1で法的拘束力のある遵守が各国の同意を得られて採択された場合に、そうすると、我が国はそれを京都議定書とは全く別枠に議論をするということですか、これを批准するかどうかに関して。

植竹外務副大臣

 法的拘束力がある場合には先ほど申し上げましたとおりですが、ない場合というのは、その中にまた不履行に対する措置についてあるかないかについては、今後の交渉がありますから、交渉に任されている、任されるということであります。

福山哲郎議員

 では、もう一度聞きますね。

 不履行のときには罰則をのまなくてもいいかのまなきゃいけないのかもまだ決まってないということですね。

植竹外務副大臣

 委員お尋ねのとおりでございまして、私の先ほどのないというのは、その今後の交渉の結果のことを抜かしておりまして、ないと言ったのは不適切だったと思います。

福山哲郎議員

 そうすると、日本政府の言う法的拘束力のある遵守規定ができたとしても、罰則規定は不遵守の場合には受け入れる可能性もまだあるということですね。

植竹外務副大臣

 それは、法的拘束力云々につきましては、決めるということについては第一回の締結後にまた交渉するということになっております。

福山哲郎議員

 要は、日本政府が言っている法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守というものの区別が実はまだ全然はっきりしていないんです。だって、交渉後と言っているわけでしょう。法的拘束力があってもなくても、その罰則規定どうなのかも実はまだわからないとおっしゃっているわけですよ。はっきり言ってよくわからないんです。正直言って、僕は京都議定書の全体のコンプライアンスだけ抜き出して、そこだけCOPMOP1でやると、そこは合意したからもうそれはいいです。しかし、法的拘束力のある遵守と法的拘束力のない遵守で、なおかつ京都議定書全体には法的拘束力がかかっていて、罰則規定も合意をしている状況で議論をしていることについて、僕は正直言って法的によくよくわからない。

川口環境大臣

 ・・・それで、法的拘束力の議論については、これは先ほど来専門家の方がお答えでございますので、私もほぼ同じことを考えていますということを申し上げるだけでございまして、将来、COPMOP1でこれをどうするかという議論をとりあえずきちんとするということではないかと思います。

福山哲郎議員

 最後に副大臣、もう一回だけ、法的拘束力のない遵守だと言われていることは、罰則規定を守らなくてもいいということではありませんね。

植竹外務副大臣

 罰則規定、守らなくていいというか、今後の交渉次第でいろいろな中身が出てまいりますから、それによってどういう項目があるか、どういう状況になるか、それによって状況が変わります。今の段階においてそれが守らなくていいとか守らなくてよくないとかいうのは、まだまだいろんな条件が出てまいりますから、それは現在のところは言えない状況です。

福山哲郎議員

 法的拘束力があるから守らなきゃいけない、ないから守らなくてもいいということとは限らないとおっしゃった。それじゃ、何でここまで会議のところでこだわったのかという根拠がよくわからなくなりました。

 京都議定書は、先ほど大臣も含めておっしゃられたように、京都議定書の六%義務は法的拘束力があると。そこの中の部分だけ取り出すということに対して、本当にどれぐらい法的に整合性があるのかどうか、国際法的にどうなのか。今後の締結も含めてもう少し具体的に明らかにしていただきたい、要望として。

●各論:京都メカ参加資格としての遵守の問題

福山哲郎議員

 交渉テキストの中で出てきた話。二番目ここを読んでいただくと、コンプライアンスについて京都議定書に対する手続やメカニズムについて受け入れましょうということが参加要件だと書いてあるわけですが、この文章でも嫌だと言って日本は主張したんです。最終的に前文でこの文章を入れさせたんです、これも長くなるので言いませんが。

 要は一番目、二番目が嫌だと、削除をしろと言って日本が主張して、三番目の前文に入れ込んだことによって一体何が得られて、何がどう違ったのか。

川口環境大臣

・・・基本的に考え方としては、ここで言っている京都メカニズムを使うための参加要件としての遵守というのが何を指すかということがあいまいとしていますと将来的に不確定性が生ずるという観点で、ここに出ている言葉はそれぞれみんな将来においての不確定性を排除しないという観点でこのリンクを拒否したということでございます。

福山哲郎議員 

 コンプライアンスに関してはとにかくCOPMOP1まで先送りするということは合意に達したわけですね。ここに書いてあるコンプライアンスという言葉は合意をしたと、要は先送りをしてCOPMOP1で決めると、そこの部分のコンプライアンスだという解釈だけではなくて、将来の改正されたコンプライアンスも含むかもしれない、そこがはっきりしないということでこだわられたわけですね。

川口環境大臣

 不確定性をなくすということが最大の要件であったわけですけれども、法的拘束性の話というのはその一つでございますけれども、将来的に、将来的にと言わなくてもいろいろな状況が広く起こり得るわけですね。参加要件とコンプライアンスがつながっていますと、そのコンプライアンスの条件というのも変わり得るわけですから、そういう意味での不確定性が非常に広くありますので、その不確定性全般と京都メカニズム参加の資格を切り離すということが大事であったと申し上げさせていただきます。

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