血液とリンパ球
(Blood & Lymphoma)
 
血液の知識
血液とは
赤血球
赤小板
白血球
 
リンパ球の知識
リンパ球とは
免疫細胞と白血球
免疫細胞とがん細胞
 
 
TOPページへ
 (悪性リンパ腫)
 
 
 
 
 
 
                                    
血液の知識
血液とは
 血液は、動物の体液のうちきわめて重要な液体で、全身の細胞に栄養分を運搬したりするための媒体です。

(機能から主な役割・機能)
・血液ガス、すなわち酸素および二酸化炭素の運搬
・糖、脂質、アミノ酸、タンパク質等のエネルギー基質(栄養分)の運搬
・各種ホルモンの運搬(全身の情報・指令伝達)
・免疫機能
・体温運搬
・組織で産生された代謝産物を肺、腎臓などの排泄器に運搬する
・体内に分布する化学受容器、圧受容器に適合刺激を与える
・体液の浸透圧、pHを調節する

(組成・成分)
 血液は、血球と血漿から成り立っています。その比率は 45:55 です。血漿の主成分は水分96%、血漿蛋白質4%、そのほか血液凝固因子、微量の脂肪、糖、無機塩類で構成されます。血球は、さらに造血幹細胞から骨髄系細胞とリンパ幹細胞に分けられます。

 造血幹細胞からの成分は、赤血球、血小板、白血球です。血球成分は赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成され、体重比の7~8%をしめています。

 さらに、白血球は、顆粒球、単球、リンパ球に分類することができます。それらの寿命は、赤血球は120日、血小板は7~14日、白血球の顆粒球では2週間、リンパ球は細胞ごとに日、週、月単位などさまざまです。 リンパ幹細胞は、まだ変化してない未熟な細胞で、これが成長するにつれて分化し、B細胞、T細胞などの血球になります。


赤血球

 動物の血液に含まれる細胞成分の一種。 骨髄中に存在する造血幹細胞由来の細胞です。細胞内にヘモグロビンを有することで酸素と結合し、血流に乗って酸素を体中の組織に運搬します。なお、二酸化炭素も運搬できるが、酸素と違いほとんどの二酸化炭素は血漿に溶けて運搬されます。

 赤血球の主な成分はヘモグロビンという鉄をもった物質で、これが酸素を体中に運ぶ主役です。赤血球は肺の中で酸素を受け取り、ヘモグロビンと結合させます。動脈を通って全身の毛細血管へ行き着くと、酸素はヘモグロビンから離れて、細胞の中へ入っていきます。 細胞が酸素を使ってエネルギーを得ると、二酸化炭素を生じます。この二酸化炭素は血漿中に溶け込み、肺まで運ばれます。そして、静脈を通って心臓に入り、再び肺へ戻って二酸化炭素と酸素の交換(ガス交換)をします。

 赤血球が連鎖状になると血液の流れに異変が生じます。

基準値(参考値)
・赤血球(RBC)      男性:410~530万/μL /女性:380~480万/μL
・ヘモグロビン(Hgb)  男性:14~18 g/dL /女性:12~16 g/dL

血小板
血小板は、けがをして出血をした場合に、血管の破れ目に集積して応急処置的に止血し、多量に出血するのを防いでくれます。

基準値(参考値)
・血小板(Plt) 15~40万/μL

白血球

 白血球の構成は、①細菌などを食べる顆粒球(50~70%)と②単球(5%)と③ウイルスをやっつけるリンパ球(30~50%)に分類されます。外部から体内に侵入した異物の排除を役割とする造血幹細胞由来の細胞です。 大きさは7から25µm。数は、正常血液1mm³あたり、4000から10000個(平均約7000)です。怪我などをした後に傷口から発生する膿は、この白血球の死骸を主としています。免疫細胞は、 元々大きなばい菌や細菌だけに対応していたのが、多様化するウイルスなどに対応できる様、進化してきた人間の免疫の結果、たくさんの種類ができてきたとの言われています。

 顆粒球は好中球、好酸球、好塩基球の3種類があり、通常の細菌から体を守るのは好中球で敵を飲み込み、毒性の強い活性酸素を使って敵を分解し殺します。好中球が少なくなると発熱(例えば風邪)の症状となります。

 単球は、血管から臓器にはいるとマクロファージとよばれ、体内のさまざまな組織に移動します。そして老化した赤血球や細菌、ウイルスを貧食(掃除屋)して分解します。

 リンパ球はB細胞、T細胞、NK細胞の種類があり、抗体などを使ってウイルスやがん細胞などを駆逐します。

基準値(参考値)
・白血球(WBC) 4500~9000/μL
・好中球 20~75% / 好塩基球 0~5% / 好酸球 0~15%
・単球 0~15%
・リンパ球 20~65%

リンパ球の知識
リンパ球とは
 リンパ球は、T細胞、B細胞、NK細胞に分類され、B細胞がさらに成熟すると再び骨髄に戻り、最終成熟段階である形質細胞になります。NK細胞は、「異物(非自己)」であればなんでも攻撃しますが、一方で標的を特異的に定め、攻撃していくのがB、T細胞です。

  T細胞は胸腺で人体の免疫機能(極めて優秀な細胞)を学習し司令官として指令を出すヘルパーT細胞とキラーT細胞(体の自衛隊)で防御しています。マクロファージが貧食した情報をもとにヘルパーT細胞は、キラーT細胞に異物、標的細胞に攻撃をかける。

 B細胞は、リンパ節内で成熟し、最終的には骨髄に戻り形質細胞と呼ばれる免疫グロブリン(抗体)を生産します。ヘルパーT細胞からの情報をもとに抗体(ウイルス等の突起物を鍵穴で塞ぐ)を血漿中に出して、細菌、ウイルスを無毒化してマクロファージの貧食を助ける役割です。

  T細胞とB細胞の連携をもう少し詳しく見ると、ヘルパーT細胞はTh1とTh2に別れる。Th1はインターフェロンガンマやインターロイキン2等を分泌してウイルスやがん細胞を攻撃します。一方Th2はIL-4、IL-5などを分泌してB細胞の攻撃をサポートします。ちなみに偏食やストレス、加齢などでTh1が低下し、Th2優位の状態になりやすくなるが、その状態ではがんが発生しやすくなる事がわかっている(その為免疫療法ではTh1を活性化させたりしている)。

 これらは病原体の情報を数多く保有し、一度かかった麻疹などは二度とかからぬような仕組みになっています。リンパ節は、リンパ管が首の付け根、脇の下、脾臓(横隔膜の後ろ側)、鼠頸部(太股の付け根)にあり、リンパ管を通じリンパ球にリンパ液を送っています。 血管はリンパ節で動脈から静脈に流れが代わり、血液のいろいろな情報に対応しています。


免疫細胞と白血球
 リンパ球を更に知るために、白血球と免疫細胞(顆粒球、単球、リンパ球)について下図にまとめてみた。それぞれの細胞の役割・機能については「血液の知識」を参照願います。

免疫細胞とがん細胞
 がん細胞は、正常の細胞寿命は決まっていて一定の回数(60~80回)の分裂を終えて死ぬといわれてます。

 しかし、細胞のDNAに異変が生じると細胞が死なずに限りなく増殖されます。普通の人でもガン細胞は3000から5000は出来ているといわれて、初期のがん細胞の排除において重要なのが、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)です。その名の通り、ナチュラルにキラーする能力を備えています。マクロファージ、好中球と同じように、異物を直接攻撃します。がんの初期などで重要な役割を果たすが、ストレスがかかると非常に敏感に能力が下がるとも言われてます。

 また、がん細胞は抗原ペプチドというたんぱく質を出しており、それをマクロファージや樹状細胞が捕捉し、Th0(ヘルパーT前駆細胞)に伝えられ、ヘルパーT細胞(Th1)へと変化して、特定のがんに対して攻撃します。 キラーT細胞も直接相手を攻撃します。ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞は、サイトカインというたんぱく質を放出し(マクロファージも放出する)、B細胞の働きを調整し、B細胞は、抗体という飛び道具を分泌して相手を攻撃します。


*サイトカイン

サイトカインは、インターフェロン(IFN)やインターロイキン(IL)があり、直接がん細胞を攻撃、もしくは他の免疫細胞の機能を調節してがん細胞を攻撃します。