悪性リンパ腫
(Malignant Lymphoma)
 
悪性リンパ腫とは
概要
病気の種類
血液とリンパ球
 
病気の診断と判定
診断方法
検査種類
病期分類
予後指数
検査に関わる用語
 
もしもの場合
病気の徴候
病名が確定されたら
 
治療方法とその対応
化学治療
放射線治療
・副作用の対応
 
具体的な事例
 
情報の活用方法について
情報収集とその活用例
役に立つLINK
参考文献
 
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悪性リンパ腫とは
概要

 悪性リンパ腫とは、白血病や骨髄腫と同じ血液のがんです。その血液の白血球の1種であるリンパ球ががん化する病気です。リンパ球は、病原菌や異物の侵入から体を守る免疫で働く大切な細胞で、全身に分布しています。体内にはリンパ球の通り道であるリンパ管が張りめぐらされ、そのところどころにあって、異物を攻撃する抗体を作るのがリンパ節です。脇の下や首のつけ根、足のつけ根、腹部動脈の周囲など、人間の体には500個以上のリンパ節があります。したがって、固形がんとは違って、全身のいたるところから生まれ、症状も多様です。

 そのため、悪性リンパ腫の病気のタイプが多く、それによって治療法も異なっています。適切な治療を受けるためには、自分の悪性リンパ腫のタイプ、性格等について正しく理解していくことから始まります。


また、血液や免疫細胞の知識は、この病気を理解するためで基礎となる知識です。おそらく抗ガン剤の副作用の骨髄抑制で役に立つ知識です。

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病気の種類

 悪性リンパ腫は、腫瘍の組織的な違いから、大きく分けて「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に分けられます。

 ホジキンリンパ腫の場合は首のリンパ節から脇の下のリンパ節、脾臓というように連続して順番に病巣が広がっていくのが特徴です。これを「接続性の進展」といいます。8割方はリンパ節を中心に腫れていくそうです。

 一方、非ホジキンリンパ腫の場合は、病巣の進展は接続性とは限らず、飛び離れたところにポンと出たり、また約半分がリンパ節以外から出てくるのが特徴です。その中でも細胞の種類(B、T、NKなど)があり、腫瘍細胞の増殖の仕方や、がん細胞の形などから、30種類以上のタイプ(濾胞性、びまん性、マントルセル、等)に分類されています。

 なお、欧米では悪性リンパ腫の3分の1がホジキンリンパ腫ですが、日本人の場合、圧倒的に非ホジキンリンパ腫が多く、ホジキンリンパ腫は10パーセント足らずだそうです


(参考)非ホジキンリンパ腫の分類

1)低悪性度:年単位でゆっくり進行
 ・濾胞性リンパ腫(B細胞性)
 ・MALTリンパ腫(B細胞性)
 ・小細胞性リンパ腫(B細胞性)
 ・形質細胞性リンパ腫(B細胞性)
 ・菌状息肉腫(T細胞性・NK細胞性)

2)中悪性度:月単位で進行
 ・マントル細胞リンパ腫(B細胞性)
 ・濾胞性リンパ腫(B細胞性)
 ・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(B細胞性)
 ・末梢T細胞リンパ腫(T細胞性・NK細胞性)
 ・血管免疫芽球型(T細胞性・NK細胞性)
 ・鼻型NK/T細胞リンパ腫(T細胞性・NK細胞性)
 ・未分化大細胞リンパ腫 (T細胞性・NK細胞性)

3)高悪性度:週単位で進行
 ・バーキットリンパ腫(B細胞性)
 ・リンパ芽球性リンパ腫(B細胞性)
 ・リンパ芽球性リンパ腫(T細胞性・NK細胞性)
 ・成人T細胞白血病リンパ腫(T細胞性・NK細胞性)

 上記のように悪性リンパ腫の病名は沢山あり、治療の組み立て方がタイプによって異なります。そのため病名を確定するためには色々な検査を行います。当然、病名確定までには時間を費やすことになります。


病気の診断と判定
診断方法

 悪性リンパ腫も他のがんの治療方針決定プロセスは同じで、「疑い診断」「確定診断」「性格診断」「拡がり診断」を行います。そして、がんの性格や病気の進行度合から治療方針が決められます。

(例)
 疑い診断・・・リンパ節生検(針検査)、超音波検査、血液検査
 確定診断・・・リンパ節生検(膨張リンパ節摘出)
 性格診断・・・リンパ節生検(膨張リンパ節摘出)
 拡がり診断・・造影CT(コンピューター断層診断)、
          PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー
          骨髄検査、血液検査 
*「疑い診断」から「拡がり診断」が終了するまで約2か月かかてます。


検査種類

 悪性リンパ腫の病名・病期確定、そして治療方針が決まるまでの検査の種類について紹介します。すべての検査をするのではなく、病状やによって検査内容が決定されます。

(1)リンパ節生検
(2)病気の広がりをみる検査
  1) 胸部X線検査
  2) コンピューター断層診断(CT)
  3) 核磁気共鳴検査(MRI)
  4) ガリウム(GA)シンチグラフィー
  5) ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(PET)
  6) 骨髄検査:穿刺吸引検査、生検
  7) 腰椎穿刺
  8) 消化管検査:胃内視鏡、大腸内視鏡等
(3)全身状態と、原因となるウィルスをみる検査
  1) 末梢血、肝機能、腎機能、血糖
  2) ウィルス抗体価:B型肝炎、C型肝炎、HTLV-T、HIV、EBV
(4)病気の広がりや勢い、治療効果を反映する検査
  1) 乳酸脱水素酵素(LDH)
  2) C反応性蛋白(CRP)
  3) 可溶性インターロイキン(IL-2)受容体


病期分類

 悪性リンパ腫の病期分類にはAnn Arbor分類がよく用いられてきた。Ann Arbor分類はもともとホジキンリンパ腫の病期分類として提唱されました。非ホジキンリンパ腫の病期分類にも用いられます。最近の画像診断法の進歩などにより、Ann Arbor分類が修正され、Cotswold分類が提唱されました。

(Cotswold分類)
病期 病変部位
T期 ・1ヶ所のリンパ節領域又は節外性部位に腫れがある(Ann Arbor分類に同じ)
U期 ・2ヶ所以上の腫れがあるが、その範囲が横隔膜より上、又は下だけ
(Ann Arbor分類に同じ)
Va期 ・横隔膜の上下の両方に腫れがある
・脾門部、腹腔、門脈リンパ節又は脾臓への浸潤がある
Vb期 ・横隔膜の上下の両方に腫れがある
・傍大動脈、腸骨、鼠頸部、腸間膜リンパ節への浸潤がある
W期 ・1つ以上のリンパ節外臓器(肝臓や骨髄など)に悪性リンパ腫の細胞が浸潤している(Ann Arbor分類に同じ)
X Bulky病変(縦隔の1/3以上の病変の拡がり、又は最大径10cm以上の腫瘤(かたまり))がある


予後指数

 1993年、米国・カナダ・ヨーロッパのグループは、共同研究で2,031例の中高悪性群非ホジキンリンパ腫に対してドキソルビシンを含む多剤併用療法を行った結果を解析し、予後に影響する因子を抽出し報告しました。
これは現在IPI(International Prognostic Index)として中高悪性群非ホジキンリンパ腫の予後因子として用いられています。

 下記の質問に対し合計によって存率や再発の可能性がこれらからある程度予測できます。実際、中高悪性群非ホジキンリンパ腫に対し、幹細胞移植を行うかどうかをIPIで判断するようです。つまり、high-intermediate群やhigh risk群では、最初の治療後、寛解状態にあるときに自家末梢血幹細胞移植を行い、再発予防をはかることがあります。

 0-1点   :Low Risk、
 2点    :Low Intermediate、
 3点    :High Intermediate、
 4点以上 :High RInsk

(全年齢の患者に対するIPI)
1) 年齢  60歳以下かどうか。(60以下:0点、61以上:1点)
2) 病期  T、U期:0点、V、W期:1点
3) PS(Perfomance Status)はどうか
  @発病前と同じ or 肉体労働に制限あり=0点
  A日中の50%以上起きているが、軽労働に制限あり。
    または、50%以上就寝、身の回りの事ができない。=1点
4) リンパ以外の病変数     2箇所以上は1点。脾臓は除く。
5) LDHは正常かどうか。    正常値から外れていれば1点。


検査に関わる用語
(1) リンパ節生検
リンパ節をひとつ切り取り、その組織を顕微鏡などで調べる検査です。頚部(首)あたりから取る事が多い様だが、病気の状況などによる模様。通常局部麻酔で行われる。一般に行われる針生検では、悪性リンパ腫の病名判定はしない。

(2)骨髄穿刺(マルク)
骨の中に骨髄というスポンジ状の物質があり、ここで血液が造られます。骨髄に病気が浸潤していないか確認する為、骨に針を刺し、生体を抜き取り、検査を行います。

(3)脊髄検査(腰椎穿刺:ルンバール)
中枢系に浸潤(脳への転移など)がないか確認する為、脊髄検査を行います。背骨から針を刺し、髄液を抜き取る。局部麻酔で行われ、施術の痛みはさほどないが、後に頭痛などが出る。
脳は髄液の中に浮いているが、髄液は通常動きがない。それを人為的に抜いてしまう為、2時間は仰向けのまま安静にしなければならない。



(4)ガリウムシンチ検査
腫瘍や炎症に集まるガリウムという放射性物質を利用し、箇所や進行具合を見る核医学検査。CTなど画像で現れない体の異変を調べる事ができます。検査の2日程前にガリウムを注射し、前日からほぼ絶食+下剤。当日はガンマカメラで20〜30分程の撮影。放射能の影響は少ない。


(5)CT
X線で、人体を輪切りにした状態で何枚も撮影。リンパ節や脾臓の腫れなどを確認する。より有効に撮影する為、造影剤という薬を注射する場合もあります。被爆量が多い。


(6)MRI
強い磁石と電波を使って、人体を任意の方向から検査するもので、これで得たデータをコンピューターで解析し画像化する。放射線ではないので、被爆しない。ちなみに機械の音がすごい大きい。


(7)超音波(エコー)検査
発振器によって発生させた超音波を体内に発射し、その反射をコンピュータで処理して、内臓の状態を画像に描き出す検査方法。クリームを塗り、発信器をあてがい、内部の画像を見る


(8)レントゲン
いわゆるレントゲン。病気、炎症がある部分が白く写る。

(9)PET (陽電子放射断層撮影)
ガン細胞は普通の細胞に比べて、3〜8倍のブドウ糖を摂取する特徴がある為、ブドウ糖に放射性同位元素を合成したFDGという薬剤を注入し撮影、その集積度からガンを発見する。一度に全身を調べる事ができ、ミリ単位のガンでも発見できます。集積度によって悪性度も判断できます。

但し、ブドウ糖が集まりやすい脳や膀胱は診断が難しく、CT, MRI, 超音波を組み合わせた方がより良い。


(10)血液検査
悪性リンパ腫の診断としては、腫瘍マーカ値(IL-2R、フィブリノゲン、等)、炎症反応(CRP)、LDHの確認などがあります。腫瘍や炎症がある場合にこれらの値が上昇する。


(11)腫瘍マーカ
ガンの目印となる物質の総称。血液、尿、便などでわかる。但し、がんに関係なく増加する場合もあり、確実ではない。参考にします。


(12)可溶性インターロイキン-2レセプタ
       (soluble interleukin-2 receptor:sIL-2R)
 基準値:220〜530U/mL
インターロイキン-2レセプター(IL-2R)のサブユニットとしてはα鎖(CD25;分子量55kd)、β鎖(分子量70kd)、γ鎖(分子量64kd)の3種類が知られています。すべて膜貫通型。IL-2RはIL-2結合性サブユニットの組み合わせにより、IL-2の結合親和性が異なる3種類のレセプターとして存在する。
 @α鎖のみ:低親和性
 Aβ鎖+γ鎖:中親和性
 Bα鎖+β鎖+γ鎖:高親和性
IL-2のシグナル伝達に関与するのはβ鎖とγ鎖。α鎖はシグナル伝達に関与しないと考えられています。よってシグナル伝達できるレセプターは中親和性レセプターと高親和性レセプターの2つ。

α鎖(CD25)は膜貫通型糖タンパク質。活性化T細胞、活性化B細胞に発現する。限定分解により産生される可溶型α鎖は、T細胞系の活性化に伴って増加するため、T細胞の活性化の消長を示す指標となる。白血病、悪性リンパ腫、関節リウマチ、膠原病など、免疫系のさまざまな病的状態で上昇しており、病勢を反映する指標として有用と考えられています。

HTLV-1由来の転写因子p40Taxはα鎖プロモーターに結合して転写活性化を誘導するため、HTLV-1感染により引き起こされるヒト成人T細胞白血病(ATL)においてはα鎖の発現が著しく亢進しています。


(13)乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase:LDH
 基準値:200〜400 IU/L

 乳酸の脱水素反応によりピルビン酸を生じる酵素。
 平衡は逆に傾いており、解糖系ではピルビン酸から乳酸を生成する方向に働いています。骨格筋で作られるM型と、心筋で作られるH型の2種類があります。全身のほとんどの組織細胞に存在するが、特に、肝臓、腎臓、肺、血液、筋肉、がん細胞に多い。LDH活性は心・腎・骨格筋・膵・脾・肝・赤血球などの悪性腫瘍組織に高く、組織の細胞が多く壊れると、血液中に流れ出て値が上昇します。
これらの臓器に病変が起こった時に血中に遊離するので、診断に有用。
運動の影響を受けて上昇するため、採血前には激しい運動は避けます。


(14)チミジンキナーゼ活性(thymidine kinase:TK)
 基準値:5 U/L以下

チミジンキナーゼはDNA合成のサルベージ経路で働く酵素。 がん細胞は活発に細胞分裂を繰り返しているため、悪性リンパ腫ではチミジンキナーゼ活性が高値となる。 悪性リンパ腫のほか、白血病、多発性骨髄腫、ウイルス感染症(EBウイルス、サイトメガロウイルス、風疹)などでも高い値を示す。チミジンキナーゼはThymidineがDNA代謝に組み入れられる時点でthymidine monophosphateに変換させる働きを担当している酵素。最適pHは7.5〜8.5、Mg2+要求性。dt + ATP → dTMP + ADP


(15)遺伝子検査
染色体検査による診断。

もしもの場合
病気の徴候・・・「もしリンパ節が腫れていたら」

 リンパ節の腫れる原因は、風邪、腫れ易い人、局所の炎症、風疹、伝染性単核症(若い人で、圧通がある場合に多い)、結核、梅毒、野兎病(圧通有り)、サルコイドーシス、悪性リンパ腫、白血病、癌転移、などあげられます。虫歯やカゼをひいてリンパ節が腫れ、痛みがあるという場合は、ほとんどが反応性の腫れなので抗菌剤等を服用して様子を見た方が良いと言われてます。それでも1カ月以上腫れがおさまらなければ、思い切って(恐れずに)病院へ行き検査(生検)を受けた方がいいでしょう。

 悪性リンパ腫の特徴としては、首やその周囲、脇の下、足の付け根などのリンパ節が、痛みもないのに1センチ以上腫れる。その場合は、要注意です。また、全身的な症状として、発熱、体重減少、盗汗(顕著な寝汗)を伴うことがあり、これらの3つの症状を「B症状」といい、特に重要視されています。体のかゆみ、皮膚の発疹、しこり、いろいろな場所での痛みで気づくこともあります。


病名が確定されたら

 これまで述べてきた通り、一口に悪性リンパ腫といっても種類は様々であり、治療法も違います。そのため、悪政リンパ腫の告知を受けたなら、きちんと主治医より下記の内容について説明を受ける事が大切です。

(1) 病名は何か?
 ・「ホジキン病」か「非ホジキンリンパ腫」か?・B細胞型かT細胞型か?
 ・その中でタイプは?
(2) 進行度は?
 ・病期(T〜W)、及び症状を確認(腫れているリンパの箇所、その他の臓器の状態など)
  ⇒病名、進行度が明確でない場合は、特定の為に必要な検査内容を確認しよう。
(3) 治療法は?
 ・化学療法、放射線療法、手術療法、自家移植、同種移植、リツキサンなど
 ・化学療法であれば、どの療法か(CHOP, ESHAP, By-Weekly CHOP など)。
(4) その治療法の選択理由は?
(5) 治療期間は?
 ・入院か、或いは通院で可能な治療か。
(6) 副作用、後遺症は?
 ・特に生殖関係は確認しておいた方が良い。
(7) 更なる確認(確認したい方のみ)
 ・その治療で治る可能性はどの位あるか(5年生存率など)。

※生存率は初発、再発や化学療法のみなのか、そうでないのか、など前提条件をきちんと確認しておく必要があります。また移植関連では生存率に出てこない情報(拒絶やGVHDなどのQOL関係)も重要と思われる。(万一の場合の代替療法も聞いておくとと安心できますが、代替療法がないと困りますね。)


治療方法とその対応
治療方法

 悪性リンパ腫はどこにできるか限定できないため、化学療法による全身治療が不可欠です。抗がん剤による治療とそれに伴う副作用は避けることはできません。

(1) 化学療法
(2) 放射線治療
(3) 造血幹細胞移植
  @自家造血幹細胞移植、自家抹消血幹細胞移植
  A同種骨髄(造血幹細胞)移植
(4) 経過観察

(1) 化学療法
 悪性リンパ腫の代表的な治療方法「CHOP療法」について

 20年ほど前に確立された悪性リンパ腫の標準療法で4種類の薬の頭文字から来ている(シクロホスアミド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ビンクリスチン及び副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロン)。通常1クール3週間で6〜8クール実施する。リツキサンと併用する事でより高い効果が出る事が確認されています。
その他、MACOP-B療法やCOP療法、2週間毎に実施するBy-Weekly CHOPや、Double CHOP。DHAP, ESHAP, EPOCHなどのサルベージ療法、CVAD療法、ホジキン病にはMOPPやABVD療法などタイプに合せた多数の療法があります。


(抗がん剤の種類)
 1) 代謝拮抗剤
   がん細胞の中にある酵素を利用して分裂を押さえ込む。
   但し、正常細胞にもある為有害事象が出る。
 2) アルキル化剤
   DNAはらせん状に構造になっているが、そのDNAの結合を
   異常なものにして死滅させる。毒ガスの研究から開発された薬。
 3) 抗がん性抗生物質
   他の抗生物質などと同様に、土壌に含まれる微生物からつくられたもの。
   化学構造を変化させてがん細胞に効くようにした。
 4) 植物アルカロイド
  細胞の分裂に重要な微小管の働きを止める。



(2) 放射線治療

 患部に放射線を当てると、細胞のDNAに直接作用し、細胞が分裂して数を増加させる能力をなくします。リンパ節の腫れが一箇所の場合など初期、或いは化学療法後最後に残った場合などに放射線治療が行われます。放射線があてられる容量は場所によって決まっており、それを超える事はできません。
 また、正確に患部に照射できますが、化学反応を起こすという事は炎症が起こるという事であり、通常治療部位、あるいは全身にも副作用が発生する可能性はあります。
 しかし、悪性リンパ腫は放射線への反応性が高く、有効な治療と言われています。週5回、一ヶ月程度行ったりするが、治療時間が短いことから大半の人が働きながら本治療を受けているとのことです。


(3)副作用の対応について
準備中

具体的な事例
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)の例
(1)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)とは

 日本人の悪性リンパ腫の大多数を占めるのが、非ホジキンリンパ腫です。これには30種類以上ものタイプがあります。まず非常に未熟な細胞ががん化したものか、すでに成熟した細胞ががん化したものかで分類します。リンパ球は骨髄にある未熟な細胞が成長(分化)して、成熟した1人前のリンパ球になります。そのどの段階でがん化しているかをみるわけです。未熟なものは、芽球性といって急性白血病とほぼ同じだそうです。

 さらに、成熟したリンパ球ががん化したものは、B細胞なのか、T細胞なのかで分けて考えるのが一般的とのことです。B細胞かT細胞かが重視されるようになったのは、リツキサン(一般名リツキシマブ)という分子標的治療薬が登場したため。

 B細胞は抗体を作るリンパ球で、病原菌を駆逐したり、アレルギーにも関与しています。T細胞は、細胞性免疫を担当し、キラーT細胞などのリンパ球が直接異物の排除に働いています。移植による拒絶反応もT細胞によるものです。これとよく似たリンパ球にナチュラルキラー細胞(NK細胞)があります。

 B細胞ががん化したのが、びまん性大細胞型リンパ腫やバーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫などです。一方、T細胞ががん化したリンパ腫には、成人T細胞リンパ腫やリンパ芽球性リンパ腫などがあります。

 MALTリンパ腫や濾胞性リンパ腫は進行が遅くて何年もの間あまり進行しない悪性度の低いがんです。これに対して、バーキットリンパ腫や成人T細胞型リンパ腫は週単位で悪化していく極めて悪性度の高いがんです。その中間にあたるのが、びまん性大細胞型リンパ腫やマントル細胞リンパ腫です。これは、月単位で進行していきます。

 この中で、日本人に一番多いのはびまん性大細胞型リンパ腫で、悪性リンパ腫の35パーセントを占めます。

(2)治療法

びまん性大細胞型リンパ腫をはじめ、B細胞ががん化したものには、リツキサンという薬を併用した治療(R-CHOP)を行うのが現在の標準治療です。リツキサンは、従来の抗がん剤とは異なり、吐き気や脱毛、白血球減少といった副作用はほとんどないので、CHOP療法に加えても副作用が助長されることはなく、効果だけを上乗せするそうです。この種の薬は非常に高価です。治療を受けるときには、病院で領収書や証明書をもらえば、医療費控除の手続きをとることができます。

限局型の場合 R−CHOP療法を3コース+放射線治療
進行期の場合 R−CHOP療法を8コース

*R−CHOP療法の1クルーは3週間

(3)薬の説明

CHOPとは薬の頭文字をとったもの。3種類の抗がん剤とホルモン剤を1つ〔エンドキサン(一般名シクロホスファミド)、アドリアシン、オンコビン(一般名ビンクリスチン)、プレドニン(一般名プレドニゾロン)〕組み合わせた1コースを3週間で行われます。

1) シクロフォスアミド(Cyclophosphamide、エンドキサン)

A) 分類:アルキル化剤
B) 作用:がん細胞の成長を阻害、死滅させる。
C) 副作用:膀胱の出血、感染するリスクの増加を伴う白血球の減少 、脱毛、悪心、嘔吐、食欲不振、口や唇のただれ、下痢、生理の停止(女性)、精子の減少(男性)、出血するリスクの増加を伴う血小板の減少、血尿、爪床の黒ずみ 、にきび、疲労、シクロフォスファミド服用時に妊娠したことによる胎児の変化 、咳と息切れを伴う肺線維症、大量投与による心臓の変化


2) アドリアシン(Hydroxydaunomycine(adriacin))

A) 分類:抗がん性抗生物質
B) 作用:がん細胞、正常細胞を死滅させる。
C) 副作用:心筋障害、脱毛、白血球減少、悪心・嘔吐、食欲不振、口内炎、血小板減少、貧血、赤血球減少、心電図異常

※アドリアシンは心不全の可能性が高まる為、8回までしか投与できない(厳密には11回までだが、安全を見て8回という事らしい。つまりCHOP両方は8回を超えて実施される事はほぼない。)


3) オンコビン(Oncovin(Vincristine))

A) 分類:植物アルカロイド。
B) 作用:細胞分裂を妨げ、がん細胞を死滅させる。
C) 副作用:便秘、麻痺製イレウス、腸閉塞、脱毛、末梢神経の炎症またはダメージによる手足のしびれ及びうずき、虚弱、筋肉痛、痙攣、胃痛、複視、うつ状態、味覚の変化、感染リスクの増加を伴う白血球の減少、出血リスクの増加を伴う血小板の現象、あごの痛み、頭痛、インポテンツ

4) プレドニゾロン(Prednisolone)

A) 分類:ホルモン拮抗薬
B) 作用:炎症を抑える、リンパ球をバラバラにして死滅させる、免疫抑制。
C) 副作用:胃炎、発汗、赤面、よくしゃべるようになる、異常な食欲(が、気持ち悪くもあり、お腹はすくが食べれないという拷問状態になる)、眠気 、めまい、不眠、震え、神経過敏、不快感、悪心、食欲不振、性的能力の減少、頭痛、錯乱、不安感、手足の指のしびれ及びうずき、等(眠気と不眠、食欲増進と食欲不振など矛盾した副作用が存在する)
※副作用については、長期間とれない場合があるが、二次発ガンなど、数ヶ月、数年してから副作用が発生するケースもあるという。


5)リツキサン

 リツキサンは、分子標的治療薬と呼ばれるタイプの抗がん剤です。従来の抗がん剤が、細胞に対する毒性でがん細胞を攻撃したのに対し、分子標的治療薬は特定の目標にターゲットをしぼって攻撃します。リツキサンの場合は、B細胞の表面にあるCD20という細胞の目印(抗原)を標的に、攻撃する抗体です。CD20が陽性のB細胞のみを攻撃する新薬(モノクローナル抗体療法)で2001年に日本で認可された副作用の少ない薬です。

 従来の抗がん剤とは異なり副作用が少ないが、まれに高熱や間質性肺炎を起こす。あまりにがん細胞が多い状態で使用すると、一気にがん細胞がやられる為、腎臓で処理できず腎臓に障害が起きる。リツキサンは短期間に効果が出て、かつ体に数ヶ月残る。腫瘍のかなりの部分が壊れる為、血液にそれが出て、排泄するのに腎臓の負担が出る。
尚、正常B細胞にもCD20が発現しているので、抹消血中のB細胞が3ヶ月〜半年程度消失する事も知られています。

 B細胞にCD20という抗原があることは、1980年代の初めにはわかっていました。そこで、すぐにCD20に対する抗体が作られたのですが、当初はなかなかうまくいきませんでした。ネズミで作った抗体なので、人間の体内に入ると異物として破壊されてしまい、効果がなかったのです。そこで、遺伝子操作によってネズミの抗体の95パーセント以上をヒト型に変えたのが、リツキサンです。

情報の活用方法について
情報収集とその活用例

 自分が「悪性リンパ腫の疑いがある」と言われた時、リンパ腫そのものとその病気について全然知識がなかった。まずは、インターネットで国立がんセンターが提供している「がん情報サービス」を利用して、この病気についての概要を勉強しました。これで患者としての知識は身に付いたと思っています。

 次に、インターネット掲載されている体験談を読み、今後どのような治療や検査があるのかを、よく読んだ。ただ、体験談は私のような素人が書いているため、思いこみによる間違いや、不安からくるネガテブな表現もあり要注意です。私の友人は体験談は不安を増すことになるから読まなかったとのことです。いくつもの体験談を読んでいくと共通していること、同じことが書かれていることが見えてきます。それは間違ってないことになり、医師がそれと違ってことを説明した場合、それはなぜそうなのか疑問を持つことができます。知らないことより知っていた方が自分にとってメリットが多いと思って、入院前は体験談についてはなるべく多く読みました。

 本に関しては、直近に役立つケアガイドや治療に向けての心構えが書かれているものを、近くの図書館から借りて読みました。

 人は忘れる動物です。とにかく入院前には何かバイブルになるものを作ろうと、必要な情報をHPから印刷して1冊の本にして見ました。今後のことも考え、自分でHPを作ることによって自分の知識をまとめて、HPつくりをスタートさせ現在に至ってます。(2009/1/2)

役に立つLINK
 リンク集については、役に立ったHPと今後、役に立ちそうで興味があるHPを載せてます。悪性リンパ腫に関しては欧米が進んでいると言われてますので、英語の勉強も兼ねて読んでみようかと思ってますのであえて掲載してみました。(2009/1/2)
[ がん全般 / 悪性リンパ腫関連 / 専門HP(学会や協会等) ]

[がん全般]
・国立がんセンター( がん情報サービス / 病院のHP )
がんサポート情報センター
Cancer Net Japan
がん・ガン・癌スーパーリンク  
癌研究会
ガンを考える
大阪がん予防センター

[がん情報に関するリンク集があるHP]
青森県薬剤師会(関連先リンク集)
『がん克服』総合リンク集
悪性リンパ腫関連のホームページリンク集
はりゅうパパの悪性リンパ腫体験談(リンク編)

[悪性リンパ腫関連]
NEXUS
悪性リンパ腫と闘う会(関連情報や闘病記のリンクあり)
化学療法を理解しよう  MEDOC PROJECTより
免疫細胞療法(MEDI+NET)

[闘病記(体験談)]
悪性リンパ腫体験記
はりゅうパパの悪性リンパ腫体験談
極楽とんぼさん
・なくるないさ( HP / BLOG )
Days
健康になる p(^∀^)q

[学会・研究機関等]
日本癌学会
日本癌治療学会
日本血液学会
日本造血細胞移植学会
日本骨髄バンク
日本放射線腫瘍学会
国立医薬品食品衛生研究所
 ・JCOG (日本臨床腫瘍研究グループ)
IASCT(国際癌治療増感研究協会)

[患者会]
癌と共に生きる会

[公共機関](治療費の援助等)
厚生労働省
障害年金サポートセンタ (血液疾患患者のためページ
WAM(福祉医療機構)

[海外サイト(US)]
National Cancer Institute
FDA(US Food and Drug Administration)
Non-Hodgkin's Lymphoma Center
American Cancer Society

参考文献
・がん常識の嘘 (渡辺 亨 / 朝日新聞社 )
・がん化学療法ケアガイド(濱口恵子、本山清美 / 中山書店)
・抗がん剤・放射線治療と食事のくふう(山口 健 他/ 女子栄養大学出版部)
・がん予防に役立つ 食事・運動・生活習慣(菊池真由子 / 同文書院 )
・病気にならない毎日の食事(森野眞由美 / 守岡書店 )